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免疫寛容誘導剤及びアレルギー性疾患の治療又は予防剤

Patent code P210017883
File No. (S2018-0936-N0)
Posted date 2021年8月23日
Application number 特願2020-539367
Date of filing 令和元年8月20日(2019.8.20)
International application number JP2019032352
International publication number WO2020045155
Date of international filing 令和元年8月20日(2019.8.20)
Date of international publication 令和2年3月5日(2020.3.5)
Priority data
  • 特願2018-161929 (2018.8.30) JP
Inventor
  • 木戸 博
  • 高橋 悦久
  • 木本 貴士
  • 堺 聡子
Applicant
  • 国立大学法人徳島大学
Title 免疫寛容誘導剤及びアレルギー性疾患の治療又は予防剤
Abstract 本発明の課題は、アナフィラキシーを含む即時型アレルギーの発症リスクを抑えながら、アレルギー性疾患を治療又は予防するためのアレルゲンワクチンを提供することにある。
本発明者らは、(1)アレルギー性疾患を有する対象に、特定の抗原(アレルゲン)とSF10とを含む組成物を経口接種することにより、該抗原の感作による即時型アレルギーの発症を抑制できること、また、(2)アレルギー性疾患を有さない対象に、特定の抗原(アレルゲン)とSF10とを含む組成物を経口接種すると、該抗原に対する感作成立を阻害できることを見出いし、本発明を完成するに至った。
Outline of related art and contending technology

アレルギーとは、原因物質(アレルゲン)への暴露よって起きる、生体に不利益を与える免疫反応の一つである。ヒトは異種生物を食料として消化・吸収することにより生命を維持しているので、消化しきれていない未消化異物が絶えず体内に取り込まれる状態にあるが、かかる未消化異物に対して生体の防御反応(アレルギー反応)が起きないように、免疫寛容(免疫トレランス)が通常働いているとされている。しかし、現在は出生人口の5-10%の乳児において、生後1年までに食物アレルギー等の何らかのアレルギー性疾患に罹患しており、またその多くは5~6歳までに自然治癒するものの、治癒しない場合には、アトピー性皮膚炎、喘息など伴う重度のアレルギー症状(アレルギーマーチ)に進行することがある。一方、環境中のアレルゲン(花粉、カビ、ハウスダスト等)に対しては、年齢が増すとともに、それまでの免疫寛容状態が破綻して、アレルギーが発症することがある。先進国では、このようなアレルギーは年々増加の傾向をたどっており、全人口の約30%が何かしらのアレルギー性疾患に罹患しているとも言われており、その対策が強く望まれている。

従来、アレルギー性疾患に対する有効な治療法は存在せず、アレルギー症状の軽減を目的とした対症療法が一般的であった。しかし近年、アレルギー性疾患の根治療法として、アレルゲン免疫療法(減感作療法とも呼ばれる)が開発され注目を集めている。アレルゲン免疫療法とは、医師の管理下でアレルゲン(抗原)を患者に投与し、免疫寛容を誘導しようとするものであり、食物アレルギーに対する経口免疫療法(特許文献1及び2)、花粉やダニアレルギーに対する舌下免疫療法(特許文献3)、及び経皮免疫療法(特許文献4)が知られている。

アレルゲン免疫療法では、安全に免疫療法を実施するために低いアレルゲン投与量から開始し、徐々に投与量を増やすが、その際、閾値を超える量のアレルゲンを投与することで重篤な即時型アレルギー症状を起こす危険性がある。そのため、アレルゲン免疫療法では、標準化されたアレルゲンワクチンが使用される。アレルゲンワクチンは、天然アレルゲンを加工(成分抽出、加熱処理、化学的修飾、徐放性製剤化など)することによって、免疫寛容を誘導できるようなアレルゲン性を維持しながら、即時型症状の誘発リスクを低下させたものである。アレルゲンワクチンの例としては、卵を加熱変性して粉末化した卵アレルギー治療用組成物や(特許文献5及び6)、修飾β-ラクトグロブリンを含む牛乳アレルギー治療用組成物が開示されている(特許文献7)。また、スギ花粉の主要なアレルゲンタンパク質とされるCryj1とCryj2との融合タンパク質を用いたスギ花粉症治療用組成物や(特許文献8)、それら以外のスギ花粉アレルゲンタンパク質を利用したスギ花粉症治療用組成物も開示されている(特許文献9)。

