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耐摩耗性に優れるハイス鋼(高速度工具鋼)は,硬さの向上を目的に鉄をベースにモリブデン,バナジウム,タングステンなど多くのレアメタルを添加した合金鋼である。 上記のような耐摩耗性材料は、全般的に硬さが上がれば上がるほど耐摩耗特性が向上することが知られており、上記ハイス鋼の場合、耐摩耗特性を向上させるためには多くのレアメタルが必要である。
しかしながら、レアメタルの供給は諸外国に依存しているため、できる限り使用量を減らしつつ、耐摩耗特性を維持できる材料の開発が望まれている。
一方、多結晶金属材料において,ホールペッチの関係に示されるように,その結晶粒径と機械的性質との間には密接な関係がある。 すなわち、結晶粒径を微細にすればするほど,その金属材料は高強度となる。しかしながら,均一微細結晶粒を有する金属材料は,ナノオーダーまで結晶粒を微細化させると,塑性不安定の早期発現により,十分な延性が得られないことが近年報告されている(非特許文献1、2参照)。
そこで、本発明の発明者らは、3次元のネットワーク状に形成されたハイス鋼の微細結晶粒領域(以下,「ネットワーク部」と記す)と、ネットワーク部のネットワーク内に分散配置された低炭素鋼の粗大結晶粒領域(以下,「分散部」と記す)からなり、微細組織内のあらゆる方向において一定間隔で同じ組織が繰り返されることから,調和組織(Harmonic Structure)と呼ばれている構造を備えた粉末冶金技術を用いて形成された粉末冶金鉄鋼材料をすでに提案している(非特許文献3参照)。 すなわち、上記粉末冶金鉄鋼材料は、分散部を構成する低炭素鋼の粗大結晶粒子が高強度なハイス鋼の微細結晶粒領域によって周囲を囲まれているので、強度的に弱い低炭素鋼が含まれていても、高強度な鉄鋼材料とすることができる。また、レアメタルが多く含まれる高価なハイス鋼の使用量を少なくすることができ、低コスト化できる。
本発明は、粉末冶金鉄鋼材料及びその製造方法に関する。
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