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分岐アルキル鎖を有する化合物、その製造方法及び光電デバイス中における使用

国内特許コード P150011761
掲載日 2015年3月30日
出願番号 特願2013-140498
公開番号 特開2014-015461
登録番号 特許第6359810号
出願日 平成25年7月4日(2013.7.4)
公開日 平成26年1月30日(2014.1.30)
登録日 平成30年6月29日(2018.6.29)
優先権データ
  • 201210232860.9 (2012.7.5) CN
発明者
  • 裴 ▲堅▼
  • 雷 霆
  • ▲竇▼ ▲錦▼虎
出願人
  • 北京大学
  • 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
発明の名称 分岐アルキル鎖を有する化合物、その製造方法及び光電デバイス中における使用
発明の概要 【課題】本発明は分岐アルキル鎖を有する化合物、その製造方法、及び光電デバイスにおける使用について開示している。
【解決手段】該分岐アルキル鎖は、可溶化基として有機共役分子(例えば有機共役重合)の製造に用いられ、形成されるアルキル側鎖と主鎖のメチレン基の間隔数はm>1であり、アルキル鎖の主鎖のπーπスタッキングに対する影響を効果的に減少させ、これにより有機共役分子の溶解度を保証するのと同時に、そのキャリアの移動度を大きく向上させ、有機電界効果トランジスタ、有機太陽電池及び有機発光ダイオードなどの光電デバイス中の有機半導体材料として適切である。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要



有機共役分子の構造中には、非局在化のπ電子からなる共役系を含み、これにより特殊の光、電気、磁性等の面の性質を示し、科学者達から広く注目を集め、ここ二十年来の研究のホットトピックスとなっている。有機共役分子の合成及び機能化デバイスに関する研究は、化学、物理、電子工学、材料学などの複数の学科に跨り、複数の学科が交わる最先端分野であり、活力とチャンスが溢れ、化学の未来の発展における重要な方向性の一つである。





軽やかで柔軟性が高く、修飾がしやすいなどの特徴により、有機共役分子は光電材料分野において広い応用の見込みを有し、注目される成果がすでに出ている。特に有機太陽電池(OPV)、有機発光ダイオード(OLED)及び有機電界効果トランジスタ(OFET)等の分野において成果が得られている。有機電界効果トランジスタはその加工で便利であり、コストが低く、面積が大きく、柔軟性が高く製造することができる及び集積がしやすいなどの特徴により、電子ペーパー、電子メモ、アクティブマトリックス駆動、センサー及び記憶媒体などの応用面の研究において、明らかなメリットを示し、巨大な市場潜在力を有すると考えられている。





有機電界効果トランジスタは、電界により有機半導体内の電流を制御するアクティブデバイスである。その主なデバイス構造は以下の四つのタイプを含む。(1)ボトムゲートボトムコンタクト(Bottom Gate Bottom Contact)(BG/BC)、(2)トップゲートトップコンタクト(TG/BC)、(3)ボトムゲートトップコンタクト(BG/TC)、及び(4)トップゲートトップコンタクト(TG/TC)である(Di,C.A.;Liu,Y.Q.;Yu,G.;Zhu,D.B.Acc.Chem.Res.,2009,42,1573)。有機電界効果トランジスタは、主に電極、誘電層及び有機半導体層から構成される。それは本質上、移動電荷を有するコンデンサとなる。ゲート電極及びソース電極/ドレイン電極の間に電圧を印加することで、半導体層及び誘電層の界面で電荷を誘導し、ソース電極、ドレイン電極の両極間にとても小さい電圧を印加する際、トンネル中に電流が形成される。よって、ゲート電極の電圧を調整することで、界面上の誘導電荷の多寡を制御し、これによりデバイスのオンオフを実現する。ソース電極とドレイン電極の間の電圧を制御することで、電流の大きさを制御し、信号の増幅を実現する。





