TOP > 国内特許検索 > 強誘電体単結晶製造のための原料組成決定方法、強誘電体単結晶の音響関連物理定数の校正方法、及び弾性表面波デバイスの設計パラメータ決定方法

強誘電体単結晶製造のための原料組成決定方法、強誘電体単結晶の音響関連物理定数の校正方法、及び弾性表面波デバイスの設計パラメータ決定方法 コモンズ

国内特許コード P110004878
整理番号 P04091502
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2004-290711
公開番号 特開2006-108940
登録番号 特許第4590549号
出願日 平成16年10月1日(2004.10.1)
公開日 平成18年4月20日(2006.4.20)
登録日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発明者
  • 櫛引 淳一
  • 大橋 雄二
出願人
  • 国立大学法人東北大学
発明の名称 強誘電体単結晶製造のための原料組成決定方法、強誘電体単結晶の音響関連物理定数の校正方法、及び弾性表面波デバイスの設計パラメータ決定方法 コモンズ
発明の概要 【課題】育成結晶の正しい化学組成比を求め、高精度なSAWデバイス設計パラメータを与える。
【解決手段】コングルエント組成近傍の組成の結晶に対し、化学組成比変動に対して敏感なLSAWの伝搬方向を決定し、その伝搬方向において各結晶の育成軸方向のLSAW速度分布測定を通して、育成軸方向分布が0になる組成を決定し、その組成でのLSAW速度との絶対的関係を得る。これにより、極めて組成分布の小さい結晶量産を実現し、結晶化学組成評価の信頼性のある絶対的指標を与える。また、化学組成比に関する音響関連物理定数の正しい関係を求め、育成結晶の化学組成比に対応した音響関連物理定数を用いてSAWデバイス設計パラメータを高精度に決定する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


強誘電体LiNbO3、LiTaO3単結晶は、圧電効果だけでなく、電気光学効果や非線形光学効果など光学特性に関する優れた特性を有することから、弾性表面波(SAW)デバイスだけでなく光エレクトロニクスデバイスへの応用が盛んである。デバイスの性能は、究極的には単結晶基板の品質に依存する。そのため、デバイスの高性能化には、単結晶基板の均質性の向上(主に化学組成比の均一化)は欠かせない要素である。しかし、化学組成評価のために従来から広く利用されているキュリー温度TCの測定値は、各結晶製造業者の測定条件や測定装置に依存して異なり、また、その測定再現性も十分ではないため、信頼性のある結晶評価が行えなかった([非特許文献1]、[非特許文献2])。



それに対し、信頼性の高い評価技術として、直線集束ビーム(LFB) 超音波材料特性解析装置([非特許文献3]、[非特許文献4])が提案されている。本装置は、水と試料基板の境界を伝搬する音波である漏洩弾性表面波(LSAW)の位相速度VLSAWを高精度に測定することができる。結晶の均一性を左右する主要因である化学組成比の変化をVLSAWの変化として捉えることにより評価が行われる。[特許文献1]において、量産される結晶内、結晶間の化学組成分布を許容範囲に抑えるために、LiTaO3単結晶に対する真のコングルエント組成(原料融液と育成結晶の組成が一致する組成)および原料融液組成ずれの許容幅を与えている。



しかし、LiNbO3単結晶に対するそれらの値は求められていない。また、前述のように信頼性の低いTCの測定値から化学組成比を推定していたため、従来求められているLiNbO3、LiTaO3単結晶に対する化学組成比と音響関連物理定数(弾性定数、圧電定数、誘電率、密度)の間の関係も信頼性が低い[非特許文献5]。さらに、信頼性の低い各パラメータ(化学組成比、音響関連物理定数)を元にSAWデバイス等の設計を行えば、デバイス性能の低下、歩留まりの低下を招く。
【特許文献1】
特願2004-103891号
【非特許文献1】
J. Kushibiki, Y. Ohashi, and N. Mishima,"Calibration of Curie temperatures for LiTaO3 single crystalsby the LFB ultrasonic material characterization system," IEEE Trans. Ultrason., Ferroelect., Freq.Contr., vol. 50, pp. 544-552, May 2003.
【非特許文献2】
J. Kushibiki, Y. Ohashi, and M. Mochizuki, "Evaluation of mass-producedcommercial LiTaO3 single crystals using the LFB ultrasonic materialcharacterization system," IEEE Trans. Ultrason.,Ferroelect., Freq. Contr., vol. 51, pp. 748-755, June2004.
【非特許文献3】
J. Kushibiki and N. Chubachi, "Material characterization byline-focus-beam acoustic microscope," IEEE Trans. Sonics Ultrason., vol. SU-32, pp.189-212, Mar. 1985.
【非特許文献4】
J. Kushibiki, Y.Ono, Y. Ohashi, and M. Arakawa, "Development ofthe line-focus-beam ultrasonic material characterization system," IEEETrans. Ultrason., Ferroelect.,Freq. Contr., vol. 49, pp. 99-113, Jan. 2002.
【非特許文献5】
J. Kushibiki, I. Takanaga, S. Komatsuzaki, and T. Ujiie, "Chemical composition dependences of theacoustical physical constants of LiNbO3 and LiTaO3 singlecrystals," J. Appl. Phys., vol.91, pp.6341-6349,May 2002.

