CATIONIC PEPTIDE AND PHARMACEUTICAL COMPOSITION CONTAINING SAME
外国特許コード | F150008564 |
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整理番号 | S2015-0952-N0 |
掲載日 | 2015年11月26日 |
出願国 | 世界知的所有権機関(WIPO) |
国際出願番号 | 2014JP076991 |
国際公開番号 | WO 2015053338 |
国際出願日 | 平成26年10月8日(2014.10.8) |
国際公開日 | 平成27年4月16日(2015.4.16) |
優先権データ |
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発明の名称 (英語) | CATIONIC PEPTIDE AND PHARMACEUTICAL COMPOSITION CONTAINING SAME |
発明の概要(英語) | A cationic peptide comprising an amino acid sequence represented by formula (1) and a cationic peptide comprising an amino acid sequence represented by formula (2). [X1] a - Cys - (Z / Val)b - [X2]c - (Z / Val)d - Cys - [X3] e ⋅ ⋅ ⋅ Formula(1) [X1] a - (Z / Val)b - [X2]c - (Z / Val)d - [X3] e ⋅ ⋅ ⋅ Formula(2) [In formulas (1) and (2), Z represents an amino acid residue selected from the group consisting of 2,3-diaminopropionic acid (Dap), 2,4-diaminobutyric acid (Dab), ornithine (Orn), and lysine (Lys), Z/Val on both sides of [X2]c each independently represent Z-Val or Val-Z, X1 of number a each independently represent any amino acid residue, X2 of number c each independently represent any amino acid residue, X3 of number e each independently represent any amino acid residue, a represents 0 or an integer of 1 or higher, c represents 0 or an integer of 1 or higher, b represents an integer of 1 or higher, and d represents an integer of 1 or higher.] |
従来技術、競合技術の概要(英語) |
BACKGROUND ART Nucleic acid binding molecule is a nucleic acid or a pharmaceutically acceptable in vivo in order to improve the stability of the molecule is useful, in vivo for expression of the activity of a nucleic acid drug is, for a nucleic acid drug molecule to a nucleic acid drug ON, OFF control is required. One of the nucleic acid binding molecules, and cationic peptides, cationic peptides upon binding to dsRNA, induced β - structure which is known to bind. Β - nucleic acid duplex structure coupled to the synthesis of the peptide and properties, R. Iwata, M. Sudo, K. Nagafuji, T. Wada, J. Org. Chem., 2011, 76, 5895-5906, and, Y. Maeda, R. Iwata, T. Wada, Bioorg. Med. Chem., 2013, 21, 1717-1723, reporting. |
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国際特許分類(IPC) |
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指定国 |
