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シルク多孔質繊維立体構造体の製造方法 コモンズ

国内特許コード P160013476
整理番号 N15124
掲載日 2016年11月4日
出願番号 特願2016-173093
公開番号 特開2018-038290
出願日 平成28年9月5日(2016.9.5)
公開日 平成30年3月15日(2018.3.15)
発明者
  • 玉田 靖
  • 岸本 祐輝
  • 森川 英明
  • 山中 茂
出願人
  • 国立大学法人信州大学
発明の名称 シルク多孔質繊維立体構造体の製造方法 コモンズ
発明の概要 【課題】再生医療用細胞足場材料等として適切な多孔質構造を持ったシルク多孔質繊維立体構造体の製造方法の提供。
【解決手段】電界紡糸法に従って、紡糸液として、4~30wt/vol%濃度のシルクタンパク質水溶液を用い、凝固浴として、緩衝作用を有するpH3~7の酸性塩水溶液を用い、多孔質構造を有するシルク繊維集合体からなるシルク多孔質繊維立体構造体を形成させる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


手術用縫合糸として2500年以上の間使用されているシルクは、重篤な生体反応を起こさないために、生体親和性の高い材料として利用されている。シルクは、通常は水に対して不溶であるが、高濃度の塩溶液等に溶解することが可能であり、その水溶液を水に対して透析することで所定濃度の水溶液を調製することが可能である。このシルクタンパク質水溶液を利用して、フィルム、パウダーあるいはスポンジ構造体等を容易に作製できる。これらの構造体は生体親和性の高い材料であるので、軟骨再生、骨再生、皮膚再生、膀胱再生、血管再生等の再生医療用材料としての利用、研究開発が進められている。特に、シルクのナノファイバーやマイクロファイバーの集積体は、体積に対する表面積の割合が高く、また、生体組織に近い繊維構造体となることから、再生医療用の細胞足場材料として有望であると考えられている。



そこで、シルクを原料としたナノファイバーやマイクロファイバーからなる繊維集積体の作製と再生医療用細胞足場材料としての開発が検討されている。この繊維集積体の作製方法としては、電界紡糸法(エレクトロスピニング法)を用いるのが容易である。エレクトロスピニング法は、紡糸液に高電圧を印加することで紡糸液表面に電荷を蓄積させ、その電荷の反発が表面張力を超えると、ジェット状に電荷を帯びた紡糸液が噴射され、さらにその噴射液が溶媒の蒸発とともに分岐しナノファイバーを形成し、コレクタ上に堆積させることで、繊維集積体を作製する方法である。



一般的なエレクトロスピニング法では、コレクタ電極として平板、ドラムあるいは円板を利用して繊維集合体を作製する。しかし、これらの手法では、嵩方向に繊維が密に集積するために、嵩方向への目詰まりが避けられず、例えば、再生医療用足場材料として用いる場合は、細胞の浸潤が阻止され、組織再生の阻害となり、また、血管新生の障害となり細胞や組織へ栄養不足が生じるという問題がある。あるいは、フィルター素材として利用する場合も、フィルターの目詰まりにより流動層の妨げとなり、十分な性能を発揮できないという問題がある。これらの課題を解決するために、繊維間に空隙を生起させるためにコレクタ電極に液体電極を用いる方法が考案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1において開示されている技術では、紡糸液として使用する高分子が可溶しない溶媒を用いて液体コレクタ電極へ紡糸する方法が提案され、海綿状繊維立体構造体が製造出来ることを示している。シルクにおいても、ギ酸やフッ素系溶媒に溶解したシルク溶液をメタノール中に紡糸する方法が考案されている。しかし、このような技術は、所望の多孔質構造を有するシルク繊維集合体を得るには必ずしも満足すべきものではない。



また、再生医療用細胞足場材料としては、数十~100μm程度の多孔質構造が有用であることが知られている。前述の液体コレクタ電極によっても、繊維間の空隙を増やすことで多孔質構造の形成が可能となる。しかし、その空隙の大きさは、十μm程度が限度であり、さらに大きな多孔質径の空隙をもつ構造体の製造が所望とされるが、いまだ満足すべき技術は開発されていない。また、再生医療用足場材料等の人体への利用を考える場合、その製造過程において、人体に対して有害な試薬や溶媒を使用することを避けるべきであり、紡糸液を水溶液として使用することが必要となる。しかし、水溶液を紡糸液として使用するときには、コレクタ電極の液体としては低表面張力の有機溶媒を使用しなければならなかったのが現状である。また、大量の有機溶剤を液体コレクタ電極用の溶媒として使用する場合は、製造中の爆発や火災の危険性があり、工業生産的に大きな問題となっている。紡糸液としてシルクタンパク質水溶液を使用する場合も、エタノール等の有機溶媒を液体コレクタ電極に用いることが検討されているが、多孔質構造を有する繊維立体構造体の製造は困難で有り、また、製造上の危険性があり解決すべき課題が多い。

産業上の利用分野


本発明は、シルク多孔質繊維立体構造体の製造方法に関し、特に、皮膚再生や血管再生等の生体組織再生における細胞足場材料等の再生医療用材料や、創傷保護や治癒促進のための創傷被覆材等の医療用分野や、フェースパックや皮膚保湿材等のエステティックや化粧分野、マスク等の衛生材料分野、あるいは、微細粒子捕捉や水質浄化用のフィルター等の産業分野において活用されるシルク多孔質繊維立体構造体の製造方法に関するものである。本発明において、多孔質繊維立体構造体とは、1μm以上の(所定の径(大きさ))の繊維間空隙を持ち、及び/又は10~100μmの孔径を持つ多孔質構造を有する多孔質繊維立体構造体をいうものとする。すなわち、繊維間空隙の大きさも多孔質の孔径とする。

特許請求の範囲 【請求項1】
電界紡糸法に従って、紡糸液として、4~30w/v%濃度のシルクタンパク質水溶液を用い、凝固浴として、緩衝作用を有するpH3~7の酸性塩水溶液を用い、多孔質構造を有するシルク繊維集合体からなるシルク多孔質繊維立体構造体を形成させることを特徴とするシルク多孔質繊維立体構造体の製造方法。

【請求項2】
前記緩衝作用を持つ酸性塩が、シュウ酸塩、マレイン酸塩、アスパラギン酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、及びコハク酸塩からなる群から選ばれた塩であることを特徴とする請求項1に記載のシルク多孔質繊維立体構造体の製造方法。

【請求項3】
前記緩衝作用を持つ酸性塩水溶液に界面活性剤及びアルコールから選ばれた少なくとも1種を添加した混合水溶液を使用することを特徴とする請求項1に記載のシルク多孔質繊維立体構造体の製造方法。

【請求項4】
前記アルコールがエタノール又はブタノールであることを特徴とする請求項3に記載のシルク多孔質繊維立体構造体の製造方法。

【請求項5】
前記シルク多孔質繊維立体構造体を形成した後に、さらに、この形成したシルク多孔質繊維立体構造体をアルコール水溶液に浸漬し、又は水蒸気に暴露することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のシルク多孔質繊維立体構造体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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