TOP > 国内特許検索 > 一方向性光増幅器

一方向性光増幅器 コモンズ

国内特許コード P010000019
整理番号 KUTLO-U017
掲載日 2002年9月30日
出願番号 特願平10-231251
公開番号 特開2000-068577
登録番号 特許第2972879号
出願日 平成10年8月18日(1998.8.18)
公開日 平成12年3月3日(2000.3.3)
登録日 平成11年9月3日(1999.9.3)
発明者
  • 山田 実
出願人
  • 国立大学法人金沢大学
発明の名称 一方向性光増幅器 コモンズ
発明の概要 【課題】 真空中の電子と、光を遅延させる誘電体光導波路から真空中にしみ出した光とを用いて光の一方向性増幅を行う、一方向性光増幅器を実現する。
【解決手段】 電子放射部1と、電子放射部1から放射される電子ビーム4から受けたエネルギーを利用して入力された光12を一方向に増幅する光増幅部2とを真空中に配置して構成した一方向性光増幅器の光増幅部2は、電子ビーム走行方向(z方向)に誘電体光導波路6が形成された誘電体基板5と、誘電体光導波路6を挟むように対向配置された一対の電子ビーム収束用電極9および10とから成り、誘電体基板5は、電子ビーム走行方向(z方向)に光の電界成分Eを生じさせるとともに電子ビーム走行方向(z方向)の光の走行速度を低下させるように配置されている。
従来技術、競合技術の概要


光増幅を行う従来技術としては、各種のレーザがあり、これらを用いて光の一方向性増幅を実現しようとする種々の試みがなされてきた。
現在実用化されているレーザとしては、例えば、気体レーザ、固体レーザ、液体レーザ、半導体レーザがある。これらのレーザは、光の発生や増幅を行う代表的な光エレクトロニクス素子あるいは光エレクトロニクス装置であるが、レーザ材料中の原子や分子に拘束されている電子のエネルギーを使用するため、増幅される光の方向は可逆であり、前進波および後進波の両方が増幅される。したがって、出射した光がレンズや光ファイバあるいは光ディスク等の表面で反射されて戻り、レーザ内に再入射すると、この戻り光も増幅してしまう。そのため、レーザの発振特性や増幅特性を不安定に劣化させるとともに、過剰な雑音を発生してしまう。
現在までに提案されている上記不具合の対策としては、光を一方向に通過させるアイソレータをレーザの出射側に設けることにより戻り光の再入射を防止する手法が一般的である。しかし、光アイソレータは磁性材料を主材としてバルク形状で作製することしかできず、また、その価格が高価であるため、利用範囲が制限されることになる。このため、光学分野での基礎的研究や大容量の光ファイバ通信システムには光アイソレータを利用することができるが、光ディスク技術のように小型でかつ安価なことを要求される用途には光アイソレータを利用することができず、上記戻り光による特性劣化や雑音発生がレーザを採用する際の技術的な障害となる。
また、レーザ光発生部、光増幅部、変調部等を光集積回路として一体化し、光による高速の情報処理を行う方式も提案されているが、この方式は、次段部から前段部へ光が戻るため、複合的な機能を有する光回路としての合成ができないという問題がある。
また、広範囲な波長で発振可能な光発生装置として自由電子レーザが開発されている。この自由電子レーザは、他種類のレーザとは異なる動作原理を用いており、真空中で一方向に伝搬する電子ビームのエネルギーを光に与えるようにしているため、電子ビームと同ー方向に伝搬する光成分のみを増幅する特性を有している。しかし、自由電子レーザは、光の発生に主眼を置いて開発されたものであるため、上記一方向性増幅特性を生かすような設計は行われていない。さらに、自由電子レーザでは、電子ビームの励起電圧が10MV以上と極めて高く、また電子ビームに振動を与えるために超高磁場を必要とすることから、特殊な高エネルギー用途を目標に開発されているため、信号増幅を目的とするエレクトロニクス分野には適していない。
また、一方向性の機能電子素子である通常の電子管やトランジスタの動作可能周波数の上限値(1GHz程度)を上回る、最も高い動作可能周波数を有する一方向性の電子管としては進行波管がある。この進行波管は、金属による遅延伝送路を用いて電磁波の伝搬速度を低下させ、この電磁波に電子銃から放射された電子ビームがエネルギーを与えるものであり、周囲を真空にすることにより、電子が周囲物質と衝突して散乱することに伴うエネルギー損失を抑制している。この進行波管では、電子ビームの速度および電磁波の伝搬速度が一致したときに電磁波が増幅されるため、逆方向へ伝搬する電磁波は増幅されない。しかし、波長は高周波になるほど短くなり、進行波管の使用周波数の上限値は伝送路の金属加工技術により決定されるため、進行波管は数十GHz以上の周波数(波長;数cm以下)では使用できない。したがって、波長が1μm以下となる光に適用し得る進行波管を作製することは、現在の金属加工技術の限界を遥かに越えることになり、現時点では不可能である。
上述した種々の問題を解決するため、本願発明者は、先に、特願平9-71147号明細書において、固体中の電子ビームを用いた一方向性光増幅器を提案済みである。この一方向性光増幅器では、固体中に放射される電子ビームを走行させるための電子ビーム走行路と、増幅すべき光を遅延させるための誘電体遅延導波路とを組み合わせることにより、光の一方向性増幅が実現可能であることを理論的に示している。
また、上述した種々の問題を解決するため、本願発明者は、先に、特願平9-293819号明細書において、真空中に放射される電子ビームを用いた電子管型一方向性光増幅器を提案済みである。この電子管型一方向性光増幅器では、真空中に配置されて光の遅延導波路を形成する一対の波状形状鏡を用いて、電子放射部から放射される電子ビームから受けたエネルギーを利用して、入力された光を一方向に増幅する光増幅部を構成することにより、光の一方向性増幅が実現可能であることを理論的に示している。