National States: AE AG AL AM AO AT AU AZ BA BB BG BH BN BR BW BY BZ CA CH CL CN CO CR CU CZ DE DK DM DO DZ EC EE EG ES FI GB GD GE GH GM GT HN HR HU ID IL IN IR IS JP KE KG KN KP KR KZ LA LC LK LR LS LU LY MA MD ME MG MK MN MW MX MY MZ NA NG NI NO NZ OM PA PE PG PH PL PT QA RO RS RU RW SA SC SD SE SG SK SL SM ST SV SY TH TJ TM TN TR TT TZ UA UG US UZ VC VN ZA ZM ZW ARIPO: BW GH GM KE LR LS MW MZ NA RW SD SL SZ TZ UG ZM ZW EAPO: AM AZ BY KG KZ RU TJ TM EPO: AL AT BE BG CH CY CZ DE DK EE ES FI FR GB GR HR HU IE IS IT LT LU LV MC MK MT NL NO PL PT RO RS SE SI SK SM TR OAPI: BF BJ CF CG CI CM GA GN GQ GW KM ML MR NE SN ST TD TG |
日本語項目の表示
発明の名称 | カチオン性ペプチドおよびそれを含む医薬組成物 |
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発明の概要 | 下記式(1)で表されるアミノ酸配列からなるカチオン性ペプチド、及び、下記式(2)で表されるアミノ酸配列からなるカチオン性ペプチド。 [X1]a-Cys-(Z/Val)b-[X2]c-(Z/Val)d-Cys-[X3]e ・・・式(1) [X1]a-(Z/Val)b-[X2]c-(Z/Val)d-[X3]e ・・・式(2) [式(1)及び(2)において、Zは、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン(Orn)及びリシン(Lys)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、[X2]cの両隣のZ/Valは各々独立にZ-ValまたはVal-Zを表し、a個のX1はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、c個のX2はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、e個のX3はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、aは0又は1以上の整数を表し、cは0又は1以上の整数を表し、bは1以上の整数を表し、dは1以上の整数を表す。] |
特許請求の範囲 |
請求の範囲 [請求項1] 下記式(1)で表されるアミノ酸配列からなるカチオン性ペプチド。 [X 1] a-Cys-(Z/Val) b-[X 2] c-(Z/Val) d-Cys-[X 3] e ・・・式(1) [式(1)において、Zは、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン(Orn)及びリシン(Lys)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、[X 2] cの両隣のZ/Valは各々独立にZ-ValまたはVal-Zを表し、a個のX 1はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、c個のX 2はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、e個のX 3はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、aは0又は1以上の整数を表し、cは0又は1以上の整数を表し、bは1以上の整数を表し、dは1以上の整数を表す。] [請求項2] 前記式(1)で表されるアミノ酸配列において、bが2以上11以下であり、dが2以上11以下である、請求項1に記載のカチオン性ペプチド。 [請求項3] 前記式(1)で表されるアミノ酸配列において、aが1以上10以下であり、cが2以上8以下であり、eが1以上10以下である、請求項1または請求項2に記載のカチオン性ペプチド。 [請求項4] 前記式(1)で表されるアミノ酸配列において、[X 2] cが、Pro-Proであり、2個のProの一方がD体であり、他方がL体である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカチオン性ペプチド。 [請求項5] 前記式(1)で表されるアミノ酸配列が、Tyr-Gly-Gly-Cys-(Z/Val) 3-Pro-Pro-(Z/Val) 3-Cysである、請求項1または請求項4に記載のカチオン性ペプチド。 [Zは、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン(Orn)及びリシン(Lys)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、2個のProの両隣のZ/Valは各々独立にZ-ValまたはVal-Zを表す。] [請求項6] 下記式(2)で表されるアミノ酸配列からなるカチオン性ペプチド。 [X 1] a-(Z/Val) b-[X 2] c-(Z/Val) d-[X 3] e ・・・式(2) [式(2)において、Zは、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン(Orn)及びリシン(Lys)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、[X 2] cの両隣のZ/Valは各々独立にZ-ValまたはVal-Zを表し、a個のX 1はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、c個のX 2はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、e個のX 3はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、aは0又は1以上の整数を表し、cは0又は1以上の整数を表し、bは1以上の整数を表し、dは1以上の整数を表す。] [請求項7] 前記式(2)で表されるアミノ酸配列において、bが2以上11以下であり、dが2以上11以下である、請求項6に記載のカチオン性ペプチド。 [請求項8] 前記式(2)で表されるアミノ酸配列において、aが1以上10以下であり、cが2以上8以下であり、eが1以上10以下である、請求項6または請求項7に記載のカチオン性ペプチド。 [請求項9] 前記式(2)で表されるアミノ酸配列において、[X 2] cが、Pro-Proであり、2個のProの一方がD体であり、他方がL体である、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のカチオン性ペプチド。 [請求項10] 前記式(2)で表されるアミノ酸配列が、Tyr-Gly-Gly-(Z/Val) 3-Pro-Pro-(Z/Val) 3である、請求項6又は請求項9に記載のカチオン性ペプチド。 [Zは、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン(Orn)及びリシン(Lys)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、2個のProの両隣のZ/Valは各々独立にZ-ValまたはVal-Zを表す。] [請求項11] 治療活性を有する核酸と、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のカチオン性ペプチドとを含む医薬組成物。 |
明細書 |
明 細 書 発明の名称 : カチオン性ペプチドおよびそれを含む医薬組成物 技術分野 [0001] 本発明は、カチオン性ペプチドおよびそれを含む医薬組成物に関する。カチオン性ペプチドは、特に核酸二重鎖結合性β-turn-βカチオン性ペプチドである。 背景技術 [0002] 核酸結合分子は核酸医薬の生体内での安定性を向上させるうえで有用な分子であるが、生体内で核酸医薬の活性を発現させるためには、核酸医薬に対する核酸医薬分子の結合のON、 OFF を制御することが必要となる。 [0003] 核酸結合分子の一つに、カチオン性ペプチドがあり、dsRNA にカチオン性ペプチドが結合する際、β-構造を誘起して結合することが知られている。核酸二重鎖に結合するβ-構造ペプチドの合成及び特性について、R. Iwata, M. Sudo, K. Nagafuji, T. Wada, J. Org. Chem., 2011, 76, 5895-5906、及び、 Y. Maeda, R. Iwata, T. Wada, Bioorg. Med. Chem., 2013, 21, 1717-1723、が報告している。 発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0004] しかしながら、核酸二重鎖が結合するのに適した高次構造を有し、核酸二重鎖と安定して結合し、結合の熱安定性も良好であるカチオン性ペプチドは未だ提供されていない。 [0005] したがって、本発明の目的は、核酸二重鎖が結合するのに適した高次構造を有し、核酸二重鎖と安定して結合し、結合の熱安定性も良好であるカチオン性ペプチドを提供することにある。 本発明の目的はさらに、本発明のペプチドを用いた核酸医薬を提供することにある。 課題を解決するための手段 [0006] 本発明は以下のとおりである。 [1] 下記式(1)で表されるアミノ酸配列からなるカチオン性ペプチド。 [X 1] a-Cys-(Z/Val) b-[X 2] c-(Z/Val) d-Cys-[X 3] e ・・・式(1) [式(1)において、Zは、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン(Orn)及びリシン(Lys)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、[X 2] cの両隣のZ/Valは各々独立にZ-ValまたはVal-Zを表し、a個のX 1はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、c個のX 2はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、e個のX 3はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、aは0又は1以上の整数を表し、cは0又は1以上の整数を表し、bは1以上の整数を表し、dは1以上の整数を表す。] [2] 前記式(1)で表されるアミノ酸配列において、bが2以上11以下であり、dが2以上11以下である、[1]に記載のカチオン性ペプチド。 [3] 前記式(1)で表されるアミノ酸配列において、aが1以上10以下であり、cが2以上8以下であり、eが1以上10以下である、[1]または[2]に記載のカチオン性ペプチド。 [4] 前記式(1)で表されるアミノ酸配列において、[X 2] cが、Pro-Proであり、2個のProの一方がD体であり、他方がL体である、[1]~[3]のいずれか一つに記載のカチオン性ペプチド。 [5] 前記式(1)で表されるアミノ酸配列が、Tyr-Gly-Gly-Cys-(Z/Val) 3-Pro-Pro-(Z/Val) 3-Cysである、[1]または[4]に記載のカチオン性ペプチド。 [Zは、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン(Orn)及びリシン(Lys)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、2個のProの両隣のZ/Valは各々独立にZ-ValまたはVal-Zを表す。] [6] 下記式(2)で表されるアミノ酸配列からなるカチオン性ペプチド。 [X 1] a-(Z/Val) b-[X 2] c-(Z/Val) d-[X 3] e ・・・式(2) [式(2)において、Zは、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン(Orn)及びリシン(Lys)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、[X 2] cの両隣のZ/Valは各々独立にZ-ValまたはVal-Zを表し、a個のX 1はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、c個のX 2はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、e個のX 3はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、aは0又は1以上の整数を表し、cは0又は1以上の整数を表し、bは1以上の整数を表し、dは1以上の整数を表す。] [7] 前記式(2)で表されるアミノ酸配列において、bが2以上11以下であり、dが2以上11以下である、[6]に記載のカチオン性ペプチド。 [8] 前記式(2)で表されるアミノ酸配列において、aが1以上10以下であり、cが2以上8以下であり、eが1以上10以下である、[6]または[7]に記載のカチオン性ペプチド。 [9] 前記式(1)で表されるアミノ酸配列において、[X 2] cが、Pro-Proであり、2個のProの一方がD体であり、他方がL体である、[6]~[8]のいずれか一つに記載のカチオン性ペプチド。 [10] 前記式(2)で表されるアミノ酸配列が、Tyr-Gly-Gly-(Z/Val) 3-Pro-Pro-(Z/Val) 3である、[6]または[9]に記載のカチオン性ペプチド。 [Zは、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン(Orn)及びリシン(Lys)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、2個のProの両隣のZ/Valは各々独立にZ-ValまたはVal-Zを表す。] [11] 治療活性を有する核酸と、[1]~[10]のいずれかに記載のカチオン性ペプチドとを含む医薬組成物。 発明の効果 [0007] 本発明によれば、核酸二重鎖が結合するのに適した高次構造を有し、核酸二重鎖と安定して結合し、結合の熱安定性も良好であるペプチドが提供される。また本発明のペプチドを用いた核酸医薬も提供される。 図面の簡単な説明 [0008] [図1] 参考例1における、カチオン性ペプチドと核酸二重鎖との結合性を示す図である。 [図2] 実施例1における、カチオン性ペプチドのCDスペクトルを示す図である。 [図3] 実施例2における、カチオン性ペプチド-核酸複合体の蛍光異方性測定結果を示す図である。 [図4] 実施例2における、DapV-核酸複合体の蛍光異方性測定結果を示す図である。 [図5] 実施例3における、カチオン性ペプチド-核酸複合体の260nmにおけるUV融解プロファイルを示す図である。 発明を実施するための形態 [0009] 本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。 本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。 本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。 [0010] 本発明において、アミノ酸配列におけるアミノ酸残基を、当技術分野で周知の一文字表記(例えば、グリシン残基を「G」)又は三文字表記(例えば、グリシン残基を「Gly」)で表現する場合がある。 本発明において、アミノ酸配列におけるアミノ酸残基に、D、Lを付した場合には、それぞれD-アミノ酸、L-アミノ酸を表す。 本発明において、ペプチド及びポリペプチドのアミノ酸配列に関する「%」は、特に断らない限り、アミノ酸残基の個数を基準とする。 [0011] 以下に、本発明の実施の形態について説明する。これらの説明及び実施例は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。 [0012] 近年、核酸医薬、特にRNA干渉薬(RNA interference drug)が新たな治療薬として注目を集めている。しかしながら、RNA干渉薬は膜透過性が低く、また細胞内での不安定性により、十分な効力を発揮していない。従って、RNA干渉薬を実用に供するためには、低分子干渉RNA(siRNA)薬のための新たな薬物送達システム(DDS)を構築する必要がある。 [0013] 本願発明者等は、DDSの開発を目指して、核酸二重鎖に結合能を有する、オリゴジアミノ糖及びオリゴカチオン性ペプチドを合成した。これらに基づく研究の結果から、正電荷の規則的配列が複合体形成の一つの重要な要素となり得ることを発見した。具体的には、正電荷の官能基としてアミノ基を有するペプチドを設計した。12merのdsRNAである r(CGCGAAUUCGCG) 2 二重鎖をターゲットとし、そのメジャーグルーブに位置する4 組のリン酸基をターゲットとし、参考例1として示すとおり、+8価のペプチドを設計した。このカチオン性ペプチドのうち、8個の連続する(S)-2,4-ジアミノ酪酸を有するペプチド(Ac-Tyr-Gly-Gly-Dab 8-NH 2)(以下「Dab8ペプチド」という)がdsRNA に最も効率的に結合することを確認した。 [0014] そこで本願発明者等は、さらにカチオン性官能基が規則的に配列するβヘアピン二次構造に着目した。一連のペプチドを設計及び合成し、これらの核酸二重鎖への結合能を調べた。 [0015] 本願発明者等は核酸二重鎖に結合するペプチドの合成にあたり、βヘアピンペプチドに焦点を当てた。一つの態様としては、曲げ部材としてのプロリン二量体(- DPro- LPro-)で連結された、バリン(Val)とアミノ基を有するアミノ酸との交互配列からなる人工ペプチドである。このペプチドとdsRNAとの相互作用を、オリゴペプチドの異なる二次構造間で比較すると、唯一βヘアピンペプチドのみが熱安定性を増加させることなく、核酸二重鎖に結合した。これらの結果は、特定の二次構造に制御することで核酸二重鎖への結合能を調節できる可能性を示すものである。 [0016] 具体的に本発明者等は、細胞内外の環境差により、二次構造を変化させることで核酸二重鎖との結合を制御するペプチドの獲得を目指した。 dsRNA にカチオン性ペプチドが結合する際、β構造を誘起して結合することが知られている。そこで、本発明者等は、二次構造を予めとることでRNA 二重鎖に効率的に結合するペプチドの設計を目指した。まず、親水、疎水アミノ酸の交互配列及びジスルフィド結合を用いて、環状β-turn-β構造をとる下記に示すカチオン性ペプチドを設計した。ジスルフィド結合は細胞内の還元的環境にて切断されるため、環構造が開き構造の自由度が増大することから、細胞内外で二次構造が変化すると考えられる。 [0017] [表1] [0018] Dap:(S)-2,3-ジアミノプロピオン酸 Dab:(S)-2,4-ジアミノ酪酸 Orn:L-オルニチン Lys:L-リシン [0019] 上記ペプチドAにおけるアミノ酸配列において、2個のProの両隣のDap/Valは各々独立にDap-ValまたはVal-Dapを表す。すなわち、Dap-Valである場合には、(Dap-Val) 3の繰り返し構造となり、Val-Dapである場合には、(Val-Dap) 3の繰り返し構造となる。ペプチドBにおけるDab/Val、ペプチドCにおけるOrn/Val及びペプチドDにおけるLys/Valも同様である。 [0020] 上記ペプチドA~Dにおいて、-Pro-Pro-は、- DPro- LPro-であってもよく、それぞれD体プロリン、L体プロリンであることを表す。また、アミノ酸配列の末端は修飾されて中和されていることが好ましい。具体的には、N末端がアセチル化修飾され、C末端がアミノ化修飾されていることが好ましい。ペプチドA~Dの好ましい具体例A1~D1を以下に示す。 [0021] [表2] [0022] ペプチドA~Dに関し、細胞内で開環した状態に相当する、システインがなく、ジスルフィド結合をもたない下記に示すペプチドE~H(DapV、 DabV、OrnV、 LysV)を設計した。 [0023] [表3] [0024] 好ましい具体例として以下のペプチドE1~H1を合成し、その二次構造をCDスペクトルにより確認した。DapV(E1) においてはβ構造特有のスペクトルを示したのに対し、他のペプチド、DabV(F1)、OrnV(G1)、 LysV(H1)はランダムコイル優位なスペクトルを示した。これより、DapV(E1)はジスルフィド結合をもたない場合でも、β構造を維持するのに対し、他のペプチドはジスルフィド結合をもたない場合には、ランダムコイル用の構造をとることが明らかとなった。すなわち、細胞外におけるcDabV(ペプチドB)、cOrnV(ペプチドC)及びcLysV(ペプチドD)は環状β-turn- β構造をとり、核酸二重鎖と結合しているが、細胞内でそれぞれDabV(ペプチドF)、OrnV(ペプチドG)、LysV(ペプチドH)に変化し、すぐに核酸から解離することがわかった。これによりcDabV(ペプチドB)、cOrnV(ペプチドC)及びcLysV(ペプチドD)は、核酸医薬に対する核酸医薬分子の結合のON、 OFF の制御を可能とし、DDSに有利であることが明らかになった。 [0025] [表4] [0026] ペプチドE1~H1に関し、dsRNA (Fluorescein-r(CGCGAAUUCGCG)) 2 との結合を蛍光異方性測定により確認した。dsRNA に対して各ペプチドを滴下し、蛍光異方性の変化をプロットしたところ、DapV (ペプチドE1)のみ有意な蛍光異方性の変化がみられた。