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走査型アトムプローブおよび走査型アトムプローブを用いた分析方法

国内特許コード P08S000076
整理番号 PA14-005
掲載日 2008年5月9日
出願番号 特願2002-590391
登録番号 特許第4111501号
出願日 平成14年3月22日(2002.3.22)
登録日 平成20年4月18日(2008.4.18)
国際出願番号 JP2002002802
国際公開番号 WO2002093615
国際出願日 平成14年3月22日(2002.3.22)
国際公開日 平成14年11月21日(2002.11.21)
優先権データ
  • 60/278,423 (2001.3.26) US
発明者
  • 西川 治
出願人
  • 学校法人金沢工業大学
発明の名称 走査型アトムプローブおよび走査型アトムプローブを用いた分析方法
発明の概要 走査型アトムプローブ(100)において、まず、表面形状分析部(20)により試料(3)の表面形状が分析される。つづいて、引出電極(5)が試料表面の所望の分析領域に位置合わせされる。分析領域の電子状態を分析する場合は、試料(3)に直流高圧電源(2)から負のバイアス電圧を印加し、電界放射された電子をスクリーン(9)により検出する。分析領域の原子配置および組成を分析する場合は、試料(3)に直流高圧電源(2)およびパルス発生器(1)から正の電圧を印加し、電界蒸発により生成した陽イオンを、位置感知型イオン検出器(11)またはリフレクトロン型質量分析器(13)により検出する。
従来技術、競合技術の概要


試料の表面を原子レベルで分析するための装置に、電界放射顕微鏡(Field Emission Microscope:以下、「FEM」とも表記する)がある。FEMでは、長く鋭い針状の試料に負の高電圧を印加して、半球面状の針先に高電界を発生させる。この高電界は、電子を表面内に閉じ込めているポテンシャル障壁を引き下げるが、電界が十分に高いと、障壁の幅は約1nmとなり、ハイゼンベルグの不確定性原理により電子がポテンシャル障壁を通り抜けて放射され、針の前方のスクリーンに入射して明暗像を映し出す。放射された電子は、針先の半球面の半径方向へ放射状に放出されるので、スクリーンには、針先の各領域の仕事関数に対応した明暗像が拡大投影される。像の倍率は、針先の曲率半径と針先からスクリーンまでの距離との比にほぼ等しく、曲率半径を100nm、距離を10cmとすると、約百万倍となる。この倍率は、原子の直接観察を可能にするほど高いが、ハイゼンベルグの不確定性原理によると、電子の放射位置の不確定幅が原子間の間隔よりも広いので、分解能は約1nmと低く、個々の原子の分解観察は不可能である。しかし、放射電流密度は、放射領域の仕事関数により大きく増減するので、スクリーン上の各領域でのI-V特性から、微細領域の仕事関数と電子状態を調べることができる。
電子よりもはるかに重い原子を放射させると、位置の不確定幅は0.1nm以下と小さくなるので、個々の原子の直接観察が可能な程度の分解能が得られると考えられる。これを可能とする装置が、電界イオン顕微鏡(Field Ion Microscope:以下、「FIM」とも表記する)である。FIMでは、FEMの試料容器内にヘリウムやネオンなどの不活性ガスを導入し、針に正の高電圧を印加する。針先に発生する電界が十分に高いと、針先の個々の原子の直上でガス原子が電界イオン化し、陽イオンとなって放射される。この陽イオンの軌跡は、FEMにおける電子とほぼ同じであり、ガスを冷却して熱運動を抑えることにより分解能を上げると、スクリーンには針先の半球面上の原子の配列が直接映し出される。針先に発生する電界がさらに高いと、ガス原子のみならず、針先の表面原子そのものが陽イオンとして脱離する。この電界蒸発を利用して、表面原子を1原子層ずつ剥離していくことにより、表面から順に内部の各層を観察することができる。
FIMにおいて試料を表面から1原子層ずつ陽イオンとして電界蒸発させたときに、蒸発した陽イオンを質量分析器に導入し、蒸発領域の組成分布を原子レベルの分解能で解明できるようにした装置が、アトムプローブ(Atom Probe:以下、「AP」とも表記する)である。APは、FIMにより観察された原子を一つ一つ検出同定できるという優れた機能を持つが、試料は、FEMやFIMと同様に、鋭い針状で、かつ先端の曲率半径が100nm程度以下になるまで研磨したものでなければならない。この様な研磨は、伝導性有機材料、セラミックス、ダイヤモンドなどにおいては容易ではなく、FEM、FIM、およびAPによる観察対象は特定の試料に限られてしまっていた。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく、針状の試料を必要としない走査型アトムプローブ(Scanning Atom Probe:以下、「SAP」とも表記する)を開発した。SAPの技術は、たとえば、日本国公開特許公報の特開平7-43373号公報に開示されている。SAPは、漏斗型の微細な引出電極を備えており、この引出電極により平面状の試料を面に沿って走査する。試料面上に数μmの凹凸があり、その突起の先端の位置に引出電極の先端の穴が合うと、先端と穴との間の微細な空間に発生した高電界が、突起先端の原子を電界蒸発させるので、APと同様の分析が可能となる。
SAPの開発により、分析可能な試料の幅は飛躍的に広がった。この優れた機能を有する装置が、より多くの研究者に利用され、素晴らしい研究成果を導き出すために、本発明者は、SAPのさらなる改良に努力を重ねている。

