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ゼオライト含有フィルムを備える構造体及びゼオライト含有フィルムを備える構造体の製造方法 UPDATE コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P170013952
整理番号 GI-H28-39
掲載日 2017年4月3日
出願番号 特願2017-047227
公開番号 特開2018-149734
出願日 平成29年3月13日(2017.3.13)
公開日 平成30年9月27日(2018.9.27)
発明者
  • 近江 靖則
  • 武野 明義
  • 上野 恭平
  • 堀口 結以
出願人
  • 国立大学法人岐阜大学
発明の名称 ゼオライト含有フィルムを備える構造体及びゼオライト含有フィルムを備える構造体の製造方法 UPDATE コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】ゼオライトを含むフィルムと支持体とからなる構造体を提供する。またゼオライトを含むフィルムと支持体とを備えた構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の構造体は、支持体と、ゼオライトを含むフィルムとを備える。ゼオライトを含むフィルムは、ポリマーと、ポリマーの中に均一に分散したゼオライトとを含むゼオライト分散ポリマーフィルムである。本発明の構造体の製造方法は、ゼオライト粉末を溶剤に分散させる分散工程と、ゼオライトとポリマーを混合しフィルム原料を得る原料混合工程と、溶剤キャスト工程と、支持体を溶剤に浸漬する浸漬工程と、支持体にゼオライト分散ポリマーフィルムを巻き付ける巻付け工程と、ゼオライト分散ポリマーフィルム端部を支持体に押圧して固定し構造体を得る固定工程と、を備えている。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


一般的なゼオライトは、以下の(式1)で表される、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む含水アルミノケイ酸塩である。
(M,MII1/2(AlSim+n))・xHO ・・・(式1)
ここで、Mはアルカリ金属であり、MIIはアルカリ土類金属であり、n≧mである。



ゼオライトは、TO四面体と呼ばれるSiOあるいはAlOの四面体構造を基本構造に持ち、この四面体の頂点のO原子を共有して三次元で無限に連なることで多孔質の結晶となっている。このような骨格構造から、ゼオライトは、分子ふるい、膜反応器、触媒、吸着剤、乾燥剤、イオン交換剤、排ガスの除去剤、センサなどに広く利用されている。



結晶構造としてMFI型構造を有するシリカライト膜(silicalite-1膜)は、ゼオライト膜の一種であって、熱的安定性および化学的安定性が高く、約5.5オングストロームの均一な細孔径を有し、疎水性を示す。シリカライト膜は、このような特性から、有機物/水混合液からの有機物の分離回収膜として広く研究されている。



ゼオライトのみで膜化した自立膜は、機械的強度が弱いことが多い。このために、アルミナ、ステンレス、ムライト、シリカのような素材を用いた多孔質セラミックス支持体上に製膜される。このような膜は、一般的に支持膜と称されている。ゼオライトの支持膜は、分離膜として広く用いられている。多孔質セラミック支持体としては、円盤型(disk-type)と管状型(tubular-type)のものが知られているが、特に大表面積化に必要な管状支持体上への膜合成が広く研究されている。



多孔質セラミックス支持体上へのゼオライト膜の合成方法としては、直接結晶化法(In situ crystallization method)と二次成長法(Secondary growth method)の二種類が知られている。直接結晶化法は支持体上へゼオライト結晶を直接結晶化させ膜化する方法であり、ゼオライト膜の製造に対して最も単純な方法ではあるが、再現性に乏しい場合がある。一方、二次成長法は、支持体表面をあらかじめゼオライト種結晶で被覆し、担持させたゼオライト種結晶層を二次成長させることにより膜化し製膜する方法である。二次成長法によるゼオライト膜の形成は、結晶核形成と結晶成長ステップが別工程となっている膜の製造方法であって、直接合成法と比較して、再現性が高く、より低温かつより短い合成時間で膜合成ができ、膜のマイクロ構造の制御に対して大きな利点がある。



