TOP > 国内特許検索 > 新規鉄・亜鉛結合性制御因子と、その発現調節による植物の鉄欠乏耐性向上及び可食部への鉄・亜鉛蓄積の促進技術
植物が成育し、炭素固定と物質生産を行うためには、鉄と亜鉛が必要である。植物は、土壌中の鉄及び亜鉛を吸収することにより、これらを利用する。 しかしながら、世界の土壌のおよそ30%を占めている石灰質アルカリ土壌では、可溶化した鉄及び亜鉛が少なく、中でも可溶化した鉄が極めて少ない。よって、石灰質アルカリ土壌での植物の生育において、鉄欠乏が主要な制限要因となっている。 そのため、石灰質アルカリ土壌をはじめとする不良土壌においても良好に生育する植物の取得が急務である。
また、土壌から鉄及び亜鉛を吸収した植物は、ヒトの主要なミネラル供給源である。鉄欠乏症及び亜鉛欠乏症は、世界中の人々、特に子供や女性にとって深刻な問題となっているため、可食部に多くの鉄及び亜鉛を含む植物の取得が望まれている。
近年、鉄及び亜鉛(特に鉄)の吸収と利用に関与する遺伝子の同定及び解析が進んでいる。その遺伝子を改変して植物に導入することにより、鉄及び亜鉛の欠乏耐性が向上した植物、又は、可食部に多くの鉄及び亜鉛を蓄積する植物が取得されている(例えば、非特許文献1~11参照)。
本発明は、植物の鉄欠乏耐性の向上及び可食部への鉄・亜鉛蓄積の促進に関するものである。詳細には、植物の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積を制御する働きを有するタンパク質、遺伝子、ベクター、形質転換体、遺伝子破壊株、抗体、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出方法、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用組成物、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用キット、並びに、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の育種方法に関するものである。 本願は、2012年7月26日に、日本に出願された特願2012-166233号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。