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(In Japanese)歯髄細胞から象牙芽細胞への分化誘導方法 UPDATE_EN

Patent code P130009595
Posted date Jul 12, 2013
Application number P2011-541917
Patent number P5808053
Date of filing Nov 16, 2010
Date of registration Sep 18, 2015
International application number JP2010070330
International publication number WO2011062147
Date of international filing Nov 16, 2010
Date of international publication May 26, 2011
Priority data
  • P2009-262378 (Nov 17, 2009) JP
Inventor
  • (In Japanese)山城 隆
  • (In Japanese)黒坂 寛
  • (In Japanese)川邉 紀章
Applicant
  • (In Japanese)国立大学法人大阪大学
Title (In Japanese)歯髄細胞から象牙芽細胞への分化誘導方法 UPDATE_EN
Abstract (In Japanese)本発明は、効率のよい歯髄細胞から象牙芽細胞への分化誘導方法を提供することを課題とし、さらには効率よく象牙芽細胞へ分化誘導可能な化誘導剤を提供する。Wntシグナル伝達経路を活性化しうる物質を用いることによる、歯髄細胞から象牙芽細胞への分化誘導方法による。また、Wntシグナル伝達経路を活性化しうる物質からなる分化誘導剤による。具体的には、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、塩化リチウム、Norrin及びR-Spondin2から選択されるいずれかによる。
Outline of related art and contending technology (In Japanese)

従来、齲蝕(むし歯)の治療においては、齲蝕部分は切削によって取り除かれ、この削った部分にレジンやセメントが詰められて人工的に回復させ、治療する方法が採用されている。齲蝕によって発生する齲窩が大きい場合には、軟化象牙質を一部残したまま歯髄の切削をいったん中止し、水酸化カルシウムが覆髄材として用いられる。

歯髄は、歯の内部にある歯髄腔という空洞を満たしている血管性の結合組織であり、中胚葉由来の歯乳頭より形成された非石灰化組織である。これに対し、象牙質は歯髄腔の周囲にある硬い石灰化組織である。従来から、歯髄は軟組織、象牙質は硬組織という構造的特徴から両者はまったく別のものとして取り扱われてきた。しかし近年、歯髄と象牙質は発生学的にも機能的にも相同の組織であり、臨床においても象牙質・歯髄複合体(Dentin-Pulp Complex)として捉えられている傾向が強い。

歯が齲蝕に罹患すると、その程度により、歯髄を除去しないで保護する処置(直接歯髄覆罩)、歯髄の一部(冠部歯髄)のみを除去し、根部歯髄を保存する処置(生活歯髄切断)、歯髄の全部を除去して空洞を金属やレジンで封鎖する処置(抜髄)などが施される。しかしながら、歯髄除去後は、歯への栄養の供給が絶たれるため象牙質の脆弱化が起こり、また痛みを伝える神経がないため、再び齲蝕が進行した場合に自覚症状が得られず悪化するという問題がある。従って、近年では、歯の健康状態を維持するためにはできるだけ歯髄を保存するのが好ましいと考えられている。歯髄を保存し、その機能を維持するためには、象牙質の破損状態と歯髄の病理学的状態に応じて、間接覆髄材又は直接覆髄材が用いられる。間接覆髄材は、象牙質は破損しているが歯髄が露出していない状態に用いられ、直接覆髄材は、歯髄が露出している場合や治療により歯髄の一部を切断した場合に用いられる。直接覆髄材としては、従来、水酸化カルシウム製剤、ホルムクレゾール製剤が用いられている。しかしながら、水酸化カルシウムには、象牙芽細胞誘導作用はなく、象牙質形成促進は望めない。これまで、象牙質形成促進作用を有するものとして、ウシの血液抽出物(特許文献1)、N-アセチル-グルコサミンなどの多糖類(特許文献2)、骨形成因子(Bone Morphogenetic Protein: BMP)などが報告されている。

水酸化カルシウムは三ヶ月程度で歯髄内の象牙芽細胞に刺激を与え、歯髄腔内の第二象牙質の生成を促す。その結果、軟化象牙質と歯髄の間に健全な象牙質が形成され、その後軟化象牙質が除去される。しかしこの方法では、水酸化カルシウムには歯髄細胞増殖促進作用や象牙芽細胞誘導作用がないため、水酸化カルシウムと接した歯髄面には強アルカリによる壊死層が生じる。また、この方法では歯髄組織を変性壊死させ、その後の修復機転で象牙質を再生させるため、時間を要し、効率が悪く、予後が不確定であることなどの問題点があった。

象牙質は歯の大部分を占める硬組織で、内部の歯髄や周囲のエナメル質及びセメント質を支持する形で存在する。象牙質は、象牙芽細胞から合成・分泌された有機性基質が石灰化することで形成される。その有機性基質は、殆どがコラーゲンで、残りの約10%が非コラーゲン性タンパク質(noncollagenous protein:NCP)である。NCP中最も多いのが象牙質シアロリンタンパク質(dentin sialophosphprotein: Dspp、以下単に「Dspp」という。)で、象牙芽細胞にて合成後、このタンパク質から象牙質シアロタンパク(DSP)、象牙質糖タンパク(DGP)、象牙質リンタンパク(DPP)が生成することが知られている。

