TOP > 国内特許検索 > ミリ波・遠赤外光検出器
一般に、電磁波の検出器には位相敏感検波を行う周波数混合器(ミキサー)と、非干渉性の検波を行うビデオ信号検出器とがあるが、微弱光の検出には後者のビデオ信号検出器の方が感度が優れている。
ミリ波・遠赤外領域での従来のビデオ検出器の中で、最も感度が優れているのは、波長範囲が0.1mm~1mmの0.3K以下の極低温で用いるゲルマニウム複合ボロメーターと、波長範囲が0.06mm~0.1mmの2K程度の低温で用いるドープしたゲルマニウムによる光伝導検出器である。
その雑音等価出力(Noise Equivalent Power、以下「NEP」と記す)は10-16 WHz-1/2から10-18 WHz-1/2に達する。 電磁波のエネルギー量子、すなわち光量子で見た場合、この感度は、1秒間の測定時間を考えたときに、百万個程度以上の光子束が検出器に入射しない限り雑音以上の信号として検出できないことを意味する。
さらに、このような検出器では応答速度が100m秒程度と極めて遅い。応答速度の速い検出器として、超伝導ボロメーター、超伝導トンネル接合、半導体(InSb)中ホットエレクトロン等が利用されているが、感度はゲルマニウム複合ボロメーターに比べて劣る。
上述した検出器とは別に、通常の単一電子トランジスタにマイクロ波を照射すると光子補助トンネル効果(photon assisted tunneling)による信号が得られることが知られているが、この効果では、電磁波光子一つの吸収によって電子が一つしか電極間を移動しないため、検出器としての感度は低い。【特許文献1】 特開平11-004017号公報【特許文献2】 特開平08-274298号公報【非特許文献1】 R. J. Scoelkopf et al., "A Concept for a Submillimeter-Wave Single-Photon Counter", IEEE Transactions on Applied Superconductivity, Vol.9, No.2, June 1999, pp.2935-2939
この発明は、ミリ波・遠赤外光計測器に利用し、特に半導体量子ドットを制御してミリ波・遠赤外領域のビデオ信号を検出するためのミリ波・遠赤外光検出器に関するものである。
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