産業上の利用分野


本発明は、LiNbO3やLiTaO3のような強誘電体単結晶を製造するための原料組成を決定す
る方法、及びその強誘電体単結晶の音響関連物理定数を校正する方法、及び弾性表面波デバイスの高精度な設計パラメータの決定方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
強誘電体単結晶製造のための原料組成決定方法において、コングルエント組成の近傍で互いに異なる組成を持つn個(nは2以上の整数)の強誘電体単結晶より予め決めたカット面で切り出した第1の基板の間の化学組成比の差分に対する漏洩弾性表面波速度の差分の比(差分比)の最大値を取る伝搬方向を最大値伝搬方向と定め、各上記強誘電体単結晶の育成軸方向の上部および下部より切り出した第2の基板の漏洩弾性表面波速度を前記最大値伝搬方向で測定し、該測定値より結晶育成軸方向の漏洩弾性表面波速度の分布が0となる真のコングルエント組成Ccを求め、前記強誘電体単結晶の弾性表面波速度に要求される許容幅、又はそれに対応する漏洩弾性表面波速度、キュリー温度、密度又は結晶組成のいずれかの許容幅を用いて上記真のコングルエント組成Ccからのずれの許容幅±△Ccを求め、強誘電体単結晶製造のための原料組成を決める事を特徴とする原料組成決定方法。

【請求項2】
上記強誘電体単結晶より切り出す第1の基板は、カット面を異ならせた複数の基板であることを特徴とする請求項1記載の原料組成決定方法。

【請求項3】
上記漏洩弾性表面波速度の測定は、前記第1の基板の面内の複数の伝搬方向で行い、上記漏洩弾性表面波速度の差分比を得る為の漏洩弾性表面波速度の差分は、前記n個の強誘電体単結晶より同一のカット面で得られた1対の第1の基板において、同一の漏洩弾性表面波伝搬方向にて測定した漏洩弾性表面波速度を比較し、その差分である伝搬速度差分として求める事を特徴とする請求項1又は2に記載の原料組成決定方法。

【請求項4】
上記漏洩弾性表面波速度の差分比は、前記伝搬速度差分と、前記n個の強誘電体単結晶より同一カット面で得られた1対の第1の基板同士の化学組成比の差分との比であり、該比を前記n個の強誘電体単結晶より得られる第1の各基板の各対の組み合せにおいて求め、この中の最大値を1乃至複数得る事を特徴とする請求項1又は2に記載の原料組成決定方法。

【請求項5】
前記カット面は、強誘電体単結晶の育成方向をZ軸とし、X、Y、Zの3方向であり、また、その面の切り出し面はZ方向中心軸を通り強誘電体単結晶の直径に渡るY面、該Y面に垂直でZ方向中心軸を通り強誘電体単結晶の半径に渡るX面、前記Y面に対し前記X面と反対面に位置する複数のZ面であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の原料組成決定方法。

