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非侵襲型生体脂質濃度計測器、非侵襲型生体脂質代謝機能計測器、非侵襲による生体脂質濃度計測方法および非侵襲による生体脂質代謝機能検査方法

国内特許コード P170013866
整理番号 (S2013-0278-N0)
掲載日 2017年3月17日
出願番号 特願2014-551019
登録番号 特許第6241853号
出願日 平成25年11月14日(2013.11.14)
登録日 平成29年11月17日(2017.11.17)
国際出願番号 JP2013080826
国際公開番号 WO2014087825
国際出願日 平成25年11月14日(2013.11.14)
国際公開日 平成26年6月12日(2014.6.12)
発明者
  • 清水 孝一
  • 飯永 一也
出願人
  • 国立大学法人北海道大学
  • 飯永 一也
発明の名称 非侵襲型生体脂質濃度計測器、非侵襲型生体脂質代謝機能計測器、非侵襲による生体脂質濃度計測方法および非侵襲による生体脂質代謝機能検査方法
発明の概要 【課題】 採血を無くすことにより医療機関のみならず家庭でも血中脂質を計測できるようになり、しかも即時的なデータ取得を可能とすることで時間的に連続した血中脂質を計測をすることにより食後高脂血症などの代謝異常の検査に応用することが可能な非侵襲型生体脂質濃度計測器等を提供する。
【解決手段】 生体外から生体内に向けて所定の光強度で光を照射する照射手段2と、この照射手段2による光の照射位置21から所定間隔をあけて配置されて前記生体から放出される光強度を検出する光強度検出手段3と、この光強度検出手段3により検出された前記光強度に基づき生体内における光の散乱係数を算出する散乱係数算出手段4と、この散乱係数算出手段4により算出された光の散乱係数に基づき生体内における脂質濃度を算出する脂質濃度算出手段5とを有する。
従来技術、競合技術の概要


近年、国民の医療費は高騰し、医療費の抑制は国あるいは国民に取って大きな課題である。その医療費の3分の1は生活習慣病に起因する疾患の治療費で占められる。これらの背景を基に、国民医療費の抑制、健康寿命の向上、QOL(Quality of Life)の向上が求められ、これらの実現のために特定健診が施行されるとともに、未病に対する考え方が普及してきた。



特に、特定健診のスクリーニング対象であるメタボリックシンドローム(代謝症候群)は、内臓脂肪肥満の蓄積を原因とするインスリン抵抗性から生ずる糖尿病、脂質異常症、高血圧を発症する事が知られており、この代謝症候群の早期発見が重症化予防やQOLの向上、さらに国民医療費の抑制に繋がると期待されている。



このように、インスリン抵抗性が生活習慣病の早期発見に重要であるにも係らず、特定健診では腹囲径計測からインスリン抵抗性のリスクを予測するしか方法が無かった。



また近年、インスリン抵抗性と食後高脂血症に密接な関係があることが解り、食後高脂血症がインスリン抵抗性を引き起こしている可能性も指摘されており、代謝症候群の源流となる代謝異常と考えられる。従って、この食後高脂血症は、代謝症候群の初期段階(未病)を発見できるばかりでなく、動脈硬化のリスクファクターとして注目されており、例えば非空腹時の中性脂肪濃度が高くなると冠動脈疾患のイベント発症リスクが高くなるといえるのである。



しかしながら、食後高脂血症の診断は、食後6時間~10時間の血中の脂質濃度変化を観測する必要がある。つまり、食後の高脂血状態を計測するためには、被験者を6~10時間程度拘束し、複数回の採血が必要であるため、臨床研究の域を出ず、臨床現場で実施することは現実的ではなかった。



また、国民の健康意識の高まりから、脂肪吸収抑制を特徴とする特定保健用食品などが普及し、食事による脂肪摂取に対する意識が高まっている。しかし、国民が血中の脂質を気にかけているにも関わらず、家庭で気軽に血中脂質を計測する健康管理機器は存在しない。なぜなら、採血そのものが医師法により規制されていること、また、仮に規制が無くても検査機器が高額で一般家庭で購入できる価格帯では無いこと、さらには、廃液処理、長時間にわたる分析時間等の問題点が挙げられる。



以上のような状況下において、これまでに提案されている血中成分の計測方法に関する発明は以下の通りである。



例えば、特開2004-251673号公報では、近赤外領域や赤外領域の波長の光を音響光学可変振動フィルターにより出力して生体に照射し、被測定対象物を透過または反射した光を受光して得られた吸光スペクトルを解析・演算することにより被測定対象物の濃度を算出する装置に関する発明が提案されている(特許文献1)。つまり、この発明は、血中成分によって光が吸収される現象を利用し、照射される光量と、受光される光量との差等から光が吸収された量等を算出し、その算出結果から血中成分の濃度を算出するというものである。



