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(In Japanese)1,5-D-アンヒドロフルクトースを含むアポトーシス関連スペック様カード蛋白質の機能阻害薬

Patent code P170014006
File No. (S2013-1235-N0)
Posted date Apr 7, 2017
Application number P2015-529565
Patent number P6359013
Date of filing Jul 28, 2014
Date of registration Jun 29, 2018
International application number JP2014069824
International publication number WO2015016178
Date of international filing Jul 28, 2014
Date of international publication Feb 5, 2015
Priority data
  • P2013-156629 (Jul 29, 2013) JP
  • P2013-156633 (Jul 29, 2013) JP
Inventor
  • (In Japanese)丸山 征郎
  • (In Japanese)野間 聖
Applicant
  • (In Japanese)国立大学法人鹿児島大学
Title (In Japanese)1,5-D-アンヒドロフルクトースを含むアポトーシス関連スペック様カード蛋白質の機能阻害薬
Abstract (In Japanese)本発明は、アポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)が関与する疾患又は症状についての安全でかつ優れた治療薬、及び安全でかつ優れたASCの機能阻害薬を提供する。
1,5-D-アンヒドロフルクトースを有効成分とする、アポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)の機能阻害薬。
Outline of related art and contending technology (In Japanese)

1,5-D-アンヒドロフルクトース(以下、1,5-AFという)は、ある種の子嚢菌や紅藻由来の酵素であるα-1,4-グルカンリアーゼを澱粉あるいは澱粉分解物に作用させることで生産することができる。1,5-AFは、その分子間内に二重結合を有しており、他の単糖類と比較して反応性に富む糖である。

1,5-AFは食品に安全に添加される抗酸化剤等としての用途が開示されている(特許文献1及び2参照)。また、この単糖は抗生物質ピロンミクロテシンの前駆体でもある(特許文献3参照)。

また1,5-AFは、最近では、抗う蝕作用、血小板凝集抑制作用、グリコーゲン分解酵素阻害、アディポネクチンの産生増強、抗腫瘍作用等についても報告されており(特許文献4-11参照)、1,5-AFは健康食品あるいは医薬品等の様々な分野でもその多機能性を利用した展開が期待される糖質である。

「炎症(inflammation)」はヒトの感染症や外傷の基盤をなす病態であるため、臨床医学のみならず、基礎医学、生物学の分野においても重要な分野である。この炎症は症候-病理形態学的特徴から、「紅腫熱疼」として把握されてきた。すなわち炎症巣は、熱を帯びて紅く腫れ、かつ痛むという特徴を有しており、この病態像は長らく中核をなすコンセプトであり、いわば「古典的炎症像」とでも言うべき概念である。しかしこの十数年の研究でサイトカインと称される細胞間のメディエーター類、そしてそれらの受容体が発見され、一挙に炎症の研究は細胞間のネットワークと細胞内のシグナル、遺伝子発現の解明の研究へとシフトしていった。その輝かしい成果で、ブルース・ボイトラー、ジュール・ホフマン、ラルフ・スタインマン各博士らが2011年にノーベル賞に輝いたことからも窺い知ることができるように、まさにこの分野は現在オンゴーイングの領域であるといえる。この3氏の研究により、炎症が免疫と密接にリンクしていること、そして細胞-受容体とその下流のシグナルにより、免疫は自然免疫と獲得免疫に2大分類されること等の概念が確立された。これは古典的炎症像を塗り替える、いわば「近代的炎症像」とも言うべき炎症像である。これらの進歩は治療医学に関してもサイトカイン介入療法(抗サイトカイン、又はその受容体のブロッカー、又は抗体)へと発展していった。このうち抗体を用いる療法は「生物学的製剤」と言われ、慢性関節リウマチ等の疾患の治療においては進歩を遂げている。しかしこの生物学的製剤は全ての炎症に対して奏功するわけではなく一部の疾患に限られている。さらに、生物学的製剤が奏功する場合であっても、副作用及びコスト等の多くの問題があることが判明しつつある。

一方、上述のサイトカイン類とその受容体からのシグナルは肥満や糖尿病、動脈硬化、高血圧、さらには加齢等によっても微量ではあるが慢性持続的に作動していることが判明し、「自然炎症」なる概念が登場してきつつある(図1)。このような概念の進化の背景には、PAMPs(Pathogen Associated Molecular Patterns:病原微生物由来の分子、あるいはその断片)、DAMPs(Damage Associated Molecular Patterns:障害を受けた、あるいは病態下で生成された自己の細胞や蛋白、あるいは組織由来の分子等)を認識するPRRs(Pattern Recognition Receptors)が発見・同定されたこと、そしてそれからのシグナル伝達とそれによって活性化される細胞内マシナリー;NF-κBとインフラマソーム(inflammasome)が明らかになってきたことが挙げられる(図2)。

