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有機溶媒処理用微生物製剤、有機溶媒処理用微生物製剤の製造方法及び有機溶媒の処理方法

国内特許コード P160013380
整理番号 12026
掲載日 2016年10月21日
出願番号 特願2016-097159
公開番号 特開2017-201962
出願日 平成28年5月13日(2016.5.13)
公開日 平成29年11月16日(2017.11.16)
発明者
  • 岩淵 範之
  • 砂入 道夫
  • 牧 紘平
出願人
  • 学校法人日本大学
発明の名称 有機溶媒処理用微生物製剤、有機溶媒処理用微生物製剤の製造方法及び有機溶媒の処理方法
発明の概要 【課題】常温で保存可能であり、環境負荷が少ない乳化技術で作製された、高い有機溶媒分解能を有する新規有機溶媒処理用微生物製剤を提供する。
【解決手段】本発明の有機溶媒処理用微生物製剤は、有機溶媒によりミセル封入化された有機溶媒分解菌を含有することを特徴とする。本発明の有機溶媒処理用微生物製剤の製造方法は、有機溶媒分解菌と、有機溶媒と、培地とを混合し、前記有機溶媒分解菌が成育可能な条件で超音波処理を行い、前記有機溶媒によりミセル封入化された前記有機溶媒分解菌を得るミセル封入化工程を備えることを特徴とする。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


有機溶媒分解菌であるロドコッカス(Rhodococcus)属細菌は、土壌や海洋などにありふれて存在するグラム陽性細菌、高G+C含量のコリネ型細菌の一種である。ロドコッカス属細菌には、石油系炭化水素やポリ塩化ビフェニール類(PCB)などをはじめとした数多くの難分解性化合物に対して分解及び資化能力をもつことに加え、アクリルアミドや有用酵素群、又は細胞外多糖をはじめとした機能性バイオポリマーなどの生産菌が多く存在することが知られている。
そのため、産業的に重要な菌群として位置づけられており、低エネルギー化や環境負荷を削減できるバイオプロセスによる環境浄化又は物質生産への応用などが期待されている。



特に、バイオプロセスを考える場合、応用が期待される微生物には、有機溶媒を含む特殊な環境下での良好な成育や活発な代謝活動などの性質が求められる。また、石油流出事故などによる石油汚染環境の浄化に必要な微生物にも、高濃度難揮発性化合物存在下でこれらの分解を行いながら良好な成育を示すために、これらに対する分解能だけでなく、共存する難揮発性化合物の毒性に対する耐性能が高いことが求められる。
これらの性質を解析するためには、まず、その切り口として微生物の有機溶媒耐性が必要であり、特にバイオプロセスにおいては、高濃度有機溶媒存在下での成育が求められる。



本発明者らは、ロドコッカス・ロドクラウス(Rhodococcus rhodochrous)S-2株が高濃度石油耐性石油分解菌であることを見出し(例えば、非特許文献1参照。)、その石油耐性に検討を加えた結果、同菌の生産する細胞外多糖(以下、「EPS」という)が長鎖アルカンなどの難揮発性有機溶媒の耐性に深く関与していることを明らかにした。
さらに、ロドコッカス属細菌のコロニー形態と溶媒耐性について検討したところ、EPS生産量の少ないラフ型菌は溶媒に親和性が高く結果的に溶媒感受性であり、一方で、EPS生産量の多いムコイド型菌は耐性を示したことから、同属細菌においては、コロニー形態と有機溶媒耐性に高い相関があることを明らかにした。
また、EPSは溶媒に感受性のラフ型菌にも溶媒耐性を与えることが示されており、これらのことから、ムコイド型コロニーの形成が同属細菌の溶媒耐性を考える上での一つの指標であることが見出された。



ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR4株(以下、「PR4株」と称することがある。)は、分岐鎖状のアルカンの一種であるプリスタン(2,6,10,14-tetramethyl-pentadecane)分解菌として単離された株であり(例えば、非特許文献2参照。)、培養の経過と共にEPSの生産に基づいた自身のコロニー形態をラフ型→ムコイド型→ラフ型へと変化させる株である。また、同株は難揮発性有機溶媒に耐性を示すことが知られている。



一般に、有機溶媒を細菌で処理する場合、有機溶媒と培地成分を含む水性溶媒との二層培養系で行う。しかしながら、水性溶媒中に添加された細菌は、有機溶媒-水性溶媒界面でしか反応できないため、バイオプロセスによる環境浄化又は物質生産への応用には、菌体の親油性を改善し、菌体がアルカンに転移するようにしての処理効率を向上させる必要がある。



PR4株は培地/アルカンの二層培養系において、添加するアルカンの炭素数によって、アルカン粒子表面へ吸着する「吸着型」とアルカン粒子内へ転移する「転移型」の二つの異なる局在性を示す株であり(例えば、非特許文献3参照。)、バイオリメディエーションやバイオプロセスの宿主として期待されている。



本発明者らは、PR4株が前記炭素数14以上のテトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、プリスタン、スクワラン等に転移して、これらのアルカンを代謝及び分解できることを明らかにした。

産業上の利用分野


本発明は、有機溶媒処理用微生物製剤、有機溶媒処理用微生物製剤の製造方法及び有機溶媒の処理方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
有機溶媒によりミセル封入化された有機溶媒分解菌を含有することを特徴とする有機溶媒処理用微生物製剤。

【請求項2】
前記有機溶媒が常温及び常圧下で液体である、請求項1に記載の有機溶媒処理用微生物製剤。

【請求項3】
前記有機溶媒が炭素数13以上16以下のアルカンである、請求項1又は2に記載の有機溶媒処理用微生物製剤。

【請求項4】
前記有機溶媒分解菌がロドコッカス属に属する細菌である、請求項1~3のいずれか一項に記載の有機溶媒処理用微生物製剤。

【請求項5】
前記ミセルの平均粒径が1μm以上100μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の有機溶媒処理用微生物製剤。

【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の有機溶媒処理用微生物製剤を用いることを特徴とする有機溶媒の処理方法。

【請求項7】
有機溶媒分解菌と、有機溶媒と、培地とを混合し、前記有機溶媒分解菌が成育可能な条件で超音波処理を行い、前記有機溶媒によりミセル封入化された前記有機溶媒分解菌を得るミセル封入化工程を備えることを特徴とする有機溶媒処理用微生物製剤の製造方法。

【請求項8】
前記有機溶媒が常温及び常圧下で液体である、請求項7に記載の有機溶媒処理用微生物製剤の製造方法。

【請求項9】
前記有機溶媒が炭素数13以上16以下のアルカンである、請求項7又は8に記載の有機溶媒処理用微生物製剤の製造方法。

【請求項10】
前記有機溶媒分解菌がロドコッカス属に属する細菌である、請求項7~9のいずれか一項に記載の有機溶媒処理用微生物製剤の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
参考情報 (研究プロジェクト等) 研究者情報
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