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シリコンナノウォール構造体およびその製造方法 UPDATE

国内特許コード P170013749
整理番号 FPV005
掲載日 2017年3月14日
出願番号 特願2017-045820
公開番号 特開2018-149611
出願日 平成29年3月10日(2017.3.10)
公開日 平成30年9月27日(2018.9.27)
発明者
  • 平井 政和
  • 吉葉 修平
  • 市川 幸美
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 シリコンナノウォール構造体およびその製造方法 UPDATE
発明の概要 【課題】シリコンウォールの貼り付きを生じさせずにシリコンナノウォール構造体を製造するための技術を提供すること。
【解決手段】本発明では、シリコン基板の深さ方向にウェットエッチングして複数のシリコンナノウォールを形成する工程からマスク部分をウェットエッチングにより除去する工程への移行をシリコン基板がエッチング液、洗浄液中に浸漬された状態で行うこととした。その結果、シリコンウォールの側壁面はエッチング液、洗浄液、酸化液に触れた状態にあり、隣接するシリコンウォールとの貼り付きが防止されるため、エッチングにより、従来のものよりも薄いシリコンウォールの形成が可能である。液中のままウェット酸化(薬液による酸化)でパッシベーション形成、又は、目的とするシリコンナノウォール(SNW)の薄さまで形成することが可能である。その後の熱酸化によって厚みを薄くする際の試料、工程への負担が軽減される。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


ナノメートルサイズの微細な形状を有する構造体(ナノ構造体)は、量子サイズ効果によりバンドギャップが拡がり、バルク材料にはない特性を示す。このような量子サイズ効果は、サイズが小さくなることにより量子井戸幅が狭く(小さく)なると、電子の波動関数が満たすべき量子井戸端における境界条件の要請から、電子のエネルギ準位が大きくなることによると理解されている。



このようなナノ構造体に関し、特表2011-519730号公報(特許文献1)には、超格子/量子井戸構造体を含むセグメント化された半導体ナノワイヤ及びその製造方法の発明が開示されている。このようなナノ構造体は太陽電池への応用も検討されてきており、例えばシリコンナノウォール構造体の研究も進められてきている。



図1は、シリコンナノウォール構造体の、従来の製造プロセスを概念的に説明するための図である。先ず、シリコン基板100を準備する(a)。この基板100の主面に、後の工程でマスクとして作用することとなる窒化シリコン膜(Si34)110aをLPCVD法等で形成し(b)、続いて、窒化シリコン膜110a上に、ナノインプリント用のレジスト120aを塗布する(c)。そして、パターンモールド130を用いて、上記レジスト120aにナノインプリントパターニング120bを行う(d)。なお、このパターニングにより、幅が50~70nmのウォールが得られる。



ナノインプリントパターニング120bにより露出された窒化シリコン膜110aの領域はドライエッチングにより除去され、パターニングされた窒化シリコン膜110bが得られる(e)。その後、窒化シリコン膜110b上のレジストを除去し(f)、パターニングされた窒化シリコン膜110bをハードマスクとして、シリコン基板100を深さ方向に異方性エッチングする。このシリコンの異方性エッチングには、例えば、KOH等の薬液を用いることができる。



上記エッチングにより、主に、深さ方向にシリコンが除去されてシリコンウォールが形成されることとなるが、エッチングはシリコンウォール側壁面においても進行するから、エッチング後にはエッチング前の厚み(50~70nm)よりも薄くなり、例えば、高さが2~3μmで、厚みが30~50nm程度の厚みのシリコンウォール140が形成される(g)。



上記シリコンウォール140を形成した後、高濃度のフッ酸溶液やリン酸溶液といった薬液を用いたエッチングにより、シリコンウォール140の上端部に残存する窒化シリコン膜110bを除去する(h)。そして、純水洗浄等を施した後、シリコンウォール140の厚みを更に薄くするために、熱酸化をおこなう。この熱酸化では、主としてシリコンウォール140の側壁が酸化され、酸化されたシリコンの分だけシリコンウォール140の厚みは薄くなる。このような酸化膜150の形成により、厚みが数ナノメートルレベルのシリコンナノウォール構造体が得られる(i)。例えば2nmの厚みのシリコンウォールは、概ね1.7eV程度のバンドギャップを有する。なお、厚みtのシリコン結晶部分が酸化されると、概ね厚み2tのシリコン酸化膜となる。



ところで、これまでの製造プロセスでは、シリコンウォール形成時の異方性エッチング、シリコンウォール140の上端部に残存する窒化シリコン膜110bを除去するためのエッチング、これらのエッチング後の純水洗浄等は別個の液槽で行われている。そのため、シリコンウォールが形成された状態のシリコン基板は液槽から一旦外部に取り出され、次工程の液槽へと移されることになる。その際、外部に取り出された状態のシリコンウォールの表面(壁面)は外気に晒されることとなり、厚みが薄いシリコンウォールは撓んで、互いに貼りついてしまうという現象が生じ易い。このような貼り付き現象は、シリコンウォールが薄い程、また、表面が疎水性である程、生じやすい。



