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脈理を有する材料に対する超音波材料特性解析装置校正用標準試料の作製方法 コモンズ

国内特許コード P110004883
整理番号 P05021802
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2005-058586
公開番号 特開2006-242741
登録番号 特許第4560625号
出願日 平成17年3月3日(2005.3.3)
公開日 平成18年9月14日(2006.9.14)
登録日 平成22年8月6日(2010.8.6)
発明者
  • 櫛引 淳一
  • 荒川 元孝
  • 大橋 雄二
  • 鈴木 光二
出願人
  • 国立大学法人東北大学
発明の名称 脈理を有する材料に対する超音波材料特性解析装置校正用標準試料の作製方法 コモンズ
発明の概要 【課題】超音波材料特性解析装置の絶対校正において、脈理を有するような材料を標準試料とする場合、試料内に存在する音響特性分布に起因する校正量のばらつきを低減し、正確な校正量を与えることができる標準試料の作製法および校正方法を与える。
【解決手段】脈理面に対して垂直な基板面を有する試料を準備し、この試料に対して脈理面に平行な伝搬方向のバルク波音速(縦波音速、横波音速(偏波方向は脈理面に平行))および、密度を測定することで、音響関連物理定数を決定して標準試料とする。また、LSAW速度の校正量を決定する場合の標準試料に対するLSAW速度の測定は、伝搬方向を脈理面に平行にして行うことで、バルク波音速を測定した部分と等価な特性を有する部分のLSAW速度測定値が得られ、この測定値と標準試料の音響関連物理定数から計算される計算値との比較から得られる校正量を正確に求めることができる。
【選択図】図9
従来技術、競合技術の概要


ガラス、特に二酸化硅素(SiO2)を多く含む石英系ガラスは、耐熱性、耐薬品性、光学特性に優れており、工業製品、理化学部品、光学部品などとして広く用いられている。線膨張係数(Coefficient of thermal expansion: CTE)が非常に小さい超低膨張ガラスは、大型天体望遠鏡用レンズ材料などに用いられてきた。現在、市販の超低膨張ガラスの主なものとして、アメリカのCorning社によるTiO2-SiO2ガラスであるULE (C-7971/7972)とドイツのSchott社によるLi2O-Al2O3-SiO2系結晶化ガラスであるZerodurが挙げられる。前者はTiO2とSiO2の濃度比を調整すること、後者は化学組成比および結晶化プロセスの条件(温度と時間)を調整することにより、超低膨張係数を実現している。所望のCTE特性を有するガラスを作製するためには、ガラスの特性を高精度に評価し、その評価結果を作製プロセスへフィードバックすることが重要である。



ガラスの音響特性はその化学組成および作製プロセスに強く依存し、ガラスの化学的・物理的特性と密接な関係があるため、音響特性を精密に測定することはガラス材料の解析・評価において極めて重要と考える。Corning社はTiO2-SiO2ガラスの縦波音速がTiO2濃度に比例することを利用し、ULEの評価・選別を縦波音速により行なってきた[非特許文献1]。新しい物質・材料特性の解析・評価技術として超音波材料特性解析装置が開発されているが[非特許文献2]、この評価技術は上記課題を克服できる可能性がある。とりわけ集束超音波を用いた定量計測法(V(z)曲線解析法[非特許文献3])が有効である。これは、水を負荷した試料表面に励起される漏洩弾性表面波(LSAW)の伝搬特性(位相速度(VLSAW)と伝搬減衰(αLSAW))を計測することにより材料評価を行う。本手法によれば、非破壊・非接触的にガラス基板面全体の特性分布の高精度測定が可能である。計測のためには、点集束超音波ビーム(PFB)と直線集束超音波ビーム(LFB)が使用できるが、ここでは、LFB超音波材料特性解析装置をとりあげて説明を進める([非特許文献2]、[非特許文献3]参照)。



