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環状一本鎖抗体

Patent code P210017878
File No. (S2018-0765-N0)
Posted date 2021年8月23日
Application number 特願2020-530175
Date of filing 令和元年7月8日(2019.7.8)
International application number JP2019026983
International publication number WO2020013126
Date of international filing 令和元年7月8日(2019.7.8)
Date of international publication 令和2年1月16日(2020.1.16)
Priority data
  • 特願2018-130203 (2018.7.9) JP
Inventor
  • 森岡 弘志
  • 小橋川 敬博
  • 佐藤 卓史
  • 福田 夏希
  • 山内 聡一郎
Applicant
  • 国立大学法人熊本大学
Title 環状一本鎖抗体
Abstract 本発明は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域が第1のペプチドリンカーで連結されたscFvにおいて、そのN末端とC末端が第2のペプチドリンカーで連結されている、環状scFvを提供する。
Outline of related art and contending technology

モノクローナル抗体は、腫瘍学、慢性炎症性疾患、移植、感染症、循環器内科、または眼科疾患を含む様々な臨床現場において治療物質として利用され、さらに、検査薬、センサー素子等、様々な用途で利用されている。抗体の主要な機能は抗原(標的分子)に対して特異的に結合することであり、抗原は、Fvドメインにより認識されている。

抗体のFvドメインは重鎖由来のFvドメイン(VH)と軽鎖由来のFvドメイン(VL)から成る。Fvドメインを抗体から切り出してきた断片であるFv断片においても多くの抗体が標的結合能を維持しており、抗体の抗原結合機能の最小単位を成す。一本鎖抗体(scFv: single-chain Fv)はVHとVLをペプチドリンカーにより連結したものである。例えば、終末糖化産物(AGEs)を認識するscFvについて報告がされている(非特許文献1)。

一般にモノクローナル抗体はCHO細胞やハイブリドーマといった真核生物由来の細胞が生産に使用され、生産に多大なコストを要する。scFvは分子量が25kDa程度であり、全長抗体に比べてその分子量は著しく小さい。そのため、大腸菌などの原核生物をホストとして使用する生産が可能となり、scFvは全長抗体に比べて生産コストの面で優位性を有している。

またscFvの三量体に相当する環状一本鎖三重特異性抗体に関しても報告がされている(特許文献1)。一方でscFvは一般に会合して多量体を形成する特性を有しており、scFvが形成する二量体、三量体、および四量体に関して報告がされている(非特許文献2~4)。このようにscFvが容易に多量体を形成するという特性は、scFvの安定性の向上という点において課題となっていた。

抗体分子の安定性は3つの意味を含む。一つ目は耐熱性もしくは熱安定性であり、二つ目はタンパク質分解酵素に対する安定性であり、三つ目は会合体形成が抑制されることによる保存安定性である。scFvは特に保存安定性において問題を有していた。

ペプチドの改変においてソルターゼを用いる方法について報告がされており(特許文献2および3、ならびに非特許文献5および6)、ソルターゼを用いた環状ペプチドの合成方法に関する報告もされている(非特許文献7)。

インテインは、中央部のインテインと、それを挟む配列(エクステイン)により構成されている。インテインは、インテイン部分を宿主配列から自己切除し、ペプチド結合によりインテインを挟む配列(エクステイン)を連結する反応を触媒する内部タンパク質因子である。インテイン反応は、補助酵素または補因子を必要としない翻訳後プロセスである(非特許文献8)。インテインの上流に配置されたエクステイン配列を「N-エクステイン」と呼び、インテインの下流に配置されたエクステインを「C-エクステイン」と呼ぶ。インテイン反応の産物として、成熟タンパク質とインテインの2つの安定なタンパク質が得られる。