産業上の利用分野


本発明は、電子工学、量子電子工学、光エレクトロニクス、レーザ工学等の多くの分野に適用可能な、光を一方向のみに増幅する一方向性光増幅器に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
電子ビームを放射する電子放射部と、該電子放射部から放射される電子ビームから受けたエネルギーを利用して入力された光を一方向に増幅する光増幅部とを真空中に配置して成る一方向性光増幅器であって、
前記光増幅部は、真空中を走行する電子ビームに接するように電子ビーム走行方向に形成された誘電体光導波路を有する誘電体基板と、前記誘電体光導波路を挟むように対向配置された一対の電子ビーム収束用電極とから成り、
前記誘電体光導波路は、電子ビーム走行方向に光の電界成分を生じさせ、伝搬する光の一部を電子ビーム走行路にしみ出させるとともに、電子ビーム走行方向の光の走行速度を低下させるように、前記誘電体基板上に形成されていることを特徴とする一方向性光増幅器。

【請求項2】
前記誘電体基板は、前記誘電体光導波路の両端部にそれぞれ曲線部を介して直交方向から接続される光入力導波路および光出力導波路を具備して成ることを特徴とする請求項1記載の一方向性光増幅器。

【請求項3】
前記誘電体基板は、前記誘電体光導波路の両端部にそれぞれ所定角度をなすように斜め方向から接続される光入力導波路および光出力導波路を具備して成ることを特徴とする請求項1記載の一方向性光増幅器。

【請求項4】
前記誘電体光導波路は、当該波長領域において透明性を有する高屈折率の材料であって、可視光領域に用いる場合にはZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaN 等のIII-V 族化合物半導体より成り、マイクロ波領域から近赤外領域に用いる場合にはSi, Ge等のIV族半導体、ZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaAs, InP, GaNおよびこれらの混晶等のIII-V 族化合物半導体より成ることを特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の一方向性光増幅器。

【請求項5】
前記誘電体基板は、マイクロ波領域から可視光領域までの範囲において透明性を有する材料であって、石英ガラスや有機物より成ることを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の一方向性光増幅器。

【請求項6】
前記電子ビーム収束用電極は、Ni, Ag, Alや各種合金等の金属材料より成ることを特徴とする請求項1~5の何れか1項記載の一方向性光増幅器。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP1998231251thum.jpg
出願権利状態 登録


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close