上述した理由から、ゼオライト膜の製造には、種結晶を用いた二次成長法が広く使われている。二次成長法によるゼオライト膜を製造する場合、支持体上の均一で連続的な種結晶層は、高性能ゼオライト膜の合成において重要である。多孔質支持体の表面上を種結晶で覆う方法(以下、シーディング法とも言う)として、例えば、ディップコーティング法(dip-coating)、ラビング法(rubbing)、真空シーディング法(バキュームシーディング法、vacuum seeding), 濾過シーディング法(filtration seeding)、ラングミュア・ ブロジェット法(Langmuir-Blodgett)、スピンコーティング法(spin coating)、カチオン性ポリマー処理法(cationic polymer treatment)、静電力法(electrostatic forces)、パルスレーザーアブレーション法(pulsed laser ablation)、スパッタリング法(sputtering)及び泳動電着法(electrophoretic deposition)のような方法が開発されている。しかし、高性能ゼオライト膜を調製するための再現性の高いシーディング方法は開発されていない。ディップコーティング法は、現在広く使われている種結晶の生成方法の一つである。しかし、支持体を確実且つ完全に被覆するためには、ディップコーティングの工程を繰り返す必要がある。また、大きなゼオライト種結晶もしくは支持体の細孔径は重力の増加もしくは弱い毛管力といった現象によってその効果が減少する。さらに、一般にディップコーティング法は、非常になめらかで均一な支持体表面が要求されることが知られており、直径が1.0μmを超える細孔をもつ支持体では、再現性が低いことが報告されている。ラビング法は単純であるが、ラビングの工程を繰り返した後でさえ支持体上に均一な種結晶層を得ることは難しい。真空シーディング法は、異なる厚さを有する種結晶層を調製するために制御可能な方法であるが、小さなゼオライト種結晶は、低い圧力差の下でさえ支持体中に簡単に引きつけられ、支持体細孔中のゼオライト結晶は流体透過の妨げとなる。また、その他のシーディング法は支持体上に種結晶を堆積するときの工程の複雑さまたは再現性の低さなどの点から一般的に使われていない。上記で述べたように、従来のシーディング法では、支持体上の種結晶層は支持体や種結晶の特性に左右され、均一で連続的な種結晶層を得るのは難しく、操作は複雑であり、再現性も低い。したがって、産業的な大規模スケールでのゼオライト膜調製のために、単純で再現性の高いシーディング方法の開発が望まれている。



水熱合成によるゼオライト膜の製造方法として、特許文献1から6を示す。特許文献1には、ハイシリカゼオライトの種結晶をハイシリカゼオライト膜用多孔質シリカ基体上にpH4以下で浸漬塗布した後、水熱合成法により種結晶を二次成長させてハイシリカゼオライト膜を形成する技術が開示されている。特許文献2には、Alを含まない多孔質基体を、ゼオライト種結晶分散液に浸漬し、次いで多孔質基体を分散液から引き揚げることで、多孔質基体の表面に種結晶を塗布し、種結晶が塗布された多孔質基体を、Al/Siモル比が0よりも大きく0.050以下となるように混合した膜形成用ゾルに浸漬し、水熱合成法により多孔質基体の表面に塗布された種結晶を二次成長させてゼオライト層を形成する技術が開示されている。特許文献3には、シリコン源(Si源)、アルミニウム源(Al源)、アルカリ源および水を含む原料液を準備する第1工程と、種結晶を準備する第2工程と、多孔質支持体を準備する第3工程と、多孔質支持体に種結晶を担持させる第4工程と、水熱処理により、種結晶を起点にゼオライトの多結晶体を成長させる第5工程と、からなるゼオライト膜の製造方法が開示されている。特許文献4には、多孔質支持体上にゼオライト種晶を付着させた後、ゼオライト膜を水熱合成により形成する技術が開示されている。特許文献4では、多孔質支持体にゼオライト種晶を付着させるための方法として、ゼオライト種晶の粉末を溶剤に分散させた分散液を多孔質支持体上に塗布する方法のほか、多孔質支持体製造時に原料の一部としてゼオライト種晶粉末を混入させることで、多孔質支持体にゼオライト種晶を付着させる方法も開示されている。塗布の方法としては、ゼオライト種晶を含む分散液を多孔質支持体に単純に滴下する方法、ゼオライト種晶を含む分散液に多孔質支持体を浸漬する方法、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、スラリーの塗布、濾過など汎用されている方法が開示されている。特許文献5には、シリコン、アルミニウム、アルカリ金属、酸素及び有機構造規定剤を含んでなるアルミノシリケートゲルを製造する工程と、アルミノシリケートゲルを無機系多孔質支持体に塗布する工程と、アルミノシリケートゲルを塗布した無機系多孔質支持体を熱処理する工程を含むゼオライト分離膜の製造方法が開示されている。特許文献6には、シリカライトの種晶を多孔質基板に塗布した後、水熱合成法及び/又は水蒸気処理によって種晶を二次成長させてゼオライトに転換する手法により合成することを特徴とするゼオライト膜の製造方法が開示されている。



