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(In Japanese)細胞の識別方法

Patent code P170013973
File No. (S2014-0183-N0)
Posted date Apr 7, 2017
Application number P2015-549178
Patent number P6419717
Date of filing Nov 19, 2014
Date of registration Oct 19, 2018
International application number JP2014080683
International publication number WO2015076311
Date of international filing Nov 19, 2014
Date of international publication May 28, 2015
Priority data
  • P2013-242197 (Nov 22, 2013) JP
Inventor
  • (In Japanese)▲たか▼木 睦
  • (In Japanese)徳永 直親
Applicant
  • (In Japanese)国立大学法人北海道大学
Title (In Japanese)細胞の識別方法
Abstract (In Japanese)被験細胞に対してレーザー光を照射して、顕微鏡視野内の細胞の全ピクセルについて測定した一直線上のレーザー光の位相差をX-Y座標平面上にプロットした各点で形成される形状の違いを指標として被験細胞が正常細胞かガン化細胞を判定するか、あるいは正常細胞とガン化細胞のX-Y座標平面上のそれぞれの判定基準値を事前に設定し、被験細胞で測定したX-Y座標平面上の位相差値と判定基準値との差異を指標として被験細胞が正常細胞かガン化細胞を判定する。
Outline of related art and contending technology (In Japanese)

生体細胞または組織を体外で培養して得られた細胞や組織を体内あるいは体表面の欠陥、欠損あるいは不全部位の修復にあてるという再生医療の可能性が種々の基礎的発見により高まり、期待されている。現在の研究では、皮膚、軟骨、骨、血管、肝臓、膵臓等多くの組織にその可能性があることが報告されている。それらの細胞あるいは組織の起源としては、皮膚、軟骨などの分化した組織あるいはその組織中の細胞、骨髄液中などに存在すると言われている造血幹細胞、間葉系幹細胞あるいは肝臓中にあるといわれている肝幹細胞などの体性幹細胞、さらには受精卵の内部細胞塊に由来し体内のほとんどすべての組織の細胞に分化する能力があるとされている胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)などがある。

いずれの起源の細胞も生体から得られる細胞数には限りがあるため、それを再生医療に用いるためには一般に体外で培養して増殖させる必要がある。また、皮膚、軟骨などの組織に由来する表皮細胞、軟骨細胞などはそれらの分化状態を維持したままで増殖させる必要があるが、体性幹細胞、胚性幹細胞や人工多能性幹細胞を用いる場合は、一般に幹細胞を増殖させて細胞数を増やした後に治療部位に応じた細胞へと、例えば間葉系幹細胞を用いて軟骨再生治療を行なう場合には間葉系幹細胞から軟骨細胞へと、分化させる必要がある。いずれにしても、培養により、生体から分離された細胞を体外で培養して増殖させたり、分化させる必要がある。

このような細胞は、造血細胞やガン細胞の例外を除くと、細胞の生存、維持や増殖のために「接着」を必要とする。たとえば、細胞をディッシュなどの培養器中で培養する場合、造血細胞やガン細胞は培養器中の培養液に浮遊していても生存、維持、増殖可能だが、その他の細胞が生存、維持、増殖するためには、ディッシュ底面上に接着する必要がある。造血細胞やガン細胞の培養の様な培養形態を浮遊培養と言い、その他の細胞の培養形態を接着培養と言う。すなわち、再生医療等でヒトへの移植を目的に培養される細胞の大部分は接着培養される。

このような細胞の培養には長時間を要する。たとえば、骨髄液10 ml に含まれる間葉系幹細胞を増殖させた後に軟骨細胞へ分化させ、軟骨の再生治療に用いようとすると、少なくとも細胞数を数百倍に増やす必要がある。一般に哺乳類など動物の細胞の体外における増殖速度は遅く、細胞数が2倍になるには一般に2~3日を要する。すなわち軟骨再生のための体外増殖培養の期間は最短でも2~3週間に及ぶ。しかも、細菌などの雑菌の増殖速度はその倍化時間が20分~1時間と早いため、2~3週間の培養期間中は1個の細菌の混入も防ぐ必要があり、高度な無菌培養が要求される。