歯髄細胞の象牙芽細胞への分化誘導方法及び象牙質の再生方法に関し、各種研究が進められている。水酸化カルシウムに代わるものとして、BMPを有効成分とする象牙質形成覆髄剤(材)について開示がある(特許文献3)。BMPなどの骨誘導因子の使用は、象牙質を形成する石灰化基質の成分が骨と非常に似ている点に注目し、象牙質の産生への応用に試みられたものである。しかし、BMPのような因子は既に分化した象牙細胞の石灰化基質の産生を促す点で効果があるというものの、歯髄細胞から象牙芽細胞への分化を促進するものではないため、患部組織において象牙芽細胞を誘導するといった点で効果が非常に限定的であった。

天然の象牙質を再生させて治療に使用する方法が提案され、検討が行なわれている。例えば、培養ヒト歯髄細胞をハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムの複合体の粉体に播種した試料をヌードマウス皮下へ移植して6週間後に摘出し、摘出後のヘマトキシリン/エオシン染色像から硬組織の形成が確認されたことが報告されている(非特許文献1)。さらにこの試料から抽出したRNAを、RT-PCRを用いて評価したところ、象牙芽細胞の分化マーカーのmRNAが発現していること、すなわち、得られた硬組織が象牙質様組織であったことが報告されている。ただし、形成された硬組織の量は非常に少なく、臨床応用にはより多量の象牙質再生が求められる。

象牙質再生に関するその他の技術として、コラーゲンを固定化したエチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)及びバインダー(B)を含有してなる象牙質再生覆髄剤(材)について開示がある(特許文献4)。かかる象牙質再生用覆髄剤(材)は、象牙質を再生する能力を有する細胞が増殖する足場を確保する機能に優れている。さらに、象牙質を再生する方法としてヒト歯髄細胞を1,25(ジヒドロキシ)ビタミンD3、デキサメタゾン及びβ-グリセロホスフェートの存在下で培養することにより象牙芽細胞に分化させ、該細胞を担体等と一緒に培養及び/又は移植することにより象牙質を再生する方法について開示がある(特許文献5、6)。また、他の方法として、ポリリン酸を用いる象牙質形成覆髄剤(材)について開示がある(特許文献7)。しかし、いずれも象牙芽細胞から象牙質再生に係る技術を示すものであり、歯髄から象牙芽細胞への分化を誘導するものではない。

歯の発生は、歯原性上皮と歯原性間葉組織の密接な相互作用により進行することが知られている。神経堤由来の間葉細胞は、外胚葉系の上皮組織からのシグナルを受け、歯髄細胞へと分化するが、その過程には様々な成長因子が関与していると考えられている。歯の発生に関わるシグナルとしては、BMP、線維芽細胞増殖因子(FGF)、Wnt、ソニックヘッジホッグ(Shh)等が知られている。また、成熟歯髄の象牙芽細胞分化には、TGF (transforming growth factor)-βの関与を示唆する報告もある。

上皮と間葉組織の間には基底膜が存在し、この基底膜の構成要素の一つがプロテオグリカンである。最近の研究から、基底膜のプロテオグリカンの糖鎖が、Wntシグナルの伝達に重要な役割を果たすことが明らかにされている(非特許文献2)。発生の段階において、Wntが神経堤細胞において、Dsppの分泌を誘導することが報告されている(非特許文献3)。即ち非特許文献3では、歯の発生段階でのWntについては報告されているが、既に形成された歯において、Wntが歯髄細胞から象牙芽細胞への分化や再生に関与するという報告はない。

マウスp14 下顎臼歯組織について[α-35S]UTP標識RNAプローブを用いてin situ hybridizationにて確認したところ、Wnt10aは基底膜に発現が認められ、象牙芽細胞に特異的な細胞外マトリクスであるDsppは、Wnt10aと同様に、基底膜に発現が認められたことが報告されている(非特許文献4:図1参照)。また、Wnt10aを未分化間葉系細胞であるC310T1/2に対して強制発現させ、マトリゲル(基底膜成分抽出物)で培養したところ、10日後にDspp mRNAの発現を示したことが報告されている(非特許文献4:図2参照)。

Wntシグナルは生物種を超えて保存されており、発生初期における体軸形成や器官形成、細胞の増殖や分化を制御している。Wntシグナル伝達経路には、1)β-カテニンの細胞内蓄積を介して転写因子を制御するβ-カテニン経路、2)点分子量Gタンパク質であるRhoファミリーを介して平面内細胞極性(planar cell polarity)を制御するPCP経路、3)3量体Gタンパク質を介して細胞内でCa2+の動員を引き起こし、プロテインキナーゼC (PKC; protein kunase C)やCaMK II (Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase II)などを活性化するCa2+経路の3種類が少なくとも存在することが公知である(非特許文献5)。しかしながら、歯髄細胞から象牙芽質細胞へ分化誘導させ、象牙質を形成する方法については、まだ解明されていない。

Field of industrial application (In Japanese)

本発明は、象牙質の再生医療にかかわる分野に関する。具体的には、部位特異的に歯髄細胞を象牙芽細胞へ分化誘導する方法に関し、また歯髄細胞から象牙芽細胞への分化誘導剤に関する。さらに、前記分化誘導剤を有効成分として含む覆髄材に関する。

Scope of claims (In Japanese)
【請求項1】
 
塩素酸ナトリウム、及び/又は塩化リチウムを用いることを特徴とする、歯髄細胞から象牙芽細胞への分化誘導方法。

【請求項2】
 
塩素酸ナトリウム及び/又は塩化リチウムからなる、歯髄細胞から象牙芽細胞への分化誘導剤。

【請求項3】
 
請求項2に記載の分化誘導剤を有効成分とする覆髄材。

【請求項4】
 
さらにフィブロネクチンを含む、請求項3に記載の覆髄材。
IPC(International Patent Classification)
F-term
State of application right Registered
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