インテインは、二つに分割することができ、かつ、2つの個別に転写および翻訳された遺伝子によりコードされる2つの断片として存在することもできる。分割されたインテインはスプリットインテインと呼ばれ、自己会合し、N-エクステインとC-エクステインをペプチド結合により連結するタンパク質スプライシング反応を触媒する。スプリットインテインは、人為的にインテインを分割することで作製することができる。天然においても存在しており、多様なシアノバクテリアおよび古細菌において確認されている(非特許文献9~14)。Nostoc punctiforme 由来のDnaE(NpuDnaE)は、非特許文献で報告されている中では最も高いインテイン反応効率を示すスプリットインテインである(非特許文献14および15)。インテイン反応を目的タンパク質の環化反応として用いることについても報告がされている(特許文献4および5)。

Field of industrial application

本発明は、新規な一本鎖抗体、およびその製造方法に関する。

Scope of claims 【請求項1】
重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)が第1のペプチドリンカーで連結された一本鎖抗体(scFv)において、そのN末端とC末端が第2のペプチドリンカーで連結されている、環状一本鎖抗体。

【請求項2】
環状構造がペプチド結合のみで形成されている、請求項1に記載の環状一本鎖抗体。

【請求項3】
VHとVLが分子内で会合して抗原結合部位を形成する、請求項1または2に記載の環状一本鎖抗体。

【請求項4】
分子内に1つの抗原結合部位を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の環状一本鎖抗体。

【請求項5】
第1のペプチドリンカーが15~27個のアミノ酸からなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の環状一本鎖抗体。

【請求項6】
第2のペプチドリンカーが15~28個のアミノ酸からなる、請求項1~5のいずれか1項に記載の環状一本鎖抗体。

【請求項7】
VHおよびVLが同一で非環状の一本鎖抗体と比較して、凝集体形成が抑制されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の環状一本鎖抗体。

【請求項8】
第2のペプチドリンカーがトランスペプチダーゼにより形成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の環状一本鎖抗体。

【請求項9】
トランスペプチダーゼがソルターゼである、請求項8に記載の環状一本鎖抗体。

【請求項10】
第2のペプチドリンカーがアミノ酸配列:LPXTG(ここで、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の環状一本鎖抗体。

【請求項11】
第2のペプチドリンカーがスプリットインテインによるトランス-スプライシング反応により形成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の環状一本鎖抗体。

【請求項12】
請求項1~7のいずれか1項に記載の環状一本鎖抗体の製造方法であって、
1)重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)が第1のペプチドリンカーで連結された一本鎖抗体(scFv)であって、N末端およびC末端にトランスペプチダーゼ認識配列を有する非環状ペプチドを調製する工程;
2)トランスペプチダーゼを用いて前記一本鎖抗体のN末端およびC末端のトランスペプチダーゼ認識配列から第2のペプチドリンカーを形成し、前記一本鎖抗体を環化する工程
を含む、前記製造方法。

【請求項13】
トランスペプチダーゼがソルターゼである、請求項8に記載の製造方法。

【請求項14】
非環状ペプチドがN末端のトランスペプチダーゼ認識配列がLPXTG(ここで、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含む、請求項12または13に記載の製造方法。

【請求項15】
非環状ペプチドがC末端のトランスペプチダーゼ認識配列がGGを含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項16】
請求項1~7のいずれか1項に記載の環状一本鎖抗体の製造方法であって、
1)重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)が第1のペプチドリンカーで連結された一本鎖抗体(scFv)であって、N末端にスプリットインテインのC末端側断片(Int-C)およびC末端にスプリットインテインのN末端側断片(Int-N)をそれぞれ有する非環状ペプチドを調製する工程;
2)スプリットインテインによるトランス-スプライシング反応により第2のペプチドリンカーを形成し、前記一本鎖抗体を環化する工程
を含む、前記製造方法。

【請求項17】
スプリットインテインのC末端側断片(Int-C)としてDnaE-Int-C、N末端側断片(Int-N)としてDnaE-Int-Nが用いられる、請求項16に記載の製造方法。

【請求項18】
請求項16の工程1に記載の非環状ペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸。

【請求項19】
請求項18に記載の核酸を含有する組換えベクター。

【請求項20】
請求項19に記載の組換えベクターを導入した形質転換体。
IPC(International Patent Classification)
F-term
Drawing

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JP2020530175thum.jpg
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