この結果より、β-turn- β構造をとるDapV (ペプチドE1)のみがdsRNA に結合していることが確認された。dsRNA に結合したβ-turn- β構造をとるDapVを、更にランダムコイル構造に変化させた場合には、結合力が変化することが期待される。すなわち、cDapV(ペプチドA)は、細胞内でDapV(ペプチドE)となっても核酸から解離せず、さらなる環境の変化に応じて核酸を解離することができるため、DDSとして利用可能である。 [0027] ペプチドE1~H1に関し、dsRNA としてr(CGCGAAUUCGCG) 2 の熱安定性に及ぼす影響を評価した。dsRNA に対して各ペプチドを滴定し、その融解温度 (Tm) を測定したところ、いずれのペプチドにおいても有効な熱安定化が見られなかった。この結果より、DapV (ペプチドE1)はdsRNA の熱安定性を向上させずに結合することが明らかとなった。 [0028] 本発明のカチオン性ペプチドは、医療分野(特に治療用途)、特に核酸医薬(例えばsiRNA)の安定化とデリバリーのために使用することが出来る。例えば、本発明によれば、治療活性を有する核酸(例えばsiRNA)と、本発明のカチオン性ペプチドとを含む医薬組成物を提供でき、また、当該医薬組成物を、治療を必要とする対象に投与することを含む、治療方法が提供できる。また、核酸医薬の製造における、治療活性を有する核酸(例えばsiRNA)と、本発明のカチオン性ペプチドの使用も提供される。ジスルフィド結合を有する本発明のカチオン性ペプチドは細胞内に取り込まれた後は速やかに開裂し、鎖状ペプチドとなり、さらに環境の変化に応じて、結合した核酸医薬品が細胞内に放出され、効果を奏することが出来る。 [0029] 本発明のカチオン性ペプチドは、核酸二重鎖が結合するのに適した高次構造を有することにより、核酸二重鎖と安定して結合し、結合の熱安定性も良好である。このため、本発明のカチオン性ペプチドを用いた核酸医薬は、体内動態が安定であり、熱安定性も高い。 [0030] ジスルフィド結合を有する本発明のカチオン性ペプチドは細胞外では、環状構造かつβヘアピン構造をとるが、細胞内ではジスルフィド結合が開裂して鎖状ペプチドに変化し、ランダムコイルへと構造変化すると考えられる。この様に、自由度の小さい環状ペプチドから自由度の大きい鎖状ペプチドに変化することで、エントロピー的に不利になることで核酸二重鎖に対する結合力が減少し、ペプチドの解離が起こると考えられる。 [0031] 本発明の第1の態様は、下記式(1)で表されるアミノ酸配列からなるカチオン性ペプチドである。 [X 1] a-Cys-(Z/Val) b-[X 2] c-(Z/Val) d-Cys-[X 3] e ・・・式(1) 式(1)において、Zは、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン(Orn)及びリシン(Lys)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、[X 2] cの両隣のZ/Valは各々独立にZ-ValまたはVal-Zを表し、a個のX 1はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、c個のX 2はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、e個のX 3はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、aは0又は1以上の整数を表し、cは0又は1以上の整数を表し、bは1以上の整数を表し、dは1以上の整数を表す。 [0032] 式(1)において、X 1としては、ペプチドのヘアピン構造に支障がない限り任意のアミノ酸残基でよく、例えば、TyrやGlyが好ましい。[X 1] aとしては、例えば、Tyr-Gly-Glyが好ましい。X 2としては、ヘアピン構造を形成できるアミノ酸が好ましく、例えば、Proが好ましい。[X 2] cとしては、例えば、Pro-Proが好ましい。X 3としては、ペプチドのヘアピン構造に支障がない限り任意のアミノ酸でよく、例えば、TyrやGlyが好ましい。[X 3] eとしては、例えば、Gly-Gly-Tyrが好ましい。尚、X 1、X 2、X 3としては、システインではないアミノ酸であることが好ましい。 [0033] 式(1)において、βシート構造を安定してとる観点から、bとしては2以上が好ましく、dとしては2以上が好ましい。また、bおよびdは、医薬に用いるdsRNAの塩基長によって適宜選択できるが、好ましくはbとしては11以下であり、dとしては11以下である。bとdは同じであることが好ましく、bとdは3であることが好ましい。 [0034] 式(1)において、aは1~10が好ましく、1~6がより好ましい。eは1~10が好ましく、1~6がより好ましい。また、式(1)において、cとしては[X 2] cが、ヘアピン構造を形成することができれば特に限定されないが、2~8が好ましく、2~4がより好ましい。 [0035] 式(1)で表される本発明のカチオン性ペプチドとしては、Tyr-Gly-Gly-Cys-(Dap/Val) 3-Pro-Pro-(Dap/Val) 3-Cys(配列番号1)で表されるカチオン性ペプチド(ペプチドA)、Tyr-Gly-Gly-Cys-(Dab/Val) 3-Pro-Pro-(Dab/Val) 3-Cys(配列番号2)で表されるカチオン性ペプチド(ペプチドB)、Tyr-Gly-Gly-Cys-(Orn/Val) 3-Pro-Pro-(Orn/Val) 3-Cys(配列番号3)で表されるカチオン性ペプチド(ペプチドC)及びTyr-Gly-Gly-Cys-(Lys/Val) 3-Pro-Pro-(Lys/Val) 3-Cys(配列番号4)で表されるカチオン性ペプチド(ペプチドD)が好ましい。 [0036] また、ペプチドA~Dにおける-Pro-Pro-は、2個のProの一方がD体で、他方がL体であることが好ましい。 [0037] 本発明のカチオン性ペプチドには、配列番号1~4で示されるアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつ、核酸二重鎖への結合能が保持されたペプチドが包含される。配列番号1~4で示されるアミノ酸配列において置換、欠失、挿入又は付加されるアミノ酸残基の数は、具体的には好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個、更に好ましくは1~2個である。 [0038] 本発明のカチオン性ペプチドには、配列番号1~4で示されるアミノ酸配列全体に対して、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の配列同一性を有し、かつ、核酸二重鎖への結合能が保持されたペプチドが包含される。 [0039] 本発明の第2の態様は、下記式(2)で表されるアミノ酸配列からなるカチオン性ペプチドである。 [X 1] a-(Z/Val) b-[X 2] c-(Z/Val) d-[X 3] e ・・・式(2) 式(2)において、Zは、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン(Orn)及びリシン(Lys)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、[X 2] cの両隣のZ/Valは各々独立にZ-ValまたはVal-Zを表し、a個のX 1はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、c個のX 2はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、e個のX 3はそれぞれ独立に任意のアミノ酸残基を表し、aは0又は1以上の整数を表し、cは0又は1以上の整数を表し、bは1以上の整数を表し、dは1以上の整数を表す。 [0040] 式(2)におけるa、b、c、d、eの好ましい範囲は、式(1)における場合と同様である。また、式(2)におけるX 1、X 2、X 3の好ましい態様も、式(1)における場合と同様である。 [0041] 式(2)で表される本発明のカチオン性ペプチドとしては、Tyr-Gly-Gly-(Dap/Val) 3-Pro-Pro-(Dap/Val) 3(配列番号5)で表されるカチオン性ペプチド(ペプチドE)、Tyr-Gly-Gly-(Dab/Val) 3-Pro-Pro-(Dab/Val) 3(配列番号6)で表されるカチオン性ペプチド(ペプチドF)、Tyr-Gly-Gly-(Orn/Val) 3-Pro-Pro-(Orn/Val) 3(配列番号7)で表されるカチオン性ペプチド(ペプチドG)及びTyr-Gly-Gly-(Lys/Val) 3-Pro-Pro-(Lys/Val) 3(配列番号8)で表されるカチオン性ペプチド(ペプチドH)が好ましい。 [0042] また、ペプチドE~Hにおける-Pro-Pro-は、2個のProの一方がD体で、他方がL体であることが好ましい。 [0043] 本発明のカチオン性ペプチドには、配列番号5~8で示されるアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつ、核酸二重鎖への結合能が保持されたペプチドが包含される。配列番号5~8で示されるアミノ酸配列において置換、欠失、挿入又は付加されるアミノ酸残基の数は、具体的には好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個、更に好ましくは1~2個である。 [0044] 本発明のカチオン性ペプチドには、配列番号5~8で示されるアミノ酸配列全体に対して、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の配列同一性を有し、かつ、核酸二重鎖への結合能が保持されたペプチドが包含される。 実施例 [0045] 以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。しかしながら、本発明はそれらに何ら限定されるものではない。 [0046] 実験において、特に断りのない限り、以下の実験手法を用いた。 [0047] 1.ペプチド合成 既存のFmoc固相合成法により各ペプチドを合成した。 [0048] 2.CDスペクトルの測定方法 合成した各ペプチドを10 mM リン酸バッファー、 100 mM NaCl (pH 7.0) で50 μMとなるように調製し、光路長1 mmの石英セル中、20 ℃で円二色性 (CD) スペクトルを測定した。 [0049] 3.融解温度 (Tm) 測定方法 アニーリングした核酸二重鎖 (10 mM リン酸バッファー、100 mM NaCl (pH 7.0)) に1当量のペプチド溶液を加え、終濃度4 μmペプチド-核酸複合体の水溶液を調製した。