TOP > 国内特許検索 > PWMインバータの制御方法および制御装置
図1に示すように、三相2レベル形のPWMインバータ1aは、制御部3によって制御されるインバータ部2からなり、インバータ部2の各相出力が三相負荷4に接続されている。同図に示すように、インバータ部2はIGBT等からなる6つのスイッチSW1~SW6を有し、このうち、スイッチSW1、SW2はU相アームを、スイッチSW3、SW4はV相アームを、スイッチSW5、SW6はW相アームをそれぞれ構成する。各スイッチSW1~SW6の導通状態は、制御部3の制御下で切り替えられる。
PWMインバータ1aの制御方法は、従来から種々の方法が検討されている。その1つである空間ベクトル制御では、インバータ部2の各スイッチ状態に対応する23=8個のスイッチベクトルV0~V7(図2参照)のうちの少なくとも1つを選択することによりPWMインバータ1aを制御する(例えば、特許文献1参照)。ここで、各スイッチベクトルV0~V7の括弧内の数字“1”は、各相アームの上側スイッチがオン(下側スイッチはオフ)していることを示し、“0”は、各相アームの下側スイッチがオン(上側スイッチはオフ)していることを示す。各スイッチベクトルV0~V7とスイッチ状態の関係は、下表の通りである。【表1】
なお、本明細書では、各相アームのスイッチ状態が同一で出力電圧がゼロとなるスイッチベクトル(V0、V7、後述するV26)を「ゼロスイッチベクトル」と呼び、その他のスイッチベクトル(V1~V6、後述するV8~V25)を「非ゼロスイッチベクトル」と呼ぶこととする。
この空間ベクトル制御では、出力電圧を任意の波形に制御することができる。また、この空間ベクトル制御では、PWMインバータ1aの出力状態をモードI~VIに相当する6つの領域に分割して捉える(図3参照)。各モードの領域内にある任意の出力ベクトルVuは、上記スイッチベクトルV0~V7のベクトル的組み合わせにより表現することができる。つまり、空間ベクトル制御では、任意の制御則にしたがって出力ベクトルVuを決定するとともに、当該出力ベクトルVuを得るためのスイッチベクトルを選択し、インバータ部2を選択したスイッチベクトルに対応したスイッチ状態とすることにより、PWMインバータ1aを制御する。
例えば、図3の時間tにおける出力ベクトルVuはモードIIの領域内にあるので、出力ベクトルVuはスイッチベクトルV0、V2、V3またはスイッチベクトルV7、V2、V3のベクトル的組み合わせにより表現することができる。すなわち、3つのスイッチベクトルV0(V7)、V2、V3を適当な順序で選択し、インバータ部2を各スイッチベクトルV0(V7)、V2、V3に対応したスイッチ状態とすることにより、時間tにおける所定の各相出力電圧を得ることができる。
なお、上記出力ベクトルVuは、例えば、各相出力電圧を正弦波状とする場合は、PWMインバータ1aの各相出力電圧が1周期変化する間に、図2の六角形内にある円軌道上を半時計周りに1周する。言い換えると、出力ベクトルVuは、PWMインバータ1aの出力が電気角で60°変化する度にモードI→モードII→・・・→モードVI→モードI・・・に対応した領域内を順次移動していく。
本発明は、PWMインバータの制御方法および制御装置に関し、特にスイッチベクトルを用いてPWMインバータを空間ベクトル制御する方法および装置に関する。
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