TOP > 国内特許検索 > 金属ナノ粒子組成物の製造方法、金属ナノ粒子組成物、抗菌剤および染料
金属ナノ粒子は、ナノメートルオーダーの大きさの粒子である。金属ナノ粒子は、金属単体および金属原子および金属イオンとも異なる物性を示すため、第3の素材として注目を集めている。金属ナノ粒子は、ナノメートルオーダーの波長を持つ光、すなわち、可視領域の光と強く相互作用することで、特徴的な色を呈する。この発色は粒子の構造に由来するため非常に安定で、芸術などの分野において着色料として活用されてきた。また、金属ナノ粒子は特異な物性を有し、化学反応の触媒としても特徴的な反応性を示す。これに加え、銀および銅などの金属ナノ粒子には、強い抗菌性が見出されている。金属ナノ粒子のこのような機能性が産業利用の観点で注目されている。
近年、金属ナノ粒子の構造および物性が明らかになるにつれ、金属ナノ粒子の様々な合成法が開発されている。金属ナノ粒子は、保護されていない状態では不安定で、速やかに凝集して金属の単体を形成する。したがって、金属ナノ粒子を、金属イオンから合成する場合には、金属イオンを還元して金属原子とする還元剤と、金属ナノ粒子同士が凝集するのを防ぐ界面活性剤などの保護剤を組み合わせて用いる必要がある。
より安全な金属ナノ粒子を得るために、還元剤および保護剤として、植物抽出物が利用されている。植物抽出物に含まれるビタミンCなどの抗酸化作用を持つ化合物は、自らが酸化されるため、マイルドな還元剤として機能する。また、植物抽出物には、保護剤として作用するサポニンのような配糖体および多糖類が含まれている。
例えば、非特許文献1では、沸騰水で煮出した緑茶抽出物を還元剤および保護剤として使用することで、塩化金(III)酸(HAuCl4)水溶液または硝酸銀(AgNO3)水溶液から金ナノ粒子または銀ナノ粒子が合成されている。また、非特許文献2には、沸騰水で煮出した紅茶抽出物を還元剤および保護剤として用いて、硝酸銀水溶液から合成された銀ナノ粒子が開示されている。
本発明は、金属ナノ粒子組成物の製造方法、金属ナノ粒子組成物、抗菌剤および染料に関する。
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