ここに至り、炎症の研究は一挙に細胞内シグナル伝達と細胞内マシナリー、特にインフラマソームの活性化と、その下流に移ってきつつある。従って今後、炎症とその治療の研究は、一斉に細胞内にシフトすることが予想され、事実その兆しは見えつつある。

上記細胞内炎症発現のプロセスは図2、3-1に示すように、数千個にも上ると考えられ始めたPAMPs、DAMPsが生体内の細胞にあまねく発現している細胞表面、あるいは細胞内のPRRsによって認識されてシグナルは細胞内に伝達され、一つはNF-κBへ、あと一つはインフラマソームに収束することが判明してきた。すなわち「情報の収束」である。そして最終的にはNF-κBとインフラマソームからの情報はさらにプロカスパーゼ1(procaspase 1)のカスパーゼ1への活性化という一点に集中される。すなわち細胞内で炎症発現のためのシグナルのカスケード(瀑状型)反応を構築していると言い得る。

カスパーゼ1の生成により、pro-IL-18、pro-IL-1βの成熟化とIL-18、IL-1βの細胞外への放出、それによる免疫細胞(T細胞、B細胞、樹状細胞、好中球等)の「呼び寄せ(chemotaxis)」が開始され、当該部位に炎症巣が形成されることになる。この点で重要な点は先ず、NF-κBの活性化で、pro-IL-1βとpro-IL-18(いずれも前駆体)が細胞内に産生・蓄積され、次に活性化インフラマソームがプロカスパーゼ1をカスパーゼ1に活性化してはじめて、活性を持ったカスパーゼがそれぞれ、pro-IL-18とpro-IL-βを、成熟型の活性化IL-18,IL-1βに活性化して、細胞外に放出するということである(図3-1)。

インフラマソームは、図3-2に示すような7量体を形成することによりカスパーゼ1を活性化すると考えられている。具体的には、CARDには重合する性質があり、そのためカスパーゼ1(CARD・p20/p16)とASC(PYD・CARD)とがCARDを介して結合し、これにNLR(PYD/NACHT)がPYDを介して結合して7量体を形成する。

このASCは、本来、サイトゾルに存在し、トリトンX-100(フェニルポリエチレングリコール型のノンイオン界面活性剤)を含む緩衝液に可溶な蛋白質であるが、レチノイン酸や抗癌剤等のアポトーシス誘発剤によって誘発されるアポトーシスに伴い、トリトンX-100を含む緩衝液に不溶化し、凝集を起こす。ASCがアポトーシスに伴ってトリトンX-100を含む緩衝液に対して溶性から不溶性に変化する原因は、コンフォメーションの変化によるものと考えられる。また、ASCは、自らアポトーシスを誘発する作用はないが、他の因子によって誘発されるアポトーシスを促進する作用を有する(特許文献12参照)。

NF-κBとインフラマソームは上皮系細胞、神経細胞等、免疫細胞以外の細胞や、免疫担当細胞、すなわちリンパ球細胞(lymphoid cells)がレジデントしていない組織や臓器の細胞群にもあまねく発現しているが、これらの非骨髄(non-myeloid)系細胞も当然、生体内外からの侵襲に会うので、生体防御的応答が要求される。この際に、non-myeloid組織はPAMPsやDAMPsの情報をキャッチして、免疫細胞の遊走因子であるIL-18、IL-1βを産生・放出して、myeloid系細胞を集簇させることで、その部位に免疫反応を遂行しうる生体防御のためのリンパ球等から成るいわば擬似リンパ節を構築するものと考えられる。

非特許文献1及び2には以下の事項が記載されている。自然免疫や獲得免疫に関る細胞群(マクロファージや樹状細胞等)は細胞表面にToll-likeレセプター(TLRs)を発現しており、これらの受容体にDAMPsやPAMPsが結合すると、これらの細胞は活性化され、種々のシグナルが伝達されるが、これらは合流し、1つはインフラマソームと称される蛋白複合体に収束する。この複合体はNod-like receptor(NLR)、Apoptosis-associated speck-like protein containing a caspase recruitment domain(ASC)、プロカスパーゼ1から構成される。NLRにTRLs同様、DAMPsやPAMPsが結合することにより、インフラマソームが活性化される。

炎症性サイトカインであるIL-1βの分泌には少なくとも2つのステップが必要である。1つはTLRsからの刺激(シグナル1)で、これによりpro-IL-1β(IL-1βの前駆体)が細胞質内で作られる。次に、インフラマソームの活性化(シグナル2)からのシグナルでプロカスパーゼ1がカスパーゼ1に活性化され、これによりカスパーゼ1がpro-IL-1βを切断し、活性化IL-1βが細胞外に分泌され、感染局所への免疫担当症細胞の遊走等、さまざまな免疫応答に関与する。また、IL-18も同様のメカニズムで分泌される(非特許文献1及び2参照)。ここで最近の知見で重要な点はカスパーゼの活性化は、IL-1βとIL-18の生成と細胞外放出を惹起するのみでなく、細胞DNAの断片化、pyroptosisと呼ばれる細胞の膨化と細胞死(炎症性programmed cell death)を引き起こすということである(図4)。