【請求項6】
強誘電体単結晶製造のための原料組成決定方法であり、
(a)強誘電体単結晶において、コングルエント組成の近傍で互いに異なる化学組成をもつn個(nは2以上の整数)の強誘電体単結晶を作製する工程と、
(b)各前記強誘電体単結晶より、カット面を異ならせた基板を複数切り出す工程と、
(c)前記基板の各々において、基板面内の第1の漏洩弾性表面波速度VLSAWを、伝搬方向を変えながら測定する工程と、
(d)各前記基板のキュリー温度より、化学組成比とキュリー温度の既知の関係を用いて、各前記強誘電体単結晶の化学組成比を求める工程と、
(e)上記強誘電体単結晶より同一のカット面で切り出された前記基板を1対選び出す工程と、
(f)前記1対の基板において、前記工程(d)で求めた各化学組成比の差分を、化学組成比変化として求める工程と、
(g)前記工程(f)で定めた1対の基板において前記工程(c)で求めた第1の漏洩弾性表面波速度の内、同一伝搬方向の速度の差分である漏洩弾性表面波速度変化を求める工程と、
(h)前記工程(g)で求めた漏洩弾性表面波速度変化の前記工程(f)で求めた化学組成変化に対する変化率である漏洩弾性表面波速度変化/化学組成比変化の値を求める工程と、
(i)上記強誘電体単結晶より切り出された前記基板の各組み合わせに対して、前記工程(f)、(g)、(h)を実施する工程と、
(j)前記工程(i)で求めた漏洩弾性表面波速度変化/化学組成比変化の値の大きい方から1つ選び、該値を示すカット面と漏洩弾性表面波伝搬方向を特定する工程と、
(k)前記強誘電体単結晶の上部及び下部を、結晶育成時の種結晶側を上部、その反対側を下部とし、前記工程(e)~(j)の測定を行った強誘電体単結晶より前記上部及び下部からの基板を得る工程と、
(l)前記工程(k)で求めた上部基板及び下部基板において前記工程(j)で特定した漏洩弾性表面波伝搬方向にて、第2の漏洩弾性表面波速度を測定する工程と、
(m)前記工程(e)~(l)を、前記工程(a)で作製したn個の強誘電体単結晶に実施する工程と、
(n)前記工程(m)の測定を行った強誘電体単結晶の各原料組成値と、前記工程(m)で得られた前記工程(l)による各強誘電体単結晶上部基板及び下部基板の第2の漏洩弾性表面波速度とから結晶育成軸方向の漏洩弾性表面波速度の分布が0となる真のコングルエント組成Cc及び、対応する第3の漏洩弾性表面波速度VLSAW(Cc)を求める工程と、
(p)前記工程(a)で作製したn個の強誘電体単結晶の、漏洩弾性表面波速度、漏洩弾性表面波速度勾配、原料組成、結晶組成、密度のいずれかの許容幅を用いて、前記真のコングルエント組成Ccのずれの許容幅±△Ccを求める工程と、
(q)前記真のコングルエント組成Ccと、前記許容幅±△Ccとから、強誘電体単結晶製造のための強誘電体単結晶原料組成を決める工程、
とを含む事を特徴とする原料組成決定方法。

【請求項7】
前記工程(m)の測定を行った強誘電体単結晶の各原料組成値と、前記工程(m)で得られた前記工程(l)による各強誘電体単結晶上部基板及び下部基板の第2の漏洩弾性表面波速度、とから真のコングルエント組成Cc及び、対応する第3の漏洩弾性表面波速度VLSAW(Cc)を求める工程(n)は、原料組成値を横軸とし、漏洩弾性表面波速度を縦軸としてグラフを構成し、前記上部基板における漏洩弾性表面波速度曲線と、前記下部基板における漏洩弾性表面波速度曲線とを描き両曲線が交錯する原料組成値及び漏洩弾性表面波速度を求め、該原料組成値を真のコングルエント組成Ccとし、該漏洩弾性表面波速度を真のコングルエント組成に対応する第3の漏洩弾性表面波速度VLSAW(Cc)とする事を特徴とする請求項に記載の原料組成決定方法。

【請求項8】
強誘電体単結晶製造のための原料組成決定方法において、上記強誘電体単結晶はLiNbO3であり、上記コングルエント組成は48.481LiO-mol%であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の原料組成決定方法。

【請求項9】
強誘電体単結晶製造のための原料組成決定方法において、上記許容幅±△Ccは±0.017LiO-mol%であることを特徴とする請求項に記載の原料組成決定方法。

