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鋼構造物の疲労き裂補修方法 UPDATE コモンズ 実績あり

国内特許コード P10P006830
整理番号 NU-0229
掲載日 2010年6月18日
出願番号 特願2008-299880
公開番号 特開2010-125534
登録番号 特許第4441641号
出願日 平成20年11月25日(2008.11.25)
公開日 平成22年6月10日(2010.6.10)
登録日 平成22年1月22日(2010.1.22)
発明者
  • 山田 健太郎
  • 石川 敏之
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 鋼構造物の疲労き裂補修方法 UPDATE コモンズ 実績あり
発明の概要 【課題】鋼構造物に発生したごく初期段階の疲労き裂に対しても適用可能であるとともに、この疲労き裂を簡便かつ安価に補修することが可能であり、疲労き裂の進展を止める、あるいは疲労き裂の進展を遅延させて鋼構造物の疲労寿命の延命化を図ることができる疲労き裂補修方法を提供する。
【解決手段】鋼板1の表面の疲労き裂3を挟んだ両側のうち少なくとも一側を疲労き裂3と平行にピーニングすることにより鋼板1の表面に塑性変形を付与し、疲労き裂3の開口部を閉じてき裂接触面3aを形成する疲労き裂周辺ピーニング工程を有する。さらに、好ましくは、疲労き裂周辺ピーニング工程の後工程として、疲労き裂3の直上をピーニングすることにより鋼板1の表面に塑性変形を付与し、き裂接触面3aの接触面積及び/又は接触圧力を増加する疲労き裂直上ピーニング工程を有する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


鋼橋に代表される鋼構造物が繰返し荷重を受けると、金属疲労によって鋼構造部材の表面に疲労き裂が発生する場合があり、この疲労き裂を放置すると、疲労き裂が進展し、鋼橋の耐力が維持できなくなる危険性がある。このため、鋼橋の維持・管理においては、疲労き裂の発生防止や早期発見・補修・補強などの疲労き裂対策が求められている。



日本では、1960年代からの高度経済成長に合わせて道路網が整備され、多くの鋼橋が建設されてきた。これらの鋼橋は供用開始後40~50年が経過しており、様々な劣化現象が顕在化しているのに加えて、近年の交通荷重とその頻度の増加に伴って、鋼橋の溶接継手部に疲労き裂が発生しているのが発見されるようになった。



図16に鋼橋における代表的な継手構造である面外ガセット溶接継手のまわし溶接部における溶接止端に発生した疲労き裂がその周辺に進展していく状況を示す。面外ガセット溶接継手5は鋼構造部材14と直角にガセットプレート6がすみ肉溶接された継手構造からなる。すみ肉溶接金属2の特にまわし溶接部7の溶接止端及びその周辺は、溶接時の熱による引張残留応力の蓄積や、溶接止端を境界に形状が急変することにより応力集中の影響を受け易いことから、疲労き裂3が発生し易い部位となっている。



図16(a)は疲労き裂3が発生していない状況、図16(b)はまわし溶接部7の溶接止端に疲労き裂3が発生した状況(以下、Ntoeと呼ぶ)、図16(c)はまわし溶接部7の溶接止端に発生した疲労き裂3が進展してすみ肉溶接金属2の溶接止端から離れ始めた状況(以下、Nと呼ぶ)、図16(d)はまわし溶接部7の溶接止端に発生した疲労き裂3が進展してすみ肉溶接金属2の溶接止端から離れて鋼構造部材14の平板部まで10mm進展した状況(以下、N10と呼ぶ)を示している。なお、N10から先の疲労き裂3の進展は急速であることが知られている。



このような疲労き裂の進展状況や鋼橋の重要度に応じて、今後短期間で疲労き裂が進展して危険な状況に陥ると判断される場合には、疲労き裂発生部分に添接板を配置して高力ボルトで摩擦接合を行うという恒久的な補修・補強対策が実施されている。



また、疲労き裂が小さくて危険な状況まで進展していないと判断される場合には、疲労き裂進展方向の先端に円孔を削孔することによってき裂先端の応力集中を緩和し、一時的に疲労き裂の進展を止めるストップホールという疲労き裂対策が実施されている。