産業上の利用分野


本発明は、試料を分析するための分析装置および分析方法に関し、とくに、試料表面を原子レベルの分解能で分析可能な走査型アトムプローブと、その走査型アトムプローブを利用した分析方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
試料の表面を走査する電極と、
前記試料に電圧を供給する電圧供給部と、
前記電圧供給部により、前記試料の表面の原子が電界蒸発するのに十分な電圧を供給したときに、電界蒸発により生成したイオンを検出するイオン検出部と、
前記試料の表面の形状を分析する表面形状分析部と、
を備え、
前記表面形状分析部は、前記電極を探針として前記試料の表面を走査し、
前記電極は、漏斗型の形状を有し、試料側の先端の穴の周囲に、前記探針として機能する突起部を有する
ことを特徴とする分析装置。

【請求項2】
前記突起部は、前記電極の先端に上乗せされた極微電極の先端に設けられることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。

【請求項3】
前記極微電極は、イオンビームCVD法により形成されることを特徴とする請求項2に記載の分析装置。

【請求項4】
前記電極は白金により構成され、前記突起部は炭素、タングステン、イリジウム、及び電導性炭化物のうちいずれかにより構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の分析装置。

【請求項5】
前記試料の表面は平面状の形状を有し、前記表面形状分析部は、前記表面上の突起を探査し、前記電極は、前記突起の先端に位置合わせされ、前記イオン検出部は、前記突起の先端から電界蒸発したイオンを検出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の分析装置。

【請求項6】
前記表面形状分析部は、走査型トンネル顕微鏡であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の分析装置。

【請求項7】
前記表面形状分析部は、原子間力顕微鏡であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の分析装置。

【請求項8】
前記表面形状分析部は、前記電極と交換可能に設けられた探針により前記試料の表面を走査することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の分析装置。

【請求項9】
前記試料の表面の原子を光励起電界蒸発させるべく、前記試料にレーザー光を照射するためのレーザーをさらに備えることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の分析装置。

【請求項10】
前記イオン検出部は、電界蒸発により生成したイオンの位置を分析可能な位置感知型イオン検出器を含むことを特徴とする請求の範囲1から9のいずれかに記載の分析装置。

【請求項11】
前記イオン検出部は、電界蒸発により生成したイオンの質量を分析可能な質量分析器を含むことを特徴とする請求の範囲1から10のいずれかに記載の分析装置。

【請求項12】
前記電圧供給部により、前記試料の表面の電子が電界放射されるのに十分な電圧を供給したときに、前記電界放射された電子による像を投影する投影部をさらに備えることを特徴とする請求の範囲1から11のいずれかに記載の分析装置。

【請求項13】
電界放射された電子のうち、前記電極に入射した電子の電流値を測定する第1の電流計をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の分析装置。

【請求項14】
電界放射された電子のうち、前記投影部に入射した電子の電流値を測定する第2の電流計をさらに備えることを特徴とする請求項12又は13に記載の分析装置。

【請求項15】
前記第1の電流計または前記第2の電流計により測定された電流値に基づいて、前記電極を位置合わせすることを特徴とする請求項13又は14に記載の分析装置。

【請求項16】
漏斗型の形状を有する電極の、試料側の先端の穴の周囲に形成された突起部を探針として用いて試料の表面を走査して、試料の表面形状を取得する工程と、
前記電極を前記表面にある突起の先端に位置合わせする工程と、
前記試料に正電圧を供給して、表面の原子を電界蒸発させる工程と、
電界蒸発により生成したイオンを検出する工程と、
を含むことを特徴とする分析方法。

【請求項17】
前記原子を電界蒸発させる工程と、前記イオンを検出する工程とを繰り返し、前記試料における原子の3次元配置を取得することを特徴とする請求項16に記載の分析方法。

【請求項18】
前記試料に負電圧を供給して、表面の電子を電界放射し、その電子を検出する工程と、
前記負電圧の電圧値を変化させたときの、前記電圧値と前記電子の電流値との関係を測定する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項16又は17に記載の分析方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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