TOP > 国内特許検索 > 選択的に化学修飾されたカーボンナノチューブの製造方法
単層カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotubes:SWNTs)には、その合成過程において不可避的に金属性のもの(m-SWNTs)と半導体性のもの(s-SWNTs)とが混在しているが、合成工程から直接に純粋なm-SWNTsやs-SWNTsを得る方法は未だ提案されていない。
そのため、m-SWNTsとs-SWNTsとが混在する合成された混合物からm-SWNTsまたはs-SWNTsに基づく特定の性質を有するカーボンナノチューブを選択的に得る方法が求められている。
従来、カーボンナノチューブを化学修飾することにより、分散性が向上することや、電気抵抗が増大すること等が報告されており、側面の化学修飾は、カーボンナノチューブの分散性や電子特性を大きく変化させることが知られている。
具体的には、例えば、側面への付加が共役系へ与える影響を最小限に押さえる目的で、多官能基を導入したデンドリマーをカーボンナノチューブの側面に導入する試みがなされている。また、有機ケイ素基を側面に導入するとカーボンナノチューブの電界放出特性が向上することやn型の電界効果型トランジスタ(FET)特性が発現することも知られている。このようにカーボンナノチューブの化学修飾による分子変換は、カーボンナノチューブの特性を制御する上で重要である。
しかしながら、試薬をm-SWNTsまたはs-SWNTsに選択的に化学反応させて化学修飾する技術は未だ報告が少ない。このようなカーボンナノチューブの電気特性に基づく化学反応は、電気特性の異なるカーボンナノチューブの分離やFET材料としての特性の向上に活用されることが期待されている。
なお、特許文献および非特許文献1、2には、紫外線照射下においてカーボンナノチューブと環状ジスルフィドとを化学反応させることが記載されている。しかしながら、カーボンナノチューブと直鎖ジスルフィドとの反応性や、カーボンナノチューブの電気特性や直径に基づく選択的な化学修飾に関する知見は示唆されていない。【特許文献1】 特開2006-131428号公報【非特許文献1】 Chemistry Letters 2006, 35, 742.【非特許文献2】 Diamond & Related Materials 2007, 16, 1091-1094.
本発明は、選択的に化学修飾されたカーボンナノチューブの製造方法に関するものである。
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