このような培養工程の品質管理のためには、培養経過の測定が不可欠である。その測定項目としては、培養中の細胞の分化度、本来の治療のために意図して培養している細胞種以外に混入したり培養中の意図せざる分化により出現した細胞種の割合なども挙げる必要がある。しかし、長期間の培養中には細胞がガン化する危険性があるため、最も重要な測定項目のひとつは、培養中の細胞のガン化の有無である。すなわち、ガン化した細胞を含む細胞を患者に移植した場合ガンを発症する可能性が高いため、培養中の細胞にガン化した細胞が含まれていると測定されれば、培養を途中で中止して培養中の細胞を廃棄する必要が生じる。ここで、ガン化していない細胞を正常細胞と呼びガン化したガン化細胞と区別すると、培養中の細胞のガン化の有無を測定するということは、「培養中の細胞ひとつひとつについての正常細胞であるかガン化細胞であるかの識別」ということになる。

ところで、生体細胞や組織の由来には、患者自身の細胞や組織を用いる場合(自家細胞)と、患者以外のヒト個体由来の細胞や組織を用いる場合(他家細胞または同種細胞)がある。前者の場合、再生治療の際の拒絶反応の可能性が低いと言う利点があるが、患者ごとに材料となる細胞や組織を準備する必要がある。後者の場合、同じひとつの個体由来の細胞や組織を用いて多くの患者の再生治療を行なえる可能性がある。

自家細胞を培養する場合は「小スケール、多ロット並行培養」であるため、品質管理のためにぬき取り検査(破壊検査)を適用しようとすると、より多量の細胞や骨髄液などを患者から採取する必要が生じるなど、また同ロットの培養をより多数行う必要が生じ培養コストを増大させるなど、破壊的な検査では患者により大きな負担を与えたり生産効率が大幅に低下するため適しない。さらに、患者の身体に移植するなどのため、医薬品生産以上の品質管理が要求されるので、測定用の器具、装置などが培養中の細胞や細胞の周囲の培養液に直接に接触することは極力避けるべきである。したがって、再生医療などを目的とした自家細胞培養の品質管理には、非侵襲的な、培養中の細胞の測定手段が不可欠である。

一方、同種細胞(他家細胞)を用いる場合、培養終了後の移植直前の段階での検査であれば抜き取り検査で破壊的方法を採用することも可能である。しかし、従来のガン化の測定方法では、NOGマウスへの移植による判定等、6週間以上を要する(非特許文献1)。すなわち、培養終了後に少なくとも6週間の間、培養終了した細胞を移植せずに保存する必要がある。この間、移植治療が行えないことのほか、測定のための保存期間中に細胞がガン化しないことを確認できない等、問題が多い。このため、短時間で行えるガン化の測定方法が必要である。さらに、培養終了時のみならず長い培養期間の途中においても適宜ガン化の有無を測定できることが工程管理の観点から望ましく、このため非侵襲的なガン化の測定方法が必要である。

すなわち、再生医療等のヒトへの移植のための培養工程の品質管理のためには、ガン化の測定、すなわち、非侵襲的で、短時間かつ正確な正常細胞とガン化細胞との識別技術が不可欠である。

ガン化細胞と正常細胞との非侵襲的な識別方法としては、ラマン分光法の報告がある。たとえば、波長633nmのレーザーを細胞の核部分に照射して得られるラマンスペクトルのうち600~1700cm-1部分の主成分分析により末梢血正常リンパ球と白血病リンパ球とを識別できたことが報告されている(非特許文献2)。しかし、リンパ球は浮遊細胞であり、接着細胞にこの技術が適用できるとの報告は存在しない。

また、波長785nmのレーザーを用いて得られたラマンスペクトルの2次微分の主成分分析によりヒト正常骨芽細胞と骨肉腫細胞とを識別できることが報告されている(非特許文献3)。しかし、ラマン分光法では、1回の分析でひとつずつの細胞の内部の1箇所しか分析できず、培養中の多くの細胞のすべてを測定するには非常に長時間を要するという欠点がある。たとえば、ラマン分光1回に1秒とし、100 mmφディッシュ底面(55 cm2)にプレコンフルエント(1 x 104 cells/cm2)に接着したすべての細胞を測定すると、6日間を要する。

なお、上記のリンパ球の様に浮遊している細胞の場合、随時培養液中で移動するため、ラマン分光分析が終了した細胞とこれから分光分析する細胞との区別が困難との問題もある。

