TOP > 国内特許検索 > 接触放電ツルーイング・ドレッシング方法およびその装置
超砥粒砥石は従来砥石に比べて摩耗が少なく、高精度な形状創成加工に適している。しかし、その反面、ツルーイング・ドレッシングが困難であるため、広くは普及していないのが現状である。
超砥粒砥石のうち、金属等を結合剤に用いた導電性砥石については放電ツルーイング・ドレッシング、電解ドレッシングなどの手法が適用される(砥粒加工学会誌Vol.39、No.5 1995,SEP、P.21、P.22、P.25、P.26参照)が、従来の方法はいずれも液中で行う方法であり、金型製造業界で一般的に用いられている乾式研削盤には適しなかった。また、上記方法では、砥石主軸にブラシを用いて給電する必要があり、簡便ではなかった。
これに対し、絶縁性の砥石を挟んだ一対の電極に電圧を与え、これを導電性砥石で研削し、その際生じる接触放電現象を利用した接触放電ツルーイング・ドレッシング法がある(砥粒加工学会誌Vol.39、No.5 1995,SEP、P.24参照)。この方法は、砥石主軸にブラシを用いて給電する必要がないので簡便である。
しかし、この従来の接触放電ツルーイング・ドレッシング法では、電極に対する砥石の切込み量や電極の送り速度を一定にして電極を砥石で研削するため、安定した接触放電現象が得られず、場合によっては砥石作業面の円周に周期的凹凸が生じるといった問題が発生した(1990年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集、933~934頁参照)。また、主に機械的に電極を削るため電極の消耗が激しかった。さらに、この接触放電ツルーイング・ドレッシング法は非導電性の砥石には適用することができなかった。
この他に、回転させた従来砥石を用い、結合剤(通常は金属以外の結合剤)を機械的に削り落とすことで砥粒を脱落させるツルーイング・ドレッシング法が数種ある(砥粒加工学会誌Vol.39、No.5 1995,SEP、P.8~11参照)。
しかし、いずれの方法も乾式で適用した場合、大量の砥粒が飛散し、工作機械の寿命や人体に悪影響を与えるため問題となっていた。また、機械的な力によるツルーイング・ドレッシングであるため、V字形の鋭い刃先形状を創成しようとすると刃先が欠けるという問題があった。
また、上記のいずれのツルーイング・ドレッシング法においても、砥石の真円度の大きさをモニタリングしながらツルーイング・ドレッシングする方策が採られていなかった。そのため、荒から仕上げへのツルーイング・ドレッシング条件の移行を自動で連続的に行うことができなかった。また、ツルーイング・ドレッシングをどの時点で終了すべきかを、ツルーイング・ドレッシングを行いながら判断することができなかった。
さらに、上記のいずれのツルーイング・ドレッシング法においても、ツルーイングによる砥石半径減少量をモニタリングしながらツルーイング・ドレッシングする方策が採られていなかった。そのため、インプロセスツルーイング・ドレッシングにおいてツールパス(工具経路)を補正しながら加工を行うことができなかった。
本発明は、二重リング形回転電極による接触放電ツルーイング・ドレッシング方法およびその装置に関するものである。
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