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微粒子分離用マイクロ流路チップ、該チップを用いた微粒子分離用システム及び微粒子分離方法 UPDATE

国内特許コード P170013843
整理番号 (S2013-0003-N0)
掲載日 2017年3月16日
出願番号 特願2014-542131
登録番号 特許第6326582号
出願日 平成25年10月15日(2013.10.15)
登録日 平成30年4月27日(2018.4.27)
国際出願番号 JP2013077905
国際公開番号 WO2014061631
国際出願日 平成25年10月15日(2013.10.15)
国際公開日 平成26年4月24日(2014.4.24)
優先権データ
  • 特願2012-227717 (2012.10.15) JP
発明者
  • 新井 史人
  • 益田 泰輔
  • 新美 京
  • 道家 悠希
  • 中西 速夫
  • 伊藤 誠二
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
  • 愛知県
発明の名称 微粒子分離用マイクロ流路チップ、該チップを用いた微粒子分離用システム及び微粒子分離方法 UPDATE
発明の概要 粒径が異なる微粒子が混在している溶液から、抗体等を使用する必要がなく、また、目詰まりすることなく連続的に微粒子を分離することができる微粒子分離用マイクロ流路チップ、該チップを用いた微粒子分離用システム及び微粒子分離方法を提供する。
複数の主流路、及び該主流路の幅より大きな捕捉部位が各々の主流路に1以上設けられていることを特徴とする微粒子分離用マイクロ流路チップを用いることで、微粒子を捕捉することができる。
従来技術、競合技術の概要


CTCはがん患者の末梢血流を循環する腫瘍細胞と定義され、原発腫瘍又は転移腫瘍から血管中へ浸潤した腫瘍細胞である。このCTCの検出は、転移性悪性腫瘍の早期発見の方法の一つとして近年注目されている。その理由は、X線写真や血清中の腫瘍マーカー検出よりも低侵襲かつ正確に転移性悪性腫瘍の診断を行え、患者の予後予測や治療効果の指標として利用できる点にある。



CTCは非常に稀少な細胞であり、転移性がん患者の血液に含まれる108~109個の血液細胞の内、わずか1細胞程度しか存在しないことが知られている。そのため、末梢血から稀少なCTCを正確に検出するための技術開発に多大な努力が注がれている。これまでに開発されてきた主要な検出方法には、免疫組織化学法、PCR法、フローサイトメトリー法などがある。しかしながら、前述したようにCTCは非常に稀少な細胞であるため、血液をそのままこれらの検出方法に供することは出来ないので、通常は前処理として、CTCの濃縮操作が必須であり、検出法に則したレベルまでCTC存在比を濃縮させる必要がある。



CTCの濃縮方法として開発されてきた様々な手法の中で、最も広く利用されているのは、細胞表面の特異的抗原を標的とした腫瘍細胞の濃縮である。その多くは、上皮細胞接着分子(Epithelial cell adhesion molecule:EpCAM)に対するモノクローナル抗体を固定化した磁気微粒子を血液と混合した後、磁石を用いて腫瘍細胞を濃縮する方法をとっている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、EpCAMの発現量は腫瘍のタイプに依存し大きく変動することが知られている。



その他の濃縮方法としては、細胞のサイズなどの形態を基準として濃縮する手法がある。白血球に比べてサイズが大きな上皮性腫瘍細胞をフィルトレーションによって選別する方法は、ISET法(Isolation by Size of Epithelial Tumor cells)と呼ばれている。ISETは、孔径8μmのポリカーボネートメンブレンフィルターを用いて血液をフィルトレーションするという簡便な手法であり、安価かつユーザーフレンドリーな手法である。ここで用いられているポリカーボネートメンブレンフィルターは、重イオンを照射した後、エッチングを行うトラックエッチングという手法によって、孔が形成されている。しかし、孔が比較的低密度であり、二つ又はそれ以上の孔が重なりあったりする問題があるため、CTCの捕捉に利用した場合、その捕捉効率は50~60%とされており、濃縮法が簡便かつ効率も良い手法は未だ開発されていない。