有機電界効果トランジスタのコアな部分は有機半導体層である。有機半導体層は、材料輸送のキャリアの違いによって、p型材料(ホール輸送)及びn型材料(電子輸送)に分けられる。有機共役分子の種類の違いによって、有機小分子材料と有機共役重合体材料に分けられる。有機共役重合体は、溶液加工により、デバイスの大面積低コスト製造を実現でき、ずっと注目を集めている。





p型重合体半導体材料に関する研究は、最初はポリチオフェン系に集中していた。立体規則的なポリ(3―へキシルチオフェン)(P3HT)の移動度は0.05-0.2cm-1-1に達する(Sirringhaus,H.;Brown,P.J.;Friend,R.H.;Nielsen,M.M.; Bechgaard,K.;Langeveld-Voss,B.M.W.;Spiering,A.J.H.;Janssen,R.A.J.;Meijer,E.W.;Herwig,P.;de Leeuw,D.M.Nature,1999,401,685)。それから、より多くの分子構造ユニットが研究者達の視野に入り、これらの新しい構造はこの研究分野に新しい活力を注入した。例えば、ピロロピロールジオン(Pyrrolo-pyrrole-dione)(DPP)ベースの有機共役重合体は、2010年に0.94cm-1-1の遷移率が得られた(Li,Y.;Singh,S.P.;Sonar,P.Adv.Mater.,2010,22,4862)。同じ構築フラグメントに基づいて、異なる接続方式により、Bronsteinは2011年にDPPから得られた重合体について報道し、1.94cm-1-1にも達する遷移率が得られた(Bronstein,H.;Chen,Z.;Ashraf,R.S.;Zhang,W.;Du,J.;Durrant,J.R.;Tuladhar,P.S.;Song,K.;Watkins,S.E.;Geerts,Y.;Wienk,M.M.;Janssen,R.A.J.;Anthopoulos,T.;Sirringhaus,H.;Heeney,M.;McCulloch,I.J.Am.Chem.Soc.2011,133,3272)。DPPとチオフェンが共重合することで得られた化合物は、0.97cm-1-1の遷移率を示した。構造の修飾により、ビセレノフェンをビチオフェンの替わりとした場合、1.5cm-1-1にも達する遷移率が得られた(Ha,J.S.,Kim,K.H.,Choi,D.H.J.Am.Chem.Soc.2011, 133,10364)。イソインジゴ類分子(Isoindigo)はDPP以外のもう一つのスター的な分子である。我々は2011年に、イソインジゴ類構造に基づく重合体について報告したが、0.79cm-1-1の遷移率及び高湿度状態における、3ヶ月にも達するデバイスの安定性を得ることができた(Lei,T.;Cao,Y.;Fan,Y.;Liu,C.J.;Yuan,S.C.;Pei,J.J.Am.Chem.Soc.2011,133,6099)。





比較すれば、n型重合体半導体の発展は比較的緩やかである。そのうち、Facchetti及びMarksは、チオフェン及びフルオロベンゼンに基づく重合体について報道し、0.01cm-1-1の電子遷移率を得た。(Letizia,J.A.;Facchetti,A.;Stern,C.L.;Ratner,M.A.;Marks,T.J.J.Am.Chem.Soc.2005,127,13476)。占肖衛らは、ペリレンジイミド及びジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェンに基づく共重合体について報道し、優れた電界効果性能を示し、電子遷移率は0.013cm-1-1に達する。(Zhan,X.;Tan,Z.;Domercq,B.;An,Z.;Zhang,X.;Barlow,S.;Li,Y.;Zhu,D.;Kippelen,B.;Marder,S.R.J.Am.Chem.Soc.2007,129,7246)。Facchettiは2009年に、以下について報道した。1,8-ナフタルイミドに基づく重合体は0.85cm-1-1にも達する電子遷移率を示した(Chen,Z.;Zheng,Y.;Yan,H.;Facchetti,A.J.Am.Chem.Soc.2009,131,8)。