以上のように、培養中の多くの接着細胞をガン化細胞と正常細胞とに非侵襲的に短時間に識別できる方法はほとんど報告がなかった。

近年、細胞を透過する光の位相差の分析が提案されている。すなわち、細胞の種類が異なれば、細胞の内容物の種類と濃度が異なるために屈折率が異なり、また接着細胞の厚さ(高さ)が異なる可能性がある。その場合、たとえばディッシュ底面に接着した細胞の下から上へ透過する光が透過により生じる光の位相差は、細胞の種類により異なるであろうというものである。

光が細胞を透過することにより生じる光の位相差の値の求め方の例として、細胞内を透過するレーザー光の位相差を定量する顕微鏡(以下、「位相差定量顕微鏡」と記載することがある)を用いた方法が知られている。このような顕微鏡としては、例えば、試料(細胞)を透過したレーザー光と試料を置いていない参照面を透過したレーザー光により生じる干渉縞を8枚程度取得し、これらの光の間の位相差を定量する位相シフトレーザー顕微鏡(Phase-shifting laser microscope:PLM)(非特許文献4)や、試料から反射した光と参照光をある角度を持たせて干渉させ、試料のホログラムを作成し、位相差を求めるデジタルホログラフィック顕微鏡(Digital holographic microscope:DHM)(非特許文献5)が挙げられる。

例えばPLMの場合には、ディッシュ培養器底面に接着した細胞のうち視野内にある細胞のすべての部分の位相差のすべてを非侵襲的に、短時間(約10秒以内)で定量できる(非特許文献6)。たとえば、PLMの1視野を1 mm四方(0.01 cm2)とすると、100 mmφディッシュ1枚の底面(55 cm2)に接着した全ての細胞の位相差の測定に要する時間は約15時間である。

PLMの構造を図1に示す。試料を光軸の片側に設置し、光源からレーザー光を照射すると対物レンズによって試料の像が一度拡大され、さらに拡大レンズによって像が拡大される。拡大された試料の像はバイプリズムと呼ばれる特殊な形状のプリズムを通過する。このバイプリズムはレーザー光を中央に引き寄せるという働きを持っており、試料を透過したレーザー光と、光軸に対して反対側の試料のない部分(参照面)を透過してきたレーザー光が互いに中央に引き寄せられ、CCDカメラの画面上で重なる。このときCCDカメラの画面上には、試料を透過したレーザー光と透過していないレーザー光により干渉縞が形成される。この干渉縞はコンピュータに内蔵された画像取り込み装置によって画像化され、記録される。

PLMは、電圧を加えることで体積を変化させる性質を持つピエゾ素子を内蔵させたステージにバイプリズムを搭載し、バイプリズムを光軸と直行する方向にコンピュータによって少しずつ定量的に動かし、複数の干渉縞画像を得る。それら複数の干渉縞画像を組み合わせ、コンピュータによって視野内の各座標における位相差を算出し、位相差の二次元分布を画像化することができる。

干渉縞の形成原理を更に詳しく述べる。図2ではレーザー光の進み具合を模式的に表すため、レーザー光が描くサインカーブを頂上でつないで上から見てできた面、「波面」を用いている。また、図2では光軸の左側に試料を置いている。試料を透過したレーザー光は試料の屈折率の分だけ位相が遅れ、光軸の右側を通った参照光とCCDカメラの画面上で干渉を起こす。このようにして干渉縞が形成され、細胞の形態を干渉縞で観察することができる。PLMによって得られた位相差は以下の式で表される。ここでΛφは位相差値、λは透過したレーザー光の波長(=532 nm)、ncおよびnmはそれぞれ細胞、培養液の屈折率で、hcは細胞の厚さ(高さ)である。

Λφ=2π/λ x(nc - nm)x hc
ところで、ガン化細胞は正常細胞に比べて細胞骨格が少ないことが知られている。たとえば、ヒト膀胱上皮ガン細胞株(Hu456、T24、BC3726)は、正常ヒト膀胱上皮細胞株(Hu609、HCV29)よりも細胞骨格が少ないために10倍ほど変形しやすい(非特許文献7)。また、ヒト乳ガン上皮(MCF-10)細胞は、正常ヒト乳腺上皮(MCF-7)細胞よりも細胞骨格であるF-アクチンが30%ほど少なく変形しやすい(非特許文献8)。他にも同様の報告がある(非特許文献9)。また、接着細胞において細胞質よりも細胞核の屈折率が大きく、核のある細胞中心部分の高さが最も高い傾向にあるため、細胞透過光の位相差は細胞中心部部分で最大値を示す傾向があると考えられている。さらに、ガン化細胞の細胞骨格を薬剤を用いてさらに減少させると、細胞の中心部分を透過した光の位相差が減少するとの報告もある(非特許文献10)。