このサンプル溶液を10℃から95 ℃まで、昇温速度 +0.5 ℃/minで加熱し、その過程を260 nmの吸光度で追跡することで融解温度を測定した。 [0050] 4.蛍光異方性測定 蛍光基標識として5’末端にFITCを反応させてフルオレセイン標識したRNAを用いた。蛍光基標識RNAの水溶液 (10 mM リン酸バッファー、 100 mM NaCl (pH 7.0)) をアニーリングし、終濃度0.1 μm 3ml (10 mM リン酸バッファー、 100 mM NaCl (pH 7.0)) に希釈して蛍光標識RNA水溶液のサンプルを調製した。このサンプル溶液に、20 ℃で10μmのペプチドを添加し、0、 0.1、 0.2、 0.3、 0.5、 0.7、 1.0、 1.5、 2.0、 3.0、 5.0、 7.0当量における蛍光異方性を測定した。各等量での蛍光異方性を1対1結合曲線で近似することで、ペプチド-核酸間の解離定数を算出した。 [0051] [参考例1] カチオン性ペプチドのRNA結合能 正電荷の官能基としてアミノ基を有するペプチドを設計した。12merの dsRNAであるr(CGCGAAUUCGCG) 2 二重鎖をターゲットとし、そのメジャーグルーブに位置する4 組のリン酸をターゲットとし、以下に示す+8 価のペプチドを設計した。このカチオン性ペプチドのうち、Dab8ペプチドがdsRNA に最も効率的に結合することを確認した。結果を図1に示す。 [0052] [化1] [0053] [実施例1]カチオン性ペプチドの二次構造の設計 ペプチド-核酸二重鎖間の相互作用に及ぼす、βヘアピン構造を含めた二次構造の効果を評価するため、下記に示すペプチドE1~H1を設計し、上記の方法により合成した。 これらは、曲げ部材としてのプロリン二量体(- DPro- LPro-)で連結された、バリン(Val)及びアミノ基を有するアミノ酸の交互配列からなるペプチドである。アミノ基を有するアミノ酸としては、L-リシン(Lys)、L-オルニチン(Orn)、(S)-2,4-ジアミノ酪酸(Dab)及び(S)-2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)を選択した。GB/SA水溶液モデルでの分子力学計算に基づき、Dabからなる8量体のカチオン性オリゴペプチドが、A型のRNA/RNA二重らせん12量体のメジャーグルーブと結合することができ、結合においては、ペプチドのプロトン化したアミノ基がすべて二重鎖のリン酸アニオンと水素結合を形成している。βヘアピンペプチドがRNA/RNA二重鎖と相互作用することが予想される。 [0054] [表5] [0055] Dap:(S)-2,3-ジアミノプロピオン酸 Dab:(S)-2,4-ジアミノ酪酸 Orn:L-オルニチン Lys:L-リシン [0056] まず、上記ペプチドE1~H1の異なる側鎖長を有するペプチドの二次構造を分析した。リン酸バッファーにおけるペプチドE1~H1の二次構造をCD スペクトルにより確認した(結果を図2に示す)。CDスペクトルの測定条件は上記のとおり、50μM ペプチド、 20 ℃、10mM リン酸バッファー、 100mM NaClである。DapV (ペプチドE1)においてはβシート構造特有のスペクトルを示したのに対し、他のペプチドではランダムコイル優位なスペクトルを示した。 [0057] [実施例2]カチオン性ペプチドとdsRNA との結合能評価 続いて上記カチオン性ペプチドE1~H1とdsRNA (Fluorescein-r(CGCGAAUUCGCG)) 2 との結合を蛍光異方性測定により評価した。dsRNA に対してペプチドを滴下し、蛍光異方性の変化をプロットしたところ、DapV(ペプチドE1) のみ有意な蛍光異方性の変化がみられた(結果を図3、図4に示す)。その他のペプチドは変化を示さなかった。測定条件は上記のとおり、0.1μM RNA/RNA水溶液 (10 mM リン酸バッファー、 100 mM NaCl (pH 7.0))である。この結果より、β-turn- β構造をとるDapV のみがdsRNA に結合していることが確認された。 [0058] [実施例3]カチオン性ペプチドとdsRNA との熱安定性評価 次にカチオン性ペプチドE1~H1がdsRNAである r(CGCGAAUUCGCG) 2 の熱安定性に及ぼす影響を評価した。dsRNA に対して各ペプチドを滴定し、各ペプチド-dsRNA複合体の融解温度 (Tm) を測定したところ、DapVを含めたいずれのペプチドにおいても有効な熱安定化が見られなかった(結果を下記表6及び図5に示す)。この結果より、DapV はdsRNA の熱安定性を向上させずに結合することが明らかとなった。 [0059] [表6] [0060] ペプチド-核酸二重鎖間の相互作用に及ぼす、βヘアピン構造を含めた二次構造の効果について一連のペプチドを設計し評価した。DapV(ペプチドE1)のみがβヘアピン構造を形成し、RNA二重鎖に結合していることを確認した。 この結果から、オリゴペプチドの特定の二次構造により、RNA二重鎖への結合能を制御可能であることがわかった。 [0061] 2013年10月8日に出願された米国仮出願No.61/888,200の内容は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。 本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。 |
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