従来のシリコン太陽電池と比較した場合、有機太陽電池は低コストで、重量が軽く、製造工程が簡単で、大面積に製造可能で、フレキシブルなデバイスを製造できるなどのメリットを有する。有機体ヘテロ接合太陽電池のデバイス構造は主に2タイプを含み、一つは正方向の電池であり、もう一つは倒置した電池である。正方向の電池は、陽極(一般的にはITOガラス)、ホール輸送層(一般的にはPEDOT:PSS)、活性層(有機共役重合体とフラーレン誘導体などの有機分子から構成される)、電子輸送層及び陰極(例えばアルミニウム電極)から構成される。倒置電池は、陰極(一般的にはITOガラス)、電子輸送層(一般的には、酸化亜鉛などの酸化物半導体)、活性層(有機共役重合体及びフラーレン誘導物などの有機分子から構成される)、電子輸送層(一般的には、三酸化モリブデンなどの半導体)及び陽極(例えば銀電極)から構成される。そのうちの活性層は、ドナーとアクセプターの二種類の材料が混合し、溶液加工または蒸着によって得られたものである。有機共役重合体は、ドナーとしてもアクセプターとしても使用できる。理想的なヘテロ接合構造中において、ドナーとアクセプターは相互に組み入るようにダブル連続相を形成し、数十ナノレベル上のマイクロ相分離を形成する。光の励起による励起子の効果的な分離ができ、さらには効果的に励起が分離された後のキャリアを電極に送り、電流を形成する(J.Peet,A.J.Heeger,G.C.Bazan,Acc.Chem.Res.2009,42,1700)。





重合体の溶液加工に基づく有機へテロ接合太陽電池の研究は、近年において目を惹く成果を挙げている。Heeger教授らは2007年に、添加剤により活性層の形態を制御し、PCDTBTのエネルギー変換効率を2.8%から5.5%に向上させた(J.Peet,J.Y.Kim,N.E.Coates,W.L.Ma,D.Moses,A.J.Heeger,G.C.Bazan,Nat.Mater.2007,6,497)。また、同じ年に積層デバイスを製造し、6.5%のエネルギー変換効率を得た(J.Y.Kim,K.Lee,N.E.Coates,D.Moses,T-Q Nguyen,M.Dante,A.L.Heeger,Science 2007,317,222)。シカゴ大学のYu教授ら及びカリフォルニア大学ロサンゼロスキャンパスのYang教授らは、ビチオフェン及びベンゾ[1,2-b:4,5-b']ジチオフェン構造に基づく重合体について報道し、エネルギー変換効率が5%以上という結果を得た(Y.Liang,L.Yu,Acc.Chem.Res.2010,43,1227)。ここにおいて、初めてエネルギー変換効率が7%を超えた重合体へテロ接合太陽電池について報道し、そのうちPTB7は7.4%にも達するエネルギー変換効率を達成した(Y.Liang,Z.Xu,J.Xia,S-T.Tsai,Y.Wu,G.Li,C.Ray,L,Yu,Adv.Mater.2010,22,E135)。曹ヨウ教授らは、PFN修飾電極により、PECz-DTQxのエネルギー変換効率を4%から6.07%に向上させ、最近は、倒置構造のヘテロ接合太陽電池効率を8.37%に向上させ、国家光電池品質検査センターの認証を得た(Z.He,C.Zhang,X.Huang,W-Y.Wong,H.Wu,L.Chen,S.Su,Y.Cao,Adv.Mater.2011,23,4636)。これは現在の文献に報告されたベストの結果である。研究により、太陽電池の効率と、重合体の移動度は密接な関係を有することが判明し、一般的には重合体の移動度が高ければ高いほど、太陽電池の効率も高い(Chen,J.;Cao,Y.Acc.Chem.Res.,2009,42,1709)。よって、重合体の移動率を上げることは、太陽電池の研究に非常に重要な意義を有することになる。





有機共役重合体は、芳香族化合物が共役の方式により共重合することで得られた重合体である。さらに、良い溶解度と溶媒加工性を保証するため、少なくとも一つの芳香族構造上に、少なくとも一つの可溶化基を導入することで、その溶解度を増加させる。以下の式で示される有機共役重合体である。





【化1】








そのうち、Ar及びArはそれぞれ芳香族化合物のフラグメントであり、R及びRは芳香族母核Ar上に導入した可溶化基(溶解促進基)であり、一般的には例えばアルキル基、ハロゲン置換のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン置換のアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基などの基であり、nは重合体の繰り返し単位数、即ち重合度である。