しかし、このようなアレルゲンワクチンを用いた場合でも、減感作療法によって重篤なアレルギー発症を完全に防ぐことは困難であることが知られている(非特許文献1~3)。特に、食物アレルギー患者には乳児や幼児も多く含まれるため、減感作療法のリスクはさらに高いものとなる。実際、日本では、経口免疫療法によって、心肺停止を含む重篤なアレルギー症状(アナフィラキシー)を呈した数件の事例が報告されている。以上のことから、より安全性の高い経口免疫療法用のアレルゲンワクチン(免疫寛容誘導剤)の開発が強く求められている。

他方、ヒトの肺胞II型細胞から分泌される「肺サーファクタント」は、新生児呼吸窮迫症候群の特効薬として知られている。本発明者らは、「肺サーファクタント」のアジュバントとしての利用可能性に早くから注目し、大量生産が可能な人工合成肺サーファクタント(Synthetic pulmonary surfactant;SSF)を開発した(特許文献10~12)。さらに、本発明者らは、増粘剤のカルボキシビニルポリマー(Carboxyvinyl polymer;CVP)を添加することにより、SSFによる抗原の運搬時間が延長できることを突き止め、SSFとCVPと含む人工合成粘膜アジュバントSF10を開発した(特許文献13、非特許文献4、及び非特許文献5)。

また発明者らは、経鼻接種用インフルエンザワクチンのアジュバントとしてSF10を用いた結果、Th1及びTh2免疫系がバランス良く誘導され、血中だけでなく、鼻腔洗浄液や気管支肺胞洗浄液中でもインフルエンザ抗原特異的IgAが増加すること、また、炎症反応を含むいかなる副作用も起こらなかったことを明らかにした(非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6)。しかし、SF10の経口投与はこれまで全く試みられておらず、その効果は全く不明である。

Field of industrial application

本発明は、肺サーファクタント由来人工合成粘膜アジュバントSF10(特許文献、非特許文献にSF-10と記載されることもある)と、抗原とを含む、経口投与用の免疫寛容誘導剤やアレルギー性疾患の治療又は予防剤に関する。本発明の免疫寛容誘導剤やアレルギー性疾患の治療又は予防剤は、アレルギー性疾患、特に食物アレルギーの治療又は予防のための経口免疫療法に用いることができる。

Scope of claims 【請求項1】
肺サーファクタント由来人工合成粘膜アジュバントSF10と、抗原とを含む、経口投与用の免疫寛容誘導剤。

【請求項2】
抗原が、オボムコイド、オボアルブミン、及びカゼインから選択される1又は2以上の抗原である、請求項1に記載の免疫寛容誘導剤。

【請求項3】
肺サーファクタント由来人工合成粘膜アジュバントSF10と抗原とを含む、経口投与用の免疫寛容誘導剤を有効成分として含有するアレルギー性疾患の治療又は予防剤。

【請求項4】
治療又は予防が、経口免疫療法である、請求項3に記載のアレルギー性疾患の治療又は予防剤。

【請求項5】
アレルギー性疾患が、食物アレルギーである、請求項3又は4に記載のアレルギー性疾患の治療又は予防剤。

【請求項6】
食物アレルギーが、牛乳アレルギー又は卵アレルギーである、請求項5に記載のアレルギー性疾患の治療又は予防剤。
IPC(International Patent Classification)
F-term
Drawing

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JP2020539367thum.jpg
State of application right 公開
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