CTCの検出を効率的かつ正確なものにするためには、濃縮と検出といった技術を首尾一貫して行うことが必要である。多段階のハンドリング操作、例えば細胞の染色、洗浄、分離、分注などの操作はCTCのロスを引き起こすため、可能な限りこれらの操作を避け、一体の検出装置中で分析が一貫して行える形が好ましい。Cellsearch(VeridexTM,Warren,PA)はCTC検出装置として唯一FDAの認可を受けた装置である。この装置では、全血に対し抗EpCAM抗体固定化磁気微粒子によるCTCの濃縮を行い、腫瘍細胞に対して免疫染色を行った後、自動化蛍光顕微鏡を用いて腫瘍細胞の計数が行われる(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、当該装置を用いる場合、一般的に大型の装置導入と訓練されたオペレーターの確保が必要であり、ベッドサイドで短時間且つ正確に検査をすることは困難である。



一方で、CTC検出のための小型のマイクロ流体デバイスも知られている。例えば、Tonerらが開発したCTC検出用マイクロ流体デバイスはCTC-chipと呼ばれ、フォトリソグラフィーによって形成されたシリコン製の流路内に、円筒状構造物(マイクロポスト)が78000個構成されている。このマイクロポストには、抗EpCAM抗体がコーティングされており、本流路に血液を送液すると、血液中のCTCがマイクロポスト上に捕捉される。捕捉されたCTCに対して、上皮細胞マーカー(cytokeratin)をターゲットとした蛍光免疫染色を行い、蛍光顕微鏡を用いて腫瘍細胞の計数が行われる。本装置は、手のひらに乗る小型デバイスでありながら、5mL以上の血液をそのまま分析に供することができるという大きな利点を持っている。実際に転移性がん患者血液からCTC検出を行っており、回収したCTCからチロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性を生む変異を検出することが出来る。しかしながら、CellsearchやCTC-chipを用いたCTC検出は、転移性がん患者血液などの実サンプルを用いた実験が精力的に行われ実績を挙げているが、これらの手法は抗EpCAM抗体でCTCを濃縮するという原理になっている。そのため、EpCAM陰性又は弱陽性の腫瘍細胞は検出できないという問題点が挙げられる。



その他の方法としては、腫瘍細胞のサイズと形態を指標として、CTCを検出するマイクロ流体デバイスが開発されている。これらのデバイスでは、その流路構造内にメンブレンマイクロフィルター、三日月型の細胞捕捉ウェル(非特許文献3参照)、4段階の細さの流路(非特許文献4参照)を配して、血液中の血球細胞と腫瘍細胞をサイズによって選別し、腫瘍細胞を選択的に濃縮している。また、その流路を利用して、濃縮後の細胞に対して溶解などの操作を連続的に行うことが出来る。これらのデバイスを用いたモデル腫瘍細胞の回収効率の評価実験においては、80%以上のCTC回収効率を得ている。しかしながら、この評価はあくまでモデル細胞を用いた実験で行われており、実際にCTC検出時に必要となる細胞の染色操作や洗浄操作といった要素技術項目については検討されていない。さらに、がん患者血液などの実サンプルを用いた実験は行われておらず、実際にCTC検出に利用できるかどうかは明らかにされていない。



更に、抗EpCAM抗体を使用しない小型のデバイスとしては、マイクロ流路内にマイクロキャビティアレイ(微細貫通孔)を設け、CTCを捕捉することができるマイクロ流体デバイスが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、前記マイクロ流体デバイスは、微細貫通孔にCTCを捕捉するタイプであるので、CTCの目詰まりによる作業効率の低下、更には分離したCTCの回収が困難であるという問題がある。