クライオピリン関連周期熱症候群(cryopyrin-associated periodic syndrome: CAPS)は、インフラマソームの主要成分であるNLRP3遺伝子に変異が生じ、インフラマソームが活性化した状態が続き、IL-1βの過剰産生が起こる。同様に家族性地中海熱、Pyogenic arthritiswith pyoderma gangrenosum and acne(PAPA)症候群、Majeed症候群、高IgD症候群、反復性胞状奇胎、DIRAにおいてもインフラマソームが活性化した状態が続き、IL-1βの過剰産生が起こることが知られている(非特許文献1及び2参照)。これらの疾患に対してIL-1βの阻害薬であるアナキンラ、リロナセプト、カナキヌマブが臨床で使用されているが、すべての患者に対して効果があるわけではない(非特許文献3参照)。その上、これらのIL-1βの阻害薬アナキンラ、リロナセプト、カナキヌマブは、当然のことながらIL-18を阻害し得ない。

上記した疾患は、遺伝子性のものであるが、内因性の因子であるDAMPsや外来性PAMPsによるインフラマソームの活性化を経てプロカスパーゼ1活性化が関係する病気として痛風、アルツハイマー病、2型糖尿病、そしてこれらの病態における急性増悪や急性転化が知られており(非特許文献2)、これらの病気も現状の治療法ではコントロールが効かないことが知られている。

このように、インフラマソームからカスパーゼ1の生成が炎症の発現に決定的に重要であることが判明してきたので、現在、インフラマソーム阻害剤やカスパーゼ阻害剤は世界中でいっせいに研究開始されている。そして、確実に症状を抑制でき、かつ、安全で長期に使用し得る薬剤の開発が目指されている。一方ASCが自然免疫系の活性化、癌の抑制、自然炎症疾患の抑制等に寄与する蛋白質であることも明らかになってきている。

Field of industrial application (In Japanese)

本発明は、1,5-D-アンヒドロフルクトースを有効成分として含有する、アポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)の機能阻害薬及びASCが関与する疾患又は症状の治療薬に関する。本発明はまた、1,5-D-アンヒドロフルクトースを有効成分として含有する、インフラマソーム経路阻害薬及びインフラマソーム経路が関与する疾患又は症状の治療薬に関する。

Scope of claims (In Japanese)
【請求項1】
 
1,5-D-アンヒドロフルクトースを有効成分とする、アポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)が関与する疾患又は症状の治療薬であって、
ASCが関与する疾患又は症状が、全身性炎症性反応症候群SIRS、アルツハイマー病、クライオピリン関連周期熱症候群、家族性地中海熱、PAPA症候群、Majeed症候群、高IgD症候群、反復性胞状奇胎、DIRA、炭疽菌感染症、急性呼吸促拍症候群、炎症性細胞死及び石綿肺から選択される少なくとも1種である、上記治療薬。

【請求項2】
 
ASCが関与する疾患又は症状が、全身性炎症性反応症候群SIRSである、請求項1に記載の治療薬。

【請求項3】
 
ASCが関与する疾患又は症状が、アルツハイマー病である、請求項1に記載の治療薬。

【請求項4】
 
ASCが関与する疾患又は症状が、クライオピリン関連周期熱症候群である、請求項1に記載の治療薬。

【請求項5】
 
ASCが関与する疾患又は症状が、家族性地中海熱である、請求項1に記載の治療薬。

【請求項6】
 
ASCが関与する疾患又は症状が、PAPA症候群である、請求項1に記載の治療薬。

【請求項7】
 
ASCが関与する疾患又は症状が、Majeed症候群である、請求項1に記載の治療薬。

【請求項8】
 
ASCが関与する疾患又は症状が、高IgD症候群である、請求項1に記載の治療薬。

【請求項9】
 
ASCが関与する疾患又は症状が、反復性胞状奇胎である、請求項1に記載の治療薬。

【請求項10】
 
ASCが関与する疾患又は症状が、DIRAである、請求項1に記載の治療薬。

【請求項11】
 
ASCが関与する疾患又は症状が、炭疽菌感染症である、請求項1に記載の治療薬。

【請求項12】
 
ASCが関与する疾患又は症状が、急性呼吸促拍症候群である、請求項1に記載の治療薬。

【請求項13】
 
ASCが関与する疾患又は症状が、炎症性細胞死である、請求項1に記載の治療薬。

【請求項14】
 
ASCが関与する疾患又は症状が、石綿肺である、請求項1に記載の治療薬。
IPC(International Patent Classification)
F-term
Drawing

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