フィルムとゼオライトを含む特許文献として以下のものが知られている。特許文献7には、(a)ホスト親水性ポリマーを、所定量の不溶性無機ナノ粒子、及び非溶媒添加物と共に溶媒中に分散させて、ポリマー―無機溶液を形成する工程と、(b)フッ化表面変性高分子(SMM)をポリマー―無機溶液に加えて、ポリマー―無機ナノ粒子SMMブレンドを形成する工程と、(c)ポリマー―無機ナノ粒子ブレンドをキャストし、溶媒を所定の時間、室温で蒸発させて、キャストフィルムを形成する工程と、(d)系統的に蒸発の時間を変化させて、蒸発時間が無機ナノ粒子の底層での沈殿、及び疎水性SMMの上層への移動に及ぼす影響を調査し、及び変更する工程と、(e)溶媒の蒸発を制御する特定の置換手段を有するカバーでキャストフィルムを覆って、無機ナノ粒子の底層での沈殿、及び疎水性SMMの空気/ポリマー界面への移動により多くの時間を許容する工程と、(f)工程(c)で得られたキャストフィルムを水中に浸漬してゲル化する工程とを含む、膜蒸留の複合混合マトリックス親水性/疎水性膜の製造方法が開示されている。特許文献8には、エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有し、成膜原料が無機珪素化合物であり、多孔質材料が珪素系の多孔質材料である蒸着源材料を準備し、蒸着源材料にエネルギーを与えて成膜原料を蒸発させ、蒸発した成膜原料を含む膜を基材上に形成することを特徴とする成膜方法が開示されている。特許文献9には、円筒形の支持体上に、ラビング法、吸引法、含浸法等によってゼオライトの微結晶を担持させ、水熱合成によってゼオライトを成長させる工程が開示されている。特許文献10には、多孔性支持膜と、界面重合によって多孔性支持膜上に重合された水透過性の薄膜と、複合膜を形成するために薄膜上にコーティングされた、薄膜およびナノ粒子とは異なる化学組成を有する表面コーティング物質を含む混合物と、を含み、コーティングするナノ粒子がゼオライトである複合膜の形成方法が開示されている。特許文献11には高分子マトリクスフィルムを、キャスト多孔質高分子支持体中に分散しているミクロ粒子およびナノ粒子の範囲のサイズの粒子を有するキャスト多孔質高分子支持体上で重合させることを含む、圧縮抵抗性複合薄膜を製造する方法であって、粒子がゼオライトを含んでいる薄膜の製造方法が開示されている。特許文献12には、多孔質セラミック製触媒支持体に触媒塗膜または触媒支持塗膜を施すのに先立って、支持体に下塗りを施す方法が開示されている。この下塗りを施す方法は、水と、少なくとも一種類の塗膜材料とを含む混合液からなる塗膜を支持体に施すステップと、支持体を第1のマイクロ波の場に曝して前記塗膜を乾燥させ、重合した膜を形成するステップと、ゼオライトと少なくとも一種類の触媒金属とを含む触媒混合液をセラミック製支持体に塗布する工程を備えている。特許文献13には、ナノ複合膜を形成するための方法が開示されている。特許文献13のナノ複合膜は、ポリマーマトリクスおよびそのポリマーマトリクス内にゼオライトを含むフィルムを備えている。複合膜を製造する方法は、極性液体と第一のモノマーとを含む極性混合物を提供するステップと、非極性液体と第二のモノマーとを含む非極性混合物を提供するステップと、極性混合物または非極性混合物のいずれかにおいてナノ粒子を提供するステップと、極性混合物と非極性混合物とを第一のモノマーが第二のモノマーと反応するのに十分な温度で接触させて界面重合させてポリマーマトリクスを形成するステップとを備えている。特許文献14には、多孔性下層にゼオライトフィルムのための合成溶液をモジュール中で適用してゼオライト層の結晶化を起こし、続いて少なくとも350℃の温度で酸素含有気体を通しながらか焼することを特徴とする膜モジュールの製造方法が開示されている。

産業上の利用分野


本発明は、多孔質の支持体及び支持体の表面に配置されたゼオライト含有フィルムから成る構造体と、ゼオライト含有フィルムを備える構造体の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
多孔質の支持体と、
前記支持体の表面に配置されたゼオライトを含むフィルムとを備える構造体であって、
前記ゼオライトを含むフィルムが、ポリマーと、前記ポリマーの中に均一に分散したゼオライトとを含むゼオライト分散ポリマーフィルムであることを特徴とする構造体。

【請求項2】
前記ポリマーがポリメタクリル酸メチルまたはポリスチレンであることを特徴とする請求項1記載の構造体。

【請求項3】
前記ゼオライト分散ポリマーフィルムは、前記支持体の表面に、溶剤を介して接着していることを特徴とする請求項1または2に記載の構造体。

【請求項4】
支持体の表面にゼオライト分散ポリマーフィルムを配置した構造体の製造方法であって、
ゼオライト粉末を溶剤に分散させる分散工程と、
前記ゼオライト粉末と前記溶剤との混合物に、ポリマーを添加して混合しフィルム原料を得る原料混合工程と、
前記フィルム原料から、溶剤キャスト法によってゼオライト分散ポリマーフィルムを製造する溶剤キャスト工程と、
前記支持体を溶剤に浸漬する浸漬工程と、
前記支持体に前記ゼオライト分散ポリマーフィルムを巻き付ける巻付け工程と、
前記支持体に巻き付けられた前記ゼオライト分散ポリマーフィルムの端部を前記支持体に溶剤で固定することにより構造体を得る固定工程と、
を備えていることを特徴とする構造体の製造方法。

【請求項5】
摂氏500度以上の温度で焼成する焼成工程をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の構造体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2017047227thum.jpg
出願権利状態 公開
岐阜大学産官学連携推進本部では、岐阜大学における知的財産の創出・管理・活用のマネジメントをしています。上記の特許・技術に関心のある方は、下記問い合わせ先に整理番号とともにご相談下さい。


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