さらに、溶接止端及びその周辺の疲労き裂の発生防止対策として、特表2008-520443号公報(特許文献1)に記載の疲労き裂発生防止対策も実用化されている。この疲労き裂発生防止対策は、図17(a)に示すように超音波衝撃処理装置15をすみ肉溶接金属2の溶接止端に押し当てて、この部分に超音波振動による打撃を加えることによって、図17(b)に示すように鋼材表面に塑性変形を加えて超音波処理面16を形成するものである。



溶接止端に超音波処理面16を形成することによって、溶接時の熱によって蓄積した引張残留応力は緩和され、好ましくは超音波処理面16の周辺を圧縮残留応力が蓄積した状態に変化させるとともに、溶接止端及びその周辺の形状を丸くすることで応力集中の影響を緩和するものである。これらの効果によって、疲労き裂の発生が抑制され疲労強度が向上する。
【特許文献1】
特表2008-520443号公報

産業上の利用分野


本発明は鋼構造物に発生した疲労き裂の補修方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
鋼材の平板部又は曲板部に発生した疲労き裂を補修の対象とし、
鋼材表面の疲労き裂を挟んだ両側のうち少なくとも一側を該疲労き裂と平行にピーニングすることにより該鋼材表面に塑性変形を付与し、該疲労き裂の開口部を閉じてき裂接触面を形成する疲労き裂周辺ピーニング工程と、
前記疲労き裂周辺ピーニング工程の後工程として、前記疲労き裂の直上をピーニングすることにより前記鋼材表面に塑性変形を付与し、前記き裂接触面の接触面積及び/又は接触圧力を増加する疲労き裂直上ピーニング工程と、
を有することを特徴とする鋼構造物の疲労き裂補修方法。

【請求項2】
鋼材の溶接止端に発生した疲労き裂を補修の対象とし、
鋼材表面の疲労き裂を挟んだ両側のうち溶接金属側と異なる一側を該疲労き裂と平行にピーニングすることにより該鋼材表面に塑性変形を付与し、該疲労き裂の開口部を閉じてき裂接触面を形成する疲労き裂周辺ピーニング工程と、
前記疲労き裂周辺ピーニング工程の後工程として、前記疲労き裂の直上をピーニングすることにより前記鋼材表面に塑性変形を付与し、前記き裂接触面の接触面積及び/又は接触圧力を増加する疲労き裂直上ピーニング工程と、
を有することを特徴とする鋼構造物の疲労き裂補修方法。

【請求項3】
面外ガセット溶接継手のまわし溶接部における溶接止端に発生した疲労き裂を補修の対象とし、
溶接止端に発生した疲労き裂が進展して該溶接止端から離れる前の状態において、該溶接止端に請求項2に記載の疲労き裂補修方法を適用することを特徴とする鋼構造物の疲労き裂補修方法。

【請求項4】
面外ガセット溶接継手のまわし溶接部における溶接止端及びその周辺に発生した疲労き裂を補修の対象とし、
溶接止端に発生した疲労き裂が進展して該溶接止端から離れて平板部又は曲板部まで進展した後の状態において、該平板部又は曲板部に請求項1に記載の疲労き裂補修方法を適用するとともに、該溶接止端に請求項2に記載の疲労き裂補修方法を適用することを特徴とする鋼構造物の疲労き裂補修方法。

【請求項5】
前記疲労き裂と平行に設置したガイドにより前記ピーニングの軌道を案内しながら、該ピーニングを行うことを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか一つに記載の鋼構造物の疲労き裂補修方法。

【請求項6】
前記き裂接触面に作用する圧縮残留応力が設計引張応力以上であることを特徴とする請求項1~5のうちのいずれか一つに記載の鋼構造物の疲労き裂補修方法。

【請求項7】
前記き裂接触面に作用する圧縮残留応力が降伏応力以上であることを特徴とする請求項6に記載の鋼構造物の疲労き裂補修方法。
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2008299880thum.jpg
出願権利状態 登録
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