TOP > 国内特許検索 > 表面改質単結晶SiC基板、エピ成長層付き単結晶SiC基板、半導体チップ、単結晶SiC成長用種基板及び単結晶成長層付き多結晶SiC基板の製造方法
炭化ケイ素(SiC)は、耐熱性及び機械的強度に優れ、放射線にも強く、不純物の添加によって電子や正孔の価電子制御も容易にできるとともに、広い禁制帯幅(6H型の単結晶SiCで約3.0eV、4H型の単結晶SiCで3.3eV)を有するという特徴を備えている。従って、ケイ素(Si)やガリウム砒素(GaAs)などの既存の半導体材料では実現できない高温、高周波、耐電圧・耐環境性を実現することが可能であるとされ、次世代のパワーデバイス、高周波デバイス用半導体の材料として期待が高まっている。
この種の単結晶SiCの製造方法は、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1の方法は、まず、SiC単結晶基板とSi原子及びC原子により構成された板材とを微少隙間を隔てて互いに平行に対峙させた状態とする。そして、大気圧以下の不活性ガス雰囲気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で、上記SiC単結晶基板側が上記板材よりも低温に保たれるように熱処理する。特許文献1の方法では、これにより、上記微小隙間内でSi原子及びC原子を昇華再結晶させて上記SiC単結晶基板上に単結晶を析出させるとともに、この析出単結晶を種結晶として上記板材を単結晶に変態させて、上記SiC単結晶基板の結晶軸と同方位に配向された単結晶を一体に成長させる。【特許文献1】 特開平11-315000号公報
しかしながら、特許文献1のような昇華再結晶法では、種結晶としての単結晶SiC基板が有する欠陥(特に、「マイクロパイプ欠陥」と呼ばれる直径数ミクロンから0.1mm程度の管状の空隙)が、析出する単結晶のエピタキシャル構造に伝播し易く、これが、製造される単結晶SiCを前述のパワーデバイス等として用いる際の大きな障害となっている。
この点は特許文献2も指摘するところであり、これを解決する方法として以下のような炭素ケイ素エピタキシャル層の形成方法を提案している。即ち、特許文献2の炭素ケイ素エピタキシャル層の形成方法は、種晶添加昇華技術を用いて炭化ケイ素のバルク結晶を成長させる工程と、後記基板から後記第一のエピタキシャル層の成長部の中に伝播したマイクロパイプ欠陥を、後記第一のエピタキシャル層の溶融成長においてマイクロパイプ欠陥の複製をかなり減らすようにふさぐのに十分な厚みのものとなるまで、バルク結晶から製造された基板の上に炭化ケイ素の、第一のエピタキシャル層を、液相エピタキシー技術により形成する工程と、その後、化学蒸着により炭化ケイ素の前記第一のエピタキシャル層の上に炭化ケイ素の第二のエピタキシャル層を形成する工程と、を有する。特許文献2は、これにより、欠陥の少ない炭化ケイ素のエピタキシャル層を成長させることができるとする。【特許文献2】 特表平10-509943号公報
本発明は、主要には、単結晶又は多結晶のSiC基板の表面に、結晶多形が例えば4Hである単結晶SiC層を生成させる技術に関する。
※ 画像をクリックすると拡大します。