【請求項10】
強誘電体単結晶の音響関連物理定数の校正方法であり、
(a)強誘電体単結晶において、コングルエント組成の近傍で互いに異なる化学組成をもつn個(nは2以上の整数)の強誘電体単結晶を作製する工程と、
(b)各前記強誘電体単結晶より、カット面を異ならせた基板を複数切り出す工程と、
(c)前記基板の各々において、基板面内の第1の漏洩弾性表面波速度VLSAWを、伝搬方向を変えながら測定する工程と、
(d)各前記基板のキュリー温度より、化学組成比とキュリー温度の既知の関係を用いて、各前記強誘電体単結晶の第1の化学組成比を求める工程と、
(e)上記強誘電体単結晶より同一のカット面で切り出された前記基板を1対選び出す工程と、
(f)前記1対の基板において、前記工程(d)で求めた各第1の化学組成比の差分を、化学組成比変化として求める工程と、
(g)前記工程(f)で定めた1対の基板において前記工程(c)で求めた第1の漏洩弾性表面波速度の内、同一伝搬方向の速度の差分である漏洩弾性表面波速度変化を求める工程と、
(h)前記工程(g)で求めた漏洩弾性表面波速度変化の前記工程(f)で求めた化学組成変化に対する変化率である漏洩弾性表面波速度変化/化学組成比変化の値を求める工程と、
(i)上記強誘電体単結晶より切り出された前記基板の各組み合わせに対して、前記工程(f)、(g)、(h)を実施する工程と、
(j)前記工程(i)で求めた漏洩弾性表面波速度変化/化学組成比変化の値の大きい方から1つ選び、該値を示すカット面と漏洩弾性表面波伝搬方向を特定する工程と、
(k)前記強誘電体単結晶の上部及び下部を、結晶育成時の種結晶側を上部、その反対側を下部とし、前記工程(e)~(j)の測定を行った強誘電体単結晶より前記上部及び下部からの基板を得る工程と、
(l)前記工程(k)で求めた上部基板及び下部基板において前記工程(j)で特定した漏洩弾性表面波伝搬方向にて、第2の漏洩弾性表面波速度を測定する工程と、
(m)前記工程(e)~(l)を、前記工程(a)で作製したn個の強誘電体単結晶に実施する工程と、
(n)前記工程(m)の測定を行った強誘電体単結晶の各原料組成値と、前記工程(m)で得られた前記工程(l)による各強誘電体単結晶上部基板及び下部基板の第2の漏洩弾性表面波速度とから結晶育成軸方向の漏洩弾性表面波速度の分布が0となる真のコングルエント組成Cc及び、対応する第3の漏洩弾性表面波速度VLSAW(Cc)を求める工程と、
(o)前記工程(c)で得られた第1の漏洩弾性表面波速度VLSAWと前記工程(d)で得られた第1の化学組成比の関係を近似直線であらわし、該近似直線を、前記工程(n)で得られた真のコングルエント組成Ccおよび第3の漏洩弾性表面波速度VLSAW(Cc)の値に合致するように第1の化学組成比を校正して、両者の関係を表す校正された近似直線を得る工程と、
(p)前記工程の(a)のn個の強誘電体単結晶の弾性定数、圧電定数、誘電率、密度のいずれかの音響関連物理定数を用いて計算される第4の漏洩弾性表面波速度と、上記工程(o)で得られた校正された近似直線とを用いて、上記n個の強誘電体単結晶の校正された第2の化学組成比を求め、該校正された第2の化学組成比における前記音響関連物理定数を求める工程、
とを含むことを特徴とする音響関連物理定数の校正方法。

【請求項11】
請求項10の音響関連物理定数の校正方法を使った弾性表面波デバイスの設計パラメータ決定方法であり、
(1)育成結晶に対する漏洩弾性表面波速度を測定し、前記工程(o)において得られた校正された近似直線を用いて、前記育成結晶の第2の化学組成比を求める工程と、
(2)前記工程(1)で得られた第2の化学組成比と、前記工程(p)で得られた校正された第2の化学組成比における前記音響関連物理定数とを使って、前記工程(1)の育成結晶の前記音響関連物理定数を求める工程と、
(3)前記工程(2)で求めた前記音響関連物理定数を用いて、弾性表面波デバイスとして切り出すためのカット面における伝搬方向での弾性表面波速度VSAWを計算する工程と、(4)前記工程(3)で得られた弾性表面波速度VSAWを用いて、弾性表面波デバイス設計のための設計パラメータ(電極周期、電極幅、電極厚さ)を決定する工程、
とを含むことを特徴とする弾性表面波デバイスの設計パラメータ決定方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2004290711thum.jpg
出願権利状態 登録
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記「問合せ先」までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close