産業上の利用分野


本発明は、液体中に混在するサイズの異なる微粒子を分離するための微粒子分離用マイクロ流路チップ、該チップを用いた微粒子分離用システム及び微粒子分離方法に関するもので、特に、血液中の循環腫瘍細胞(Circulating tumor cell、以下「CTC」と略記することもある。)を選択的に捕捉するためのCTC分離用マイクロ流路チップ、該チップを用いたCTC分離用システム及びCTC分離方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
微粒子分離用マイクロ流路チップであって、
該微粒子分離用マイクロ流路チップは、前記微粒子分離用マイクロ流路チップの第1面に開口するように形成された複数の主流路を含み、
前記主流路は、
微粒子を捕捉する捕捉部位、及び、
前記捕捉部位が形成されていない流路部分、
を有し、
前記流路部分は、
前記第1面側の上部流路部分、
前記上部流路部分より下方の下部流路部分、及び、
前記下部流路部分に連通し、且つ、前記捕捉部位の下方に形成された捕捉部位下方流路部分、
を有し、
前記捕捉部位は、前記第1面に開口するように形成され、前記流路部分の幅より大きく、前記上部流路部分と深さが同じで、且つ、前記上部流路部分と連通し、
前記捕捉部位下方流路部分は、前記捕捉部位の下方で前記捕捉部位に連通するように形成されている、
ことを特徴とする微粒子分離用マイクロ流路チップ。

【請求項2】
前記複数の主流路の一端に連結する排出路を含むことを特徴とする請求項1に記載の微粒子分離用マイクロ流路チップ。

【請求項3】
前記捕捉部位で捕捉される微粒子がCTCで、除去される微粒子が血球細胞であることを特徴とする請求項1又は2に記載の微粒子分離用マイクロ流路チップ。

【請求項4】
請求項1~の何れか一項に記載されている微粒子分離用マイクロ流路チップ、サンプル液用薄板、シース液用薄板、並びに、シース液を吸引する吸引手段及び/又は吸引装置を含み、
前記サンプル液用薄板は、サンプル液を前記主流路に押し付けるため、前記第1面側に配置され、
前記シース液用薄板は、前記捕捉部位で捕捉された微粒子以外のものを洗い流すためのシース液を前記主流路に押し付けるため、前記第1面側に配置され
前記吸引手段及び/又は吸引装置は、前記シース液を吸引するため、前記第1面側に配置される、
ことを特徴とする微粒子分離用システム。

【請求項5】
請求項1~の何れか一項に記載されている微粒子分離用マイクロ流路チップ、カバー板、並びに、吸引手段及び/又は吸引装置を含み、
前記カバー板は、サンプル液及び/又はシース液を前記主流路に押し付けるため、前記第1面側に配置され、
前記吸引手段及び/又は吸引装置は、前記サンプル液及び/又はシース液を吸引するため、前記第1面側に配置される、
ことを特徴とする微粒子分離用システム。

【請求項6】
吸引ユニットを更に含み、該吸引ユニットは、
基材、
該基材の一方の面に形成された横溝、及び、
該横溝に連通し、且つ、前記一方の面から前記基材の反対の面に貫通する吸引孔を含み、
前記吸引ユニットは、前記第1面側に配置される、
ことを特徴とする請求項又はに記載の微粒子分離用システム。

【請求項7】
前記捕捉部位に磁場発生装置及び/又は電場発生装置が設けられていることを特徴とする請求項の何れか一項に記載の微粒子分離用システム。

【請求項8】
請求項1~の何れか一項に記載されている微粒子分離用マイクロ流路チップの前記第1面とサンプル液用薄板の間に前記捕捉部位で捕捉される微粒子を含むサンプル液を注入する工程
前記第1面とシース液用薄板の間に前記捕捉部位で捕捉された微粒子以外のものを洗い流すためのシース液を注入する工程
前記微粒子分離用マイクロ流路チップと前記サンプル液用薄板及び前記シース液用薄板を相対移動させることで発生するメニスカスにより、前記サンプル液及び前記シース液を前記第1面に押し付ける工程、
前記捕捉部位に前記微粒子が捕捉された状態で、吸引手段及び/又は吸引装置により前記シース液を吸引することで、前記捕捉部位で捕捉された微粒子以外のものを微粒子分離用マイクロ流路チップから除去する工程、
を含むことを特徴とする微粒子分離方法。