最終的には厚みが数ナノメートルレベルのシリコンナノウォール構造体を得ることを目的としているにもかかわらず、エッチングによるシリコンウォールの形成の厚みを比較的厚めの30~40nm程度のものとせざるを得ないのは、水との表面張力に起因する相互の貼り付きを極力回避するため、撓みのレベルを低くしておく必要があるためである。



図2は、シリコンウォール形成時の異方性エッチング後に液槽から外部に取り出した際のシリコンウォールの様子(a)、および、シリコンウォールの上端部に残存する窒化シリコン膜110bを除去するためのエッチング後に液槽から外部に取り出した際のシリコンウォールの様子(b)、を示すSEM像の例である。シリコンウォール形成時の異方性エッチング後に液槽から外部に取り出した状態でも既に、局所的に貼り付きが生じている。さらに、シリコンウォールの上端部に残存する窒化シリコン膜を除去するためのエッチング後に液槽から外部に取り出した状態では、シリコンウォールは完全に貼り付いてしまっている。



尤も、上述したように、シリコンウォール形成時の厚みを比較的厚めにしておけば貼り付きの問題は生じ難いが、その場合には、ウォールのアスペクト比を大きくすることが難しいことや、酸化によりウォールを薄くする際の試料や工程への負担が大きくなることや酸化膜厚の制御性が難しくなる。具体的には、ウォールを薄くするために必要な酸化膜は当然に厚くなり、酸化温度を高くするか酸化時間を長くせざるを得ない。



また、厚みtのシリコン結晶部分を酸化すると、その部分は厚みtのシリコン酸化膜となるのではなく、概ね厚み2tのシリコン酸化膜となるのであるから、これは、酸化によりウォールを厚みtだけ薄くするためには、薄くする厚み分だけのスペースを予め設けてパターン設計しておくことが必要になることを意味する。

産業上の利用分野


本発明はシリコンナノウォール構造体の製造技術に関し、より詳細には、太陽電池の製造に好適な、量子効果によるバンドギャップの拡がりを好ましい範囲に設計可能な厚みと高いアスペクト比を有するシリコンナノウォール構造体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
シリコン基板上に複数のシリコンナノウォール(SNW)が実質的に等間隔でアレイ状に形成された構造体であって、
前記SNWの厚みの平均値Wが20nm以下であり、且つ、相互に隣接するSNWとの間隔Dが30nm以下である、
シリコンナノウォール構造体。

【請求項2】
前記SNWの高さの平均値をHとしたときのアスペクト比(R=H/W)が100以上である、
請求項1に記載のシリコンナノウォール構造体。

【請求項3】
前記シリコン基板および前記SNWの導電型はn型又はp型である、
請求項1または2に記載のシリコンナノウォール構造体。

【請求項4】
前記シリコン基板の主面は{110}面である、
請求項1~3の何れか1項に記載のシリコンナノウォール構造体。

【請求項5】
前記複数のSNWの側壁面にパッシベーション膜が形成されている、
請求項1~4の何れか1項に記載のシリコンナノウォール構造体。

【請求項6】
前記相互に隣接するSNWの間隔Dの領域にシリコン酸化物又はシリコン酸化物以外の絶縁物で充填されている、
請求項1~5の何れか1項に記載のシリコンナノウォール構造体。

【請求項7】
シリコン基板上に実質的に等間隔で並行して延在するストライプ状のパターンにマスクを形成する工程Aと、
前記マスクから露出する結晶領域を前記シリコン基板の深さ方向に薬液によりエッチングして複数のシリコンナノウォール(SNW)を形成する工程Bと、
前記マスク部分を薬液によるエッチングにより除去する工程Cとを備え、
前記工程Bから前記工程Cへの移行を前記シリコン基板が液中に浸漬された状態で行う、
シリコンナノウォール構造体の製造方法。

【請求項8】
前記工程Cを、シリコン結晶のバンドギャップよりも大きいエネルギの波長の光を用いる光アシストエッチング法により実行する、
請求項7に記載のシリコンナノウォール構造体の製造方法。

【請求項9】
前記工程Cの後工程として、前記複数のSNWの側壁面を薬液中で酸化してパッシベーション膜を形成する工程、又は、シリコンナノウォール(SNW)の側壁面を薬液により酸化する工程である工程Dを備え、前記工程Bから工程Cまで、又は、前記工程Cから工程Dまでを、前記シリコン基板が液中に浸漬された状態で行う、
請求項7または8に記載のシリコンナノウォール構造体の製造方法。

【請求項10】
前記工程Cの光アシストエッチングに用いられる薬液は、フッ酸(HF)と硝酸(HNO3)の混酸、若しくは、フッ酸(HF)と過酸化水素(H22)の混合液である、
請求項8~9の何れか1項に記載のシリコンナノウォール構造体の製造方法。

【請求項11】
前記工程Cの光アシストエッチングに用いられる薬液の酸濃度は1%以下である、
請求項8~10の何れか1項に記載のシリコンナノウォール構造体の製造方法。

【請求項12】
前記工程CもしくはDの後工程として、前記複数のSNWの側壁面を熱酸化する工程Eを備えている、
請求項9~11の何れか1項に記載のシリコンナノウォール構造体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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