TOP > 国内特許検索 > ストレス評価装置およびストレス状態の評価方法

ストレス評価装置およびストレス状態の評価方法 UPDATE コモンズ

国内特許コード P170014067
整理番号 FU717
掲載日 2017年4月26日
出願番号 特願2017-039071
公開番号 特開2018-143320
出願日 平成29年3月2日(2017.3.2)
公開日 平成30年9月20日(2018.9.20)
発明者
  • 島田 浩二
  • 友田 明美
出願人
  • 国立大学法人福井大学
発明の名称 ストレス評価装置およびストレス状態の評価方法 UPDATE コモンズ
発明の概要 【課題】脳活動信号から対象者の抑うつ気分といったストレス状態を客観的・定量的に計測可能なストレス評価装置を提供する
【解決手段】感情に関連する情報を推測する第一課題と感情に関連しない情報を推測する第二課題の遂行に対する脳活動反応信号を計測し、その差分を解析することで、対象者の抑うつ気分といったストレス状態を客観的・定量的に計測することができる。このようなストレス状態を反映する脳活動信号は、社会能力関連の課題の成績が低下する前に生起する準臨床域の変化をとらえることができる。また、臨床域のうつ病などが発症する前の予防的観点から有用である。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


現代ストレス社会の病理のひとつに、共感性や利他性などの社会能力(社会性・感情機能を含む)の不全に関わる反社会的行動、子ども虐待等がある。殴る・蹴るといった身体的虐待や性的虐待、暴言による心理的虐待、家庭内暴力への曝露、養育放棄といったネグレクトなどが含まれる。子ども虐待は日本の少子化が進む中でも増加の一途をたどっている。そのような事態に陥らないためにも、予防的観点から、養育者の抑うつ気分などのストレス状態を客観的に評価する生物学的指標、例えば、脳機能指標の開発が有用であるといえる。



脳科学の発展に伴い、心的機能に伴う脳の活性部位の可視化が進み、認知・感情・記憶・意思・社会性などのヒトの心の働きを生み出す脳の構造と機能が解明されつつある。脳科学が急速に発展した背景として、非侵襲性に生体の脳機能を計測するための装置の開発がある。例えば、機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging; fMRI)などが挙げられる。脳機能画像法の1つであるfMRIは、感覚刺激や認知課題遂行による脳活動と安静時や対照課題遂行による脳活動の違いを検出して、その課題遂行に関連する心的機能の構成要素に対応する脳部位(神経基盤)を同定することができる。



認知機能に関連する課題を遂行中の脳活動信号から、抑うつ気分などのストレス状態を評価する装置、方法およびプログラムについて開示がある(特許文献1)。ここでは、左右半球の背外側前頭前野(DLPFC; ブロードマン46野)に焦点を当て、抑うつ気分に負相関する言語性ワーキングメモリ(WM)課題遂行中の脳活動と、抑うつ気分に相関しない視空間性WM課題遂行中の脳活動の2つの脳活動から相対値を算出し、対象者の抑うつ気分を推定する装置が示されている。具体的には、空間性WM課題遂行時での脳活動信号の計測値と言語性WM課題遂行時での脳活動信号の計測値の差分より抑うつ気分スコアとの相関を確認したことが開示されている。



また、特許文献2では、特許文献1と同様の装置であって、抑うつ気分の推定精度を高めるために、課題成績を追加した演算部が導入された装置が報告されている。



その一方で、近年では、うつ病の病態には、上記のような認知機能の問題が関連していることを越えて、社会能力の問題が中核として関連していると考えられてきている(非特許文献1)。最近のうつ病の社会能力研究のメタ解析(非特許文献2)では、うつ病は他者の気持ちを推測する能力の問題として特徴づけられ、例えば、他者の目から心(感情状態)を読む(Reading the Mind in the Eyes; RME)テストが用いられ(非特許文献3)、その課題の成績がうつ病患者では健常者に比べて低下することが明らかにされている。このような他者の気持ちを推測する能力を支える脳神経基盤の機能が抑うつ気分などのうつ病症状の重症度に伴い低下することが推測されるが、現時点では明らかではない。



