TOP > クイック検索 > 国内特許検索 > ヌクレオチド除去修復阻害剤、抗腫瘍剤および紫外線治療の増強剤
ヌクレオチド除去修復(NER)は、太陽光紫外線で生じるシクロブタン型ピリミジンダイマー(CPD)や6-4光産物(6-4PP)などの二量体型ピリミジン損傷や、アフラトキシンB1、ベンゾ[a]ピレン、アセチルアミノフルオレン、シスプラチンなど多様な化学物質で生じる塩基付加体を取り除く普遍的なDNA修復機構である。この修復反応は、DNA損傷の認識、損傷部位の二本鎖巻き戻し、DNA損傷の両側切断、一本鎖ギャップのDNA合成、親鎖との連結からなり、試験管内の再構成反応系においても、1個のDNA損傷の修復に約30種類ものポリペプチドが必要となる複雑な反応である。また、細胞内ではクロマチンリモデリング因子やユビキチンE3リガーゼなどさらに多くの因子が関与することが知られている。この修復機構に先天的異常があると高発がん性の劣性遺伝疾患・色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum)を発症し、健常人の数千倍もの頻度で太陽露光部に皮膚癌を生じ、内部の癌も数倍から数十倍頻度が高い。
紫外線損傷に特異的なモノクローナル抗体を用いた多くの免疫測定法が開発され、細胞ヌクレオチド除去修復活性の分析のために広く使われている。本発明者等は、近赤外蛍光画像処理システムと連動する損傷特異抗体を用いた間接的免疫蛍光染色に基づく、マイクロプレートフォーマット細胞ベース免疫測定法(microplate-formatted cell-based immunoassay for NER of UV photoproducts、M-CINUP)を開発した。この免疫測定法は、少量の細胞であっても迅速で定量分析可能なNER活性測定方法である(特許文献1)。
抗腫瘍剤の種類やその作用機序は数多く知られており、DNAのアルキル化、架橋化等もその一つである。シスプラチンは広く用いられている抗腫瘍剤であり、90%以上のDNA鎖内架橋、5%以下のDNA鎖間架橋からなる塩基付加体を形成する(非特許文献1、非特許文献2)。
本発明は、ヌクレオチド除去修復阻害剤、ならびに、抗腫瘍剤の増強剤及び紫外線治療の増強剤に関する。