以上のことから、本発明者らは、ディッシュ底面に接着した細胞を、接着面に対して垂直に(上下方向に)透過する光の位相差の内、ガン化細胞の位相差は正常細胞の位相差より小さいと予測し、PLMを用いて実験した。その結果、肝臓細胞および前立腺上皮細胞について、ディッシュ底面に接着した各ガン化細胞の位相差は各正常細胞の位相差に比較して有意に小さいことを明らかにした(非特許文献11)。また、ガン化細胞の位相差が正常細胞の位相差に比べて小さい原因は、ガン化細胞のアクチン密度が正常細胞のアクチン密度より小さいことであることも示した(非特許文献12)。

Field of industrial application (In Japanese)

本発明は、細胞が正常細胞であるかガン化細胞であるかを、非侵襲的に短時間で、しかも確実に識別する方法に関する。

Scope of claims (In Japanese)
【請求項1】
 
細胞内を透過するレーザー光の位相差を定量する顕微鏡を用いて、接着培養細胞が正常細胞であるかガン化細胞であるかを識別する方法であって、
(1)被験細胞に対してレーザー光を照射して、顕微鏡視野内の細胞の全ピクセルについてレーザー光の位相差を測定する工程、
(2)細胞の一端から他端を一直線で結ぶ線をX軸に、X線上の各位相差をY軸にプロットする工程、
を含み、
X-Y座標平面上にプロットした各点によって形成される形状が、中央付近が略水平な台形状の場合は被験細胞が正常細胞であり、中央付近を頂点とする三角形状の場合は被験細胞がガン化細胞であると判定することを特徴とする細胞識別方法。

【請求項2】
 
細胞内を透過するレーザー光の位相差を定量する顕微鏡を用いて、接着培養細胞が正常細胞であるかガン化細胞であるかを識別する方法であって、
(1)標準正常細胞と標準ガン化細胞のそれぞれに対してレーザー光を照射して、顕微鏡視野内の細胞の全ピクセルについてレーザー光の位相差を測定する工程、
(2)標準正常細胞と標準ガン化細胞のそれぞれについて、各細胞の一端から他端を一直線に結ぶX軸の長さが全て同一となるように補正し、X軸上の各位相差のそれぞれの平均値を正常細胞の平均的位相差とガン化細胞の平均的位相差としてそれぞれ算出する工程であって、標準正常細胞の平均的位相差が請求項1記載の方法で正常細胞と識別された細胞の各位相差から算出された値であり、標準ガン化細胞の平均的位相差が請求項1記載の方法でガン化細胞と識別された細胞の各位相差から算出された値であり
(3)被験細胞に対してレーザー光を照射して、顕微鏡視野内の細胞の全ピクセルについてレーザー光の位相差を測定し、細胞の一端から他端を一直線で結ぶX軸の長さを前記工程(2)と同一に補正して、このX軸上の各位相差を算出する工程、および
(4)標準正常細胞の平均的位相差と被験細胞の位相差との差異の絶対値αと、標準ガン化細胞の平均的位相差と被験細胞の位相差との差異の絶対値βをそれぞれ算出する工程、を含み、
差異の絶対値αが差異の絶対値βよりも小さい場合には被験細胞が正常細胞であり、差異の絶対値βが差異の絶対値αよりも小さい場合には被験細胞がガン化細胞であると判定することを特徴とする細胞識別方法。

【請求項3】
 
同一長に補正したX軸の中央付近の任意の領域の位相差測定値から標準正常細胞および標準ガン化細胞の平均的位相差と被験細胞の位相差を算出する請求項2の方法。

【請求項4】
 
被験細胞が、培養条件下で増殖または分化・増殖する過程でガン化する可能性のある細胞である請求項1から3のいずれかの方法。

【請求項5】
 
被験細胞が、培養条件下でガン化する細胞である請求項1または2の方法。

【請求項6】
 
被験細胞が、混合培養された正常細胞とガン化細胞である請求項1から3のいずれかの方法。
IPC(International Patent Classification)
F-term
Drawing

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JP2015549178thum.jpg
State of application right Registered
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