LFB超音波材料特性解析装置の測定原理を説明する。図1Aは、LFB超音波材料特性解析装置の中心的な役割を果たす、超音波トランスデューサ1とLFB音響レンズ2とから成る超音波デバイスとガラス試料3系の断面図である。図1Aにおいてガラス試料3が無い状態で水カプラ4中に結ぶ焦点を原点として座標軸を図に示すようにとる。超音波トランスデューサ1により励振した平面超音波を、LFB音響レンズ2によりくさび状に集束し、水カプラ4を介してガラス試料3表面に照射する。試料を焦点面5より超音波デバイス側へ近づけた場合、ガラス試料3からの反射波のうち、超音波トランスデューサ1の出力に支配的に寄与する成分は、音響レンズ2の開口面の効果により近似的に図1Aに示す#0、#1の経路をとる成分のみとなる。#0の成分は試料からの直接反射成分であり、#1の成分は、LSAWの励振臨界角θLSAWでガラス試料3に入射し、ガラス試料3表面をLSAWとして伝搬する成分である。LFB音響レンズ2とガラス試料3の相対距離zを変化させたときのトランスデューサ出力として、上記2つの成分の干渉波形V(z)曲線が得られる。図2Aに、V(z)曲線の測定例を示す。V(z)曲線解析法[非特許文献3]に基づいて、V(z)曲線から、干渉成分VI(z)曲線(図2B)を抽出し、その波形をFFT解析することでスペクトル分布F(k)(図2C)が得られる。図2Cのスペクトル分布のピーク波数から干渉周期Δzを求め、次式(1)のΔzに代入してLSAW速度VLSAWを求める。
【数1】


ここで、fは超音波周波数、VWは水中の縦波音速である。VWはV(z)曲線測定時に熱電対により測定される水カプラ温度[非特許文献4]により得ることができる。



トランスジューサ出力V(z)曲線に寄与するLSAWが試料表面上を伝搬する領域(超音波測定領域6)は、図1Bのように表すことができ、x方向にLSAWが伝搬する。超音波の集束方向(LSAWの伝搬方向と等価)の測定領域の幅Wは2|z|tanθLSAWで与えられる。ここで、zはV(z)曲線におけるデフォーカス距離、θLSAW = sin-1VW/VLSAWである。一方、非集束方向の測定領域の幅Dは超音波デバイスの動作パラメータに依存する。例えば、200 MHz帯で用いる超音波デバイスの音響レンズは、曲率半径が1 mm、開口半角が60°、ロッド長が12 mm、集束方向の超音波トランスデューサの幅は1.73 mm、非集束方向のそれは1.50 mmであり、100-300 MHzで動作する。この場合、超音波測定領域6の非集束方向の幅Dは約900μmとなる。また、基板深さ方向(図1Bのz軸方向)の分解能はLSAWの波長オーダーとなり、例えば、VLSAWが3300 m/s近傍の材料で、225 MHzの場合には約15μmである。