うつ病を罹患していない健常者のRME課題遂行中の脳機能計測研究のメタ解析(非特許文献4)では、左と右半球の腹外側前頭前野(VLPFC; ブロードマン44/45野)が、実験条件のRME課題時に、対照条件の性別判断課題時と比べてより強い活動を示し(左半球のVLPFCは右半球のVLPFCよりも広範囲により強い活動を示し)、他者の気持ちを推測する能力を支える中核的な脳部位であることが明らかにされてきた。また、脳損傷研究(非特許文献5)では、左半球のVLPFC損傷は別部位損傷と異なってRME課題の成績低下を引き起こしているとされている。社会能力を反映するRME課題にはVLPFCの関与が示唆されているが、その関与には左右半球間で違いがあり、また、抑うつ気分に対する脆弱性に違いがあると推測される。

産業上の利用分野


本発明は、ストレス評価装置に関し、具体的には対象者の腹外側前頭前野の脳活動信号に基づくストレス評価装置に関する。さらには、ストレス状態の評価方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
課題呈示制御部、脳機能計測部およびストレス状態評価部を含むストレス評価装置であって、課題呈示制御部から呈示される少なくとも2種の課題遂行時の、対象者の腹外側前頭前野の脳活動信号を脳機能計測部が計測し、該計測値に基づいてストレス状態評価部で演算したストレス状態を提示することを特徴とする、ストレス評価装置。

【請求項2】
腹外側前頭前野が、ブロードマン44/45野である、請求項1に記載のストレス評価装置。

【請求項3】
少なくとも2種の課題が、特定の画像に対する、感情に関連する情報を推測する第一課題と感情に関連しない情報を推測する第二課題である、請求項1または2に記載のストレス評価装置。

【請求項4】
前記特定の画像が、対象者とは異なるヒトの顔に係る画像であり、少なくとも2種の課題が、当該顔の画像に対する第一課題および第二課題の少なくとも2種の課題である、請求項3に記載のストレス評価装置。

【請求項5】
脳機能計測部が、少なくとも2種の課題遂行時の、腹外側前頭前野の脳活動信号を計測する計測部である、請求項1~4のいずれかに記載のストレス評価装置。

【請求項6】
ストレス状態評価部が、少なくとも2種の課題遂行時の、腹外側前頭前野の脳活動信号の差分に基づきストレス状態を評価する評価部である、請求項1~5のいずれかに記載のストレス評価装置。

【請求項7】
ストレス状態評価部が、少なくとも2種の課題遂行時の腹外側前頭前野の脳活動信号の差分と、さらに当該少なくとも2種の課題遂行時の成績に基づき、ストレス状態を評価する評価部である、請求項6に記載のストレス評価装置。

【請求項8】
脳活動信号が、神経活動に伴う血管中の酸素代謝量または血流量である、請求項1~7のいずれかに記載のストレス評価装置。

【請求項9】
少なくとも2種の課題遂行時の対象者の腹外側前頭前野から検知された脳活動信号に基づき演算することを特徴とする、ストレス状態の評価方法。

【請求項10】
少なくとも2種の課題遂行時の対象者の腹外側前頭前野から検知された各脳活動信号の差分に基づき演算することを特徴とする、請求項9に記載ストレス状態の評価方法。

【請求項11】
少なくとも2種の課題遂行時の対象者の腹外側前頭前野から検知された脳活動信号と、さらに当該少なくとも2種の課題成績に基づき、演算することを特徴とする、請求項9または10に記載のストレス状態の評価方法。

【請求項12】
少なくとも2種の課題遂行時の対象者の腹外側前頭前野から検知された脳活動信号と、対象者とは異なる成人の腹外側前頭前野から検知された脳活動信号でからなる標準データに基づき演算することを特徴とする、請求項9~11のいずれかに記載のストレス状態の評価方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2017039