TOP > 国内特許検索 > 生分解性高吸水性高分子の合成方法
高吸水性高分子はその高い吸水性と保水性から衛生用品をはじめ、農業・園芸、流通資材、土木・建築、医療、トイレタリーまで幅広い活用がされている。歴史的にはまだ企業化が始められてから僅か25年程度であるが、衛生材料を中心として大きな市場が形成されており、その国内市場規模50万トン、750億円といわれている。
高吸水性高分子の合成には、一般的に原油から精製されるポリアクリル酸ナトリウム架橋体などアクリル酸系樹脂などを原料として用いられることが多い。しかしながらアクリル酸系は難分解性であるので、紙おむつなどに使用した場合、廃棄後これらが環境中に分散すれば環境問題を引き起こすことが懸念されている。そこで近年、生分解性を有する高吸水性高分子の開発が行われてきている。
生分解性を有し、かつ吸水力に優れた材料として、セルロース誘導体を利用することが試みられており、特にカルボン酸塩を構造中に含むカルボキシメチルセルロースを用いて検討されてきた。例えばカルボキシメチルセルロースを化学的に架橋する方法(特許文献1~4)、放射線架橋を用いて自己架橋する方法(特許文献5)が知られている。
しかし、上記技術では、いずれもセルロース誘導体を出発物質として使用し、製造コストの点で問題が残る。また架橋部とカルボキシメチルセルロース間の結合はエーテル結合であり、化学的に安定なため、生分解性の点でも問題がある。
一方、セルロースそのものを、エーテル結合ではなく高い生分解性を示すエステル結合で架橋する方法として、コハク酸無水物を用いる方法が開示されているが(非特許文献1)、得られる吸水性材料中に含まれるカルボン酸ナトリウム塩の含有量が少ないため、吸水速度が遅いものしか得られないという問題がある。
本発明は、生分解性を持つ高吸水性高分子の合成方法および該合成方法により得られる生分解性高吸水性高分子に関するものである。
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