TOP > 国内特許検索 > アルコール生産システムおよびアルコール生産方法
近年、地球環境問題の観点からバイオマスの利用が注目されている。特に、次世代自動車燃料として期待されているエタノール等のアルコールをバイオマスから製造する技術についての研究開発が盛んに行われている。このアルコール生産は、バイオマス原料を、加水分解などの糖化工程により糖類に分解した後、酵母(微生物)を用いたアルコール発酵によりエタノールに変換することにより行われる。
一般的なバイオマス原料としては、サトウキビなどの糖質を含むものあるいはトウモロコシなどのデンプン質を含むものが多く用いられている。その他にも、バガスや稲わらのような草木系原料、木材チップ等の木質系原料、バイオマス等のセルロース系原料も原料として用いられている。しかし、これらの糖質やデンプン質原料は本来食用資源であり、これらの食用資源を長期的、安定的に工業用利用資源として用いることは、今後生じる人口増加問題と拮抗するため好ましくない。
そこで最近では、産業廃棄物等を用いたバイオマスが研究されており、例えば、セルロース系資源として利用可能な廃建材等からアルコールを生成する方法等が提案されている。
しかし、廃建材の中でも合板等の加工木材を用いる場合には、木材チップ等の未加工木材を用いた場合と比較して、発酵工程でのアルコールや有機酸の収率が低下するという問題があった。その原因は、加工木材には酢酸あるいはギ酸等が含まれている接着剤等が使用されており、これらが糖溶液中に含まれていると微生物による発酵を阻害する発酵阻害物質として作用するからである。この発酵阻害物質を除去する方法としては、イオン交換分離を採用することができるが、コストが高くなるなどの点で問題となる。そこで、糖溶液から発酵阻害物質糖を蒸発させて除去する前処理工程等を設けることにより、発酵収率を向上させる方法(第1の方法)などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、アルコール発酵としては、醸造食品関連分野で古くから行われている方法が利用されており、例えば、Saccharomyces cerevisiaeを用いた方法等が最も一般に用いられている。しかし、アルコール生産性を重視する工業用や燃料用エタノールを生産する時は、一般にpH5付近で用いられている。このため、培養液や発酵装置の殺菌や温度制御は避けることができない。
そこで、酵母についても、耐酸性および耐塩性を有する酵母の開発がなされている。このような耐酸性の酵母を用いる方法(第2の方法)により、例えば、バイオマス原料を硫酸等の酸で加水分解(糖化)したpH3以下の糖溶液を用いた場合においてもアルコール発酵が可能となる。更に、上記酵母は耐酸性および耐塩性の他、耐糖性および耐アルコール性を複合的に有しているため、培地や発酵装置の殺菌などが不要になる(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】 特開2004-187650号公報【特許文献2】 特開2004-344084号公報
本発明は、例えば生ごみなどの廃棄物から燃料用アルコールを得ることが可能なアルコール生産システムおよびアルコール生産方法に係り、特にアルコール発酵にお酒製造で使用するSaccharomyces cerevisiaeに属する酵母を用いる場合に有効なアルコール生産システム及びアルコール生産方法に関する。
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