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水中での鉄系金属の防食方法 実績あり

国内特許コード P110002855
整理番号 Y00-P425
掲載日 2011年6月8日
出願番号 特願2001-102422
公開番号 特開2002-301624
登録番号 特許第3797884号
出願日 平成13年3月30日(2001.3.30)
公開日 平成14年10月15日(2002.10.15)
登録日 平成18年4月28日(2006.4.28)
発明者
  • 八代 仁
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 水中での鉄系金属の防食方法 実績あり
発明の概要 【課題】 洗浄過程での洗浄液の量を大幅に減らし、水中での鉄の防食を完全にし、ワイヤ放電加工機による加工液中における鉄の防食・水槽中での金型や鉄部品の洗浄・保管を可能にし、イオン交換樹脂の寿命の管理を可能とし、防食装置としての信頼性を向上する。
【解決手段】 亜硝酸イオンを主剤として固定した陰イオン交換樹脂を調整するに当たり、モル比9対1程度の亜硝酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合溶液を強塩基性陰イオン交換樹脂に通じたのち、洗浄液の伝導度が10μS cm-1程度以下に低下するまで水洗して陰イオン交換樹脂を調製する。
従来技術、競合技術の概要


従来から、一般的に金型の精密加工は、水中でワイヤー放電加工によりなされている。、ただ、この従来法においては、金型には硬質な鉄系金属が使われているため、金型用の被削材が長時間水中にある場合には発錆するという問題がある。



また、腐食イオン交換樹脂で防食イオンと交換するという通常の水処理法では防食イオン濃度が高まると水の導電率が上がり放電条件が満たされなくなることも問題である。さらに、待機中の金型は発錆を防止するため油中に保管し、使用前に脱脂することにしているため、厄介な作業と有機溶媒廃棄物が発生するという問題もある。たとえば、これまで、水中における金属の腐食を防止する方法として、防食性イオンを予め吸着したイオン交換樹脂に水を接触させ、腐食性イオンと防食性イオンを交換することを原理とする方法が提案されている(特公昭48―39707)。



そして、防食性イオンを吸着させるためには、その高濃度溶液を樹脂カラムに通過させるようにしている。しかしながら、この方法を、ワイヤー放電加工機の加工液のように、電気伝導度を非常に低い値に規制しながら循環使用している系に適用する場合、非常に低濃度で有効な防食性イオンの使用と、防食液の電気伝導度を上昇させない樹脂組成が必要とされる。だが、地際には、これまでにも 各種の防食性のイオン種が提案されているが、従来の場合には、単に低濃度にするだけでは防食液の電気伝導度の上昇を防ぐことが難しいという問題は解決されないでいた。



また、防食性イオンを吸着したカラムの寿命(汚染度)を知ることは、防食効果を保証する上で非常に重要であるが、そのような簡便なモニター法もこれまでには知られていない。実際、ワイヤ放電加工機において、そのイオン交換樹脂として、市販の陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA―400)330cm3の樹脂容量に、1moldm-3の亜硝酸ナトリウム溶液1dm3を通じて、亜硝酸型陰イオン交換樹脂とし、この樹脂に約20dm3の純水を通じて洗浄した後に、この樹脂を円筒型のカラム(内径43.5mm )に充填し、20dm3の模擬腐食溶液(初期硫酸イオン濃度0.7mgdm-3SO42-+初期塩化物イオン濃度0.7mgdm-3Cl-)を流通速度約500cm3min-1で通水循環させてみる。



図6は、この亜硝酸ナトリウム(1moldm-3)のみを流通して調製した陰イオン交換樹脂カラムによる模擬加工液のイオン交換試験結果を、そのときの模擬腐食溶液の各陰イオン濃度と溶液の電気伝導度の変化とを示したものである。