LFB超音波材料特性解析装置によるLSAW速度の測定値は、用いる装置や超音波デバイス、および動作超音波周波数などにより異なる。このため、その絶対値を得るためには、音響関連物理定数(圧電体に対しては弾性定数、圧電定数、誘電率、密度;非圧電体に対しては弾性定数、密度)を高精度に測定した標準試料を用いた絶対校正法により測定値を校正しなければならない[非特許文献5]。この方法では材料のバルク特性の測定値から表面近傍の特性、すなわちLSAW速度を数値計算により求めるため、標準試料が均質であることが理想である。これまで、標準試料として、均質であるGadolinium Gallium Garnet、シリコン、ゲルマニウムなどの単結晶基板や合成石英ガラス基板などを用いてきた[非特許文献6]。また、高精度な絶対値を与えるためには、評価したい試料のLSAW速度が標準試料のそれと近いことが必要であり[非特許文献7]、超低膨張ガラスを評価するためには、それ専用の標準試料を作製する必要がある。しかしながら、TiO2-SiO2ガラスにはその作製プロセスに起因して周期的に脈理が存在するため[非特許文献8]、試料基板上の測定位置によってLSAW速度が異なり、バルク波音速から求められるLSAW速度と一致せず、正確な絶対校正が行えない可能性がある。
【非特許文献1】
H. E. Hagy, "High precision photoelastic and ultrasonic techniques for determining absolute and differential thermal expansion of titania-silica glasses," Appl. Opt., Vol. 12, pp. 1440-1446 (1973).
【非特許文献2】
J. Kushibiki, Y. Ono, Y. Ohashi, and M. Arakawa, "Development of the line-focus-beam ultrasonic material characterization system," IEEE Trans. Ultrason., Ferroelect., Freq. Contr., Vol. 49, pp. 99-113 (2002).
【非特許文献3】
J. Kushibiki and N. Chubachi, "Material characterization by line-focus-beam acoustic microscoope," IEEE Trans. Sonics Ultrason., Vol. SU-32, pp. 189-212 (1985).
【非特許文献4】
W. Kroebel and K.-H. Mahrt, "Recent results of absolute sound velocity measurements in pure water and sea water at atmospheric pressure," Acustica, Vol. 35, pp. 154-164 (1976).
【非特許文献5】
J. Kushibiki and M. Arakawa, "A method for calibrating the line-focus-beam acoustic microscopy system," IEEE Trans. Ultraoson., Ferroelect., Freq. Contr., Vol. 45, pp. 421-430 (1998).
【非特許文献6】
J. Kushibiki, M. Arakawa, and R. Okabe, "High-accuracy standard specimens for the line-focus-beam ultrasonic material characterization system," IEEE Trans. Ultrason., Ferroelect., Freq. Contr., Vol. 49, pp. 827-835 (2002).
【非特許文献7】
Y. Ohashi and J. Kushibiki, "Development of an improved calibration method for the LFB ultrasonic material characterization system," IEEE Trans. Ultrason., Ferroelect., Freq. Contr., Vol. 51, pp. 686-694 (2004).
【非特許文献8】
K. E. Hrdina, B. Z. Hanson, P. M. Fenn, R. Sabia, "Characterization and characteristics of a ULE(R) glass tailored for the EUVL needs," Proceeding of SPIE Emerging Lithographic Technologies VI, Vol. 4688, pp. 454-461 (2002).
【非特許文献9】
J. Kushibiki and M. Arakawa, "Diffraction effects on bulk-wave ultrasonic velocity and attenuation measurements," J. Acoust. Soc. Am., Vol. 108, pp. 564-573 (2000).
【非特許文献10】
A. O. Williams, Jr., "The piston source at high frequencies," J. Acoust. Soc. Am., Vol. 23, pp. 1-6 (1951).
【非特許文献11】
H. A. Bowman, R. M. Schoonover, and M. W. Jones, "Procedure for high precision density determinations by hydrostatic weighing,," J. Res. Natl. Bur. Stand., vol. 71C, pp. 179-198 (1967).
【非特許文献12】
I. A. Viktrov, Rayleigh and Lamb Waves: Physical Theory and Applications (Plenum, New York, 1967), Chap. I, pp. 46-57.
【非特許文献13】
J. J. Campbell and W. R. Jones, "Propagation of surface acoustic waves at the boundary between a piezoelectric crystal and fluid medium," IEEE Trans. Sonic Ultrason., Vol. SU-17, pp. 71-76 (1970).

産業上の利用分野


本発明は、脈理を有するような材料に対して超音波材料特性解析装置を用いた材料評価を行う場合の、適切な絶対校正のための標準試料の作製方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
脈理を有する材料に対する超音波材料特性解析装置校正用標準試料の作製方法であり、
(a) 脈理面に対して垂直な面を有する試料基板を切り出す工程と、
(b) 上記試料基板に対し、所望の超音波周波数において、脈理面に平行な方向に伝搬する縦波音速、横波音速の測定および、密度の測定を行う工程と、
(c) 上記縦波音速、横波音速および密度から弾性定数(c11、c44)を決定する工程と、
(d) 上記弾性定数および密度を用いて、漏洩弾性表面波(LSAW)速度の計算値を求める工程と、
(e) 上記試料基板に対し、超音波材料特性解析装置を用いて、脈理面と平行な方向に伝搬するLSAW速度の測定値を得る工程と、
(f) 上記LSAW速度の計算値と測定値を比較することで、校正量を決定する工程と、
を含む超音波材料特性解析装置校正用標準試料の作製方法。

【請求項2】
上記脈理を有する材料は、化学気相堆積法を用いた直接合成法により製造されたTiO2-SiO2ガラスであることを特徴とする請求項1に記載の標準試料作製方法。

【請求項3】
上記脈理を有する材料は、化学気相堆積法を用いたスート法により製造されたTiO2-SiO2ガラスであることを特徴とする請求項1に記載の標準試料作製方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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