【請求項9】
微粒子分離用マイクロ流路チップを用いた微粒子分離方法であって、
該微粒子分離用マイクロ流路チップは、前記微粒子分離用マイクロ流路チップの第1面に開口するように形成された複数の主流路を含み、
前記主流路は、
微粒子を捕捉する捕捉部位、及び、
前記捕捉部位が形成されていない流路部分、
を有し、
前記流路部分は、
前記第1面側の上部流路部分、
前記上部流路部分より下方の下部流路部分、及び、
前記下部流路部分に連通し、且つ、前記捕捉部位の下方に形成された捕捉部位下方流路部分、
を有し、
前記捕捉部位は、前記第1面に開口するように形成され、前記流路部分の幅より大きく、前記上部流路部分と深さが同じで、且つ、前記上部流路部分と連通し、
前記捕捉部位下方流路部分は、前記捕捉部位の下方で前記捕捉部位に連通するように形成され、
前記微粒子分離方法は、
前記第1面とサンプル液用薄板の間に前記捕捉部位で捕捉される微粒子を含むサンプル液を注入する工程
前記第1面とシース液用薄板の間に前記捕捉部位で捕捉された微粒子以外のものを洗い流すシース液を注入する工程
前記微粒子分離用マイクロ流路チップと前記サンプル液用薄板及び前記シース液用薄板を相対移動させることで発生するメニスカスにより、前記サンプル液及び前記シース液を前記第1面に押し付ける工程、
前記捕捉部位に前記微粒子が捕捉された状態で、吸引手段及び/又は吸引装置により前記シース液を吸引することで、前記捕捉部位で捕捉された微粒子以外のものを前記微粒子分離用マイクロ流路チップから除去する工程、
を含むことを特徴とする微粒子分離方法。

【請求項10】
請求項1~の何れか一項に記載されている微粒子分離用マイクロ流路チップの前記第1面とカバー板の間に前記捕捉部位で捕捉される微粒子を含むサンプル液を注入する工程
吸引手段及び/又は吸引装置で前記サンプル液を吸引することで発生するメニスカスにより、前記微粒子を前記捕捉部位に捕捉する工程、
を含むことを特徴とする微粒子分離方法。

【請求項11】
前記サンプル液を吸引した後に、前記微粒子分離用マイクロ流路チップと前記カバー板の間に前記捕捉部位で捕捉された微粒子以外のものを洗い流すためのシース液を注入する工程
前記捕捉部位に前記微粒子が捕捉された状態で、前記吸引手段及び/又は吸引装置で前記シース液を吸引することで、前記捕捉部位で捕捉された微粒子以外のものを洗い流す工程、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の微粒子分離方法。

【請求項12】
微粒子分離用マイクロ流路チップを用いた微粒子分離方法であって、
該微粒子分離用マイクロ流路チップは、前記微粒子分離用マイクロ流路チップの第1面に開口するように形成された複数の主流路を含み、
前記主流路は、
微粒子を捕捉する捕捉部位、及び、
前記捕捉部位が形成されていない流路部分、
を有し、
前記流路部分は、
前記第1面側の上部流路部分、
前記上部流路部分より下方の下部流路部分、及び、
前記下部流路部分に連通し、且つ、前記捕捉部位の下方に形成された捕捉部位下方流路部分、
を有し、
前記捕捉部位は、前記第1面に開口するように形成され、前記流路部分の幅より大きく、前記上部流路部分と深さが同じで、且つ、前記上部流路部分と連通し、
前記捕捉部位下方流路部分は、前記捕捉部位の下方で前記捕捉部位に連通するように形成され、
前記微粒子分離方法は、
前記第1面とカバー板の間に捕捉部位で捕捉される微粒子を含むサンプル液を注入する工程
吸引手段及び/又は吸引装置で前記サンプル液を吸引することで発生するメニスカスにより、前記微粒子を前記捕捉部位に捕捉する工程、
を含むことを特徴とする微粒子分離方法。

【請求項13】
前記サンプル液を吸引した後に、前記微粒子分離用マイクロ流路チップと前記カバー板の間に前記捕捉部位で捕捉された微粒子以外のものを洗い流すためのシース液を注入する工程
前記捕捉部位に前記微粒子が捕捉された状態で、前記吸引手段及び/又は吸引装置で前記シース液を吸引することで、前記捕捉部位で捕捉された微粒子以外のものを洗い流す工程、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の微粒子分離方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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