TOP > 国内特許検索 > ノロウイルス不活化剤及びその製法
ノロウイルスはヒトに感染して非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウイルスである。日本で報告されている非細菌性食中毒事例のうち、最も症例が多いのは本ウイルスを原因とした症例であり、冬に大流行するため問題視されている。ノロウイルスは食品製造現場で多く利用されるエタノール製剤で不活化することができないウイルスであり、通常不活化のためには次亜塩素酸が用いられる。しかし、有機物が共存する場合には不活化効果が劣るなどの原因により、次亜塩素酸を効果的に使用できる現場は限られる。 一方、リゾチームはグラム陽性菌の細胞壁を分解する酵素として知られていた(非特許文献1)が、加熱を行うことによってタンパクの立体構造が変化し、細胞壁の薄いグラム陰性菌に対しても殺菌効果を有することが明らかとなった(非特許文献2)。これは、酵素として細胞壁を分解するというメカニズムではなく、構造の変化により特定のアミノ酸残基が露出、細胞膜に作用することに起因することが示されている。 発明者らは、このような新規のノロウイルス不活化剤を開発するための一連の研究の成果として、加熱変性した卵白リゾチームが、ノロウイルスの代替ウイルスであるMNV-1に不活化効果を持つことを明らかにした(特許文献1、非特許文献3)。
この発明は、ノロウイルス不活化剤及びその製法に関し、より詳細には、卵白リゾチームの部分配列を利用したノロウイルス不活化剤及びその製法に関する。