TOP > 国内特許検索 > デバイス同士を同期する自律同期システム及び、自律同期方法
振動子は互いに結合した場合に同期現象を示すことが良く知られており、例えば、Huygensによる共通ビームに支えられた2つの振り子時計がある時間後には同期する現象がある。 一方で、結合のない非線形振動子を共通な入力ノイズのみによって同期させるNoise-Induced Synchronizationが近年注目されており、その理論研究が進められている。これは同一のノイズ信号やパルス信号を非結合状態にある複数の非線形振動子に入力することで振動子間の位相差が縮小し、最終的に同期するという現象であり、数理的にも証明されている。非特許文献1~10は本現象に関する先行研究である。
発明者らは、この同期理論を応用することで、省電力化が求められる無線センサネットワークの同期を、センサが取得する情報のみで達成させる手法を提案してきた。すなわち、無線センサネットワークにおいては、間欠的な信号送受信を行うことで省電力化が可能となるが、そのためにはセンサノード間の同期が必要となる。しかし、同期達成のために信号の送受信を行うと、そのために電力を消費してしまう問題があった。
非特許文献11では、Noise-Induced Synchronizationを適用することにより、通信をおこなわずに時刻同期を達成する手法を提案している。本文献において各センサノードがノイズとして用いるのは実環境信号であり、これを振動子に入力することで、近距離であれば通信せずにノード間の同期が達成できることが示されている。実環境信号の具体例としては、湿度、温度、大気圧を用いている。
次いで、非特許文献12では、温度と湿度を実環境信号として用いる点では非特許文献11と共通するが、データの取得間隔が一定でない場合を想定してデータの入力方法について検討を行っている。従来の研究では、近隣同士のノードから取得された実環境信号が0.8以上の高い相互相関を示している場合に、それら実環境信号をノイズとして用いることが可能(非特許文献13)としていたが、本文献ではデータの区分平均や移動平均に用いるサンプルの時間数を適切に調整することで相互相関係数を高く保てるようにし、同期を確認した。
特許文献において本発明に関連するものとしては、センサネットワークにおける親機と子機の時刻の同期方法を提案する特許文献1、高精度な同期方法を提案する特許文献2などが開示されているが、いずれもネットワークを用いて通信を行うものであり、ノードが自律して同期を行う手法ではない。
本発明は、デバイス同士を同期する自律同期システム及び方法であって、特に所定の波動が伝播可能な範囲に同時に配置されるデバイスが、その波動に基づいて同期を行う技術に関する。
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