以前の研究において(Lei,T.;Cao,Y.;Zhou,X.;Peng,Y.;Bian,J.;Pei,J.Chem.Mater.2012,24,1762.)、我々は、以下について見出した。可溶化基(例えアルキル鎖)がそれぞれの重合体ユニット上にいずれも分布する場合(図1(a)で示されるとおり)、重合のπーπスタッキングに影響し、このため、重合体中のキャリアの移動度に非常に大きく影響を与えてしまう。これは、アルキル鎖間のファンデワールズ半径が3.6-3.8オングストロームであり、π-π相互作用の距離が3.4オングストロームのためである(図1(a)中の丸印を参照すること、丸印はアルキル鎖の芳香族基に対する排除作用を示した)。これに対し、我々はアルキル鎖を比較的小さい芳香族母核Arから比較的大きい芳香族母核Ar上に移動し、これにより移動度の向上を実現した。一方で、従来では、人々は2‐分岐のアルキル鎖(Gilbert alcoholより製造)を用いて、可溶化基とし、(例えば図1(b)はπーπスタッキングへの影響を回避し、これにより高い移動度を実現する(Li,Y.Acc.Chem.Res.,2012,45,723;Wang,C.;Dong,H.;Hu,W.;Liu,Y.;Zhu,D.Chem.Rev., 2012,112,2208;Beaujuge,P.M.;Frechet J.M.J.J.Am.Chem.Soc.2011,133,20009;Wen,Y.Liu,Y.Adv.Mater.2010,22,1331;Chen,J.;Cao,Y.Acc.Chem.Res.,2009,42,1709)。このような設計の目的は、π-πスタッキングを保証するのと同時に、ポリマーの溶解度を保証することである。

産業上の利用分野



本発明は新型分岐アルキル鎖を有する化合物及びその製造方法に係り、特に分岐アルキル鎖を有する有機電子工学材料及びその製造方法に係り、本発明は有機機能材料分野及び有機電子工学分野に属する。

特許請求の範囲 【請求項1】
式(III)に記載の分岐アルキル鎖を有する芳香族化合物であって、
【化1】


ここにおいて、Arは芳香族母核であって、波線は該芳香化合物を用いて重合反応する際に必要な官能基であり、
mは3~18の整数であり、
及びRは同じまたは異なるもので、独立的にアルキル基、ハロゲン置換のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン置換のアルコキシ基、アルケニル基およびアルキニル基から選ばれるものであり、
は水素、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン置換のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン置換のアルコキシ基、アルケニル基またはアルキニル基から選ばれるものであり、
式(III)に記載の分岐アルキル鎖を有する芳香族化合物が、以下の式III-1からIII-11、III-15およびIII-16に示された構造の芳香族化合物から選ばれる一つであり、
【化2】


【化3】


上記式III-1からIII-11、III-15およびIII-16において、
、R,R及びRは芳香環上の置換基であり、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロゲン置換のアルキル基およびハロゲン置換のアルコキシ基から選ばれるものであり、
10及びR11は芳香環上の一つまたは複数の置換基を示し、これらの置換基はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロゲン置換のアルキル基およびハロゲン置換のアルコキシ基から選ばれるものであり、
及びa’独立に、-S-、-O-、-Se-、-NR12-の構造から選択されるものであり、
、b’、c及びc’独立に、-N=、=N-、-CR12=、=CR12-から選択されるものであり、
12は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロゲン置換のアルキル基、ハロゲン置換のアルコキシ基、アリール基またはヘテロアリール基であることを特徴とする、芳香族化合物。

【請求項2】
式(II)で示される重合体であって、
【化4】


そのうち、Ar及びArは異なる芳香族化合物のフラグメントであり、
nは整数であり、重合体の重合度を示し、
mは3~18の整数であり、
及びRは同じまたは異なるもので、独立的にアルキル基、ハロゲン置換のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン置換のアルコキシ基、アルケニル基及びアルキニル基から選ばれるものであり、Rは水素、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン置換のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン置換のアルコキシ基、アルキニル基またはアルケニル基であり、
請求項1における式III-1からIII-11、III-15およびIII-16に示された構造の芳香族化合物モノマー及びAr芳香族化合物モノマーを重合して得られることを特徴とする重合体。

【請求項3】
請求項2に記載の上記式(II)の重合体の、有機半導体材料としての光電デバイス中における使用。

【請求項4】
上記光電デバイスが有機太陽電池、有機発光ダイオード及び有機電界効果トランジスタであることを特徴とする、請求項3に記載の使用。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2013140498thum.jpg
出願権利状態 登録
分野
  • 化学;冶金
  • 電気
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