また、特開2010-66280号公報では、近赤外光源と、近赤外光を検出する検出手段と、前記近赤外光源から発する近赤外光を生体組織あるいは体液に導入し、前記生体組織あるいは体液を透過あるいは拡散反射した近赤外光を前記検出手段に誘導する誘導手段と、前記検出手段で得られる信号を基にグルコース濃度の回帰分析を行う演算手段とからなり、上記演算手段は、分子の第1倍音が観察できる波長領域で且つ水の吸収の影響が比較的小さい1480nmから1880nmの波長領域内におけるグルコース分子のOH基由来の吸収を測定するための1550nmから1650nmの第1の波長域と、生体成分のNH基由来の吸収を測定するための1480nmから1550nmの第2の波長域と、生体成分のCH基由来の吸収を測定するための1650nmから1880nmの第3の波長域の少なくとも3つの隣接域内の各波長を連続的に測定して得られる連続スペクトル信号を説明変量、グルコース濃度を目的変量として回帰分析することでグルコースの定量を行うものであることを特徴とするグルコース濃度の定量装置に関する発明が提案されている(特許文献2)。つまり、この発明も特許文献1に記載の発明と同様、グルコースのOH基、NH基およびCH基によって光が吸収される現象を利用し、照射される光量と、受光される光量との差等から光が吸収された量等を算出し、その算出結果から血中成分の濃度を算出するというものである。



さらに、特開2002-168775号公報では、 哺乳動物の血漿成分を測定するにあたり、哺乳動物の血液から血漿を分離し、分離した血漿について、近赤外分光光度計を用いて、波長400-2500nmの可視および近赤外領域の吸光度を測定し、該吸光度の一次差分および二次差分を計算し、これら可視および近赤外領域の吸光度、吸光度の一次差分および二次差分を独立変数とし、当該独立変数の中から説明力の高い独立変数をそれぞれ2-10個選抜し、当該説明力の高い独立変数の情報から、血漿中の中性脂肪濃度、無機リン濃度、カリウム濃度、乳酸脱水素酵素活性およびアルブミングロブリン比をそれぞれ予測し、該予測値に基づき測定を実現することを特徴とする、可視および近赤外領域のスペクトル情報による哺乳動物の血漿成分の迅速測定法に関する発明が記載されている(特許文献3)。つまり、この発明も特許文献1および特許文献2に記載の発明と同様、血漿が波長400-2500nmの可視および近赤外領域の光を吸光する現象を利用し、照射される光量と、受光される光量との差等から血漿中の中性脂肪濃度等を算出するというものである。

産業上の利用分野


本発明は、採血すること無く、いわゆる非侵襲により生体内における血中の脂質濃度および脂質代謝を医療機関のみならず家庭においても計測することのできる非侵襲型生体脂質濃度計測器、非侵襲型生体脂質代謝機能計測器、非侵襲による生体脂質濃度計測方法および非侵襲による生体脂質代謝機能検査方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
非侵襲により生体内における血液中の脂質濃度を計測する非侵襲型生体脂質濃度計測器であって、
生体外から生体内に向けて所定の光強度で光を照射する照射手段と、
前記照射手段による光の照射位置から所定間隔をあけて配置されて前記生体から放出される光強度を検出する光強度検出手段と、
前記光強度検出手段により検出された前記光強度に基づき前記生体内における光の散乱係数を算出する散乱係数算出手段と、
前記散乱係数算出手段により算出された前記生体内における光の散乱係数に基づき血液中の脂質濃度を算出する脂質濃度算出手段と、
を有し、
前記散乱係数算出手段は、前記生体の吸収係数が既知および未知のいずれの場合であっても、前記光強度検出手段により検出された前記光強度に基づいて、前記光の照射位置と前記光強度検出手段との距離に対する前記光強度の減衰から前記生体内における光の散乱係数を算出する、
非侵襲型生体脂質濃度計測器。

【請求項2】
前記散乱係数算出手段は、前記生体の吸収係数が未知の場合、前記光強度検出手段により検出された前記光強度に基づいて、前記光の照射位置と前記光強度検出手段との距離に対する前記光強度の減衰度を線形化し、得られた直線の傾きから前記生体内における光の散乱係数を算出し、前記直線の切片から前記生体の吸収係数を算出する、
請求項1に記載の非侵襲型生体脂質濃度計測器。