この図6によれば、硫酸イオンと塩化物イオンが除去され亜硝酸イオン濃度が増加し、600分経過以降の溶液中でも炭素鋼は全く腐食しなかったが亜硝酸イオン濃度が初期硫酸イオンと塩化物イオン濃度の和以上に増加し、模擬腐食溶液の電気伝導度も上昇したことが確認される。このように、亜硫酸ナトリウムのみの調製の場合には、炭素鋼の腐食は防止されるものの、腐食液の電気伝導度が上昇してしまい、このような電気伝導度の上昇を防ぐためにカラムの純粋による洗浄を行ったとしても、樹脂330cm3に20dm3 の純水を通じても十分洗浄できない。このようなことは、実用上大きな問題となる。そこで、この出願の発明は、上記のとおりの従来の問題点を解消し、水中での腐食を防止するとともに、防食イオンによる電気伝導度の上昇という問題を生じさせることなく、水中での放電加工を良好に行うことのできる、新しい技術手段を提供することを課題としている。

産業上の利用分野


この出願の発明は、水中での鉄系金属の防食法に関し、より詳しくは、水中での鉄系金属の防食方法およびこの方法によるワイヤー放電加工機、液中防食保管装置、イオン交換樹脂寿命判定方法とその装置に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
亜硝酸イオンとともに炭酸イオン、炭酸水素イオンおよび水酸化物イオンのうちの1種以上を固定した陰イオン交換樹脂を充填したカラムに、ワイヤー放電加工における加工液を循環通水し、これによって、加工液の電気伝導度を上昇させることなく、腐食性イオンを除去することを特徴とするワイヤー放電加工における水中での鉄系金属の防食方法。

【請求項2】
亜硝酸イオンに対しての炭酸イオン、炭酸水素イオンおよび水酸化物イオンの1種以上の当量比が、0.05~0.5の範囲であることを特徴とする請求項1の防食方法。

【請求項3】
亜硝酸イオンとともに炭酸イオンとが固定された陰イオン交換樹脂がカラム充填されていることを特徴とする請求項1又は2の防食方法。

【請求項4】
洗浄液の電気伝導度を10μS cm-1以下になるように水洗された固定化陰イオン交換樹脂がカラム充填されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの防食方法。

【請求項5】
亜硝酸イオンとともに炭酸イオン、炭酸水素イオンおよび水酸化物イオンのうちの1種以上を固定した陰イオン交換樹脂を充填したカラムに循環させて低電気伝導度とした流水中で金属を洗浄し、循環中にあるいは静止水中に金属を浸漬保持することを特徴とするイオン交換後の水中に鉄系金属を防食しながら保管する方法。

【請求項6】
亜硝酸イオンとともに炭酸イオン、炭酸水素イオンおよび水酸化物イオンのうちの1種以上を固定した陰イオン交換樹脂に電極を接触させ、その電位を参照電極に対して測定しながら、陰イオン交換樹脂中の塩化物イオン濃度をモニターし、亜硝酸イオン対塩化物イオン濃度比を電位によって読み取ることを特徴とする陰イオン交換樹脂の寿命判定方法。

【請求項7】
亜硝酸イオンとともに炭酸イオン、炭酸水素イオンおよび水酸化物イオンのうちの1種以上を固定した陰イオン交換樹脂を充填したカラムと、カラムへの加工液を含む循環手段と、加工液を含むワイヤー放電加工機とを備え、加工液をカラムに循環通水して、加工液の電気伝導度を上昇させることなく、腐食性イオンを除去することを特徴とするワイヤー放電加工機。

【請求項8】
亜硝酸イオンとともに炭酸イオン、炭酸水素イオンおよび水酸化物イオンのうちの1種以上を固定した陰イオン交換樹脂を充填したカラムと、このカラムを循環して得られた低電気伝導度のイオン交換後の水を貯蔵する手段と、イオン交換後の水を流動水又は静止水の状態で鉄系金属を洗浄し、浸漬保持する手段を備えたことを特徴とする鉄系金属の液中防食保管装置。

【請求項9】
亜硝酸イオンとともに炭酸イオン、炭酸水素イオンおよび水酸化物イオンのうちの1種以上を固定した陰イオン交換樹脂を充填したカラムと、陰イオン交換樹脂に接触する第1の電極と、参照電極としての第2の電極と、第1の電極の電位を第2の電極に対して測定する電位測定手段と、電位測定によって、陰イオン交換樹脂中の塩化物イオン濃度をモニターし、亜硝酸イオン対塩化物イオン濃度比を電位によって読み取りイオン交換樹脂の寿命を判定する手段を備えたことを特徴とするイオン交換樹脂寿命判定装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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