【請求項3】
前記光の照射位置と前記光強度検出手段との距離は、5.77mm以上である、請求項1または請求項2に記載の非侵襲型生体脂質濃度計測器。

【請求項4】
前記照射手段は、連続光を照射し、
前記散乱係数算出手段は、前記光強度検出手段により検出された光強度R(ρ)と前記光の照射位置と前記光強度検出手段との距離ρとを、下記式(1)および式(2)に代入することで前記生体内における光の散乱係数μ’を算出する、
請求項1に記載の非侵襲型生体脂質濃度計測器。
【数1】


【数2】


ここで、μは前記生体の吸収係数、μeffは有効減衰係数(effective attenuation coefficient)、Sは前記照射手段により照射された光の光強度である。

【請求項5】
前記照射手段は、連続光を照射し、
前記散乱係数算出手段は、前記光強度検出手段により検出された光強度R(ρ)と前記光の照射位置と前記光強度検出手段との距離ρとを、下記式(1)および式(2)に代入することで前記生体内における光の散乱係数μ’および前記生体の吸収係数μを算出する、
請求項2に記載の非侵襲型生体脂質濃度計測器。
【数3】


【数4】


ここで、μは前記生体の吸収係数、μeffは有効減衰係数(effective attenuation coefficient)、Sは前記照射手段により照射された光の光強度である。

【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の非侵襲型生体脂質濃度計測器により算出された有効減衰係数の時間変化、散乱係数の時間変化および脂質濃度の時間変化からなる群から選択される1または2以上の時間変化から生体脂質代謝機能を計測する、非侵襲型生体脂質代謝機能計測器。

【請求項7】
非侵襲により生体内における血液中の脂質濃度を計測する非侵襲による生体脂質濃度計測方法であって、
生体外から生体内に向けて所定の光強度で光を照射する照射工程と、
前記照射工程における光の照射位置から所定の間隔をあけて前記生体から放出される光強度を光強度検出手段により検出する光強度検出工程と、
前記光強度検出工程により検出された前記光強度に基づき前記生体内における光の散乱係数を算出する散乱係数算出工程と、
前記散乱係数算出工程により算出された前記生体内における光の散乱係数に基づき血液中の脂質濃度を算出する脂質濃度算出工程と、
を有し、
前記散乱係数算出工程では、前記生体の吸収係数が既知および未知のいずれの場合であっても、前記光強度検出工程で検出された前記光強度に基づいて、前記光の照射位置と前記光強度検出手段との距離に対する前記光強度の減衰から前記生体内における光の散乱係数を算出する、
非侵襲による生体脂質濃度計測方法。

【請求項8】
前記散乱係数算出工程では、前記生体の吸収係数が未知の場合、前記光強度検出工程で検出された前記光強度に基づいて、前記光の照射位置と前記光強度検出手段との距離に対する前記光強度の減衰度を線形化し、得られた直線の傾きから前記生体内における光の散乱係数を算出し、前記直線の切片から前記生体の吸収係数を算出する、
請求項7に記載の非侵襲による生体脂質濃度計測方法。

【請求項9】
前記光の照射位置と前記光強度検出手段との距離は、5.77mm以上である、請求項7または請求項8に記載の非侵襲による生体脂質濃度計測方法。

【請求項10】
前記照射工程では、生体外から生体内に向けて連続光を照射し、
前記散乱係数算出工程では、前記光強度検出工程により検出された光強度R(ρ)と前記光の照射位置と前記光強度検出手段との距離ρとを、下記式(1)および式(2)に代入すること前記生体内における光の散乱係数μ’を算出する、
請求項7に記載の非侵襲による生体脂質濃度計測方法。
【数5】


【数6】


ここで、μは前記生体の吸収係数、μeffは有効減衰係数(effective attenuation coefficient)、Sは前記照射工程において照射された光の光強度である。

【請求項11】
前記照射工程では、生体外から生体内に向けて連続光を照射し、
前記散乱係数算出工程では、前記光強度検出工程において検出された光強度R(ρ)と前記光の照射位置と前記光強度検出手段との距離ρとを、下記式(1)および式(2)に代入することで前記生体内における光の散乱係数μ’および前記生体の吸収係数μを算出する、
請求項8に記載の非侵襲による生体脂質濃度計測方法。
【数7】


【数8】


ここで、μは前記生体の吸収係数、μeffは有効減衰係数(effective attenuation coefficient)、Sは前記照射手段により照射された光の光強度である。

【請求項12】
請求項7~11のいずれか一項に記載の非侵襲による生体脂質濃度計測方法により算出された有効減衰係数の時間変化、散乱係数の時間変化および脂質濃度の時間変化からなる群から選択される1または2以上の時間変化を取得し、生体脂質代謝機能を検査する、非侵襲による生体脂質代謝機能検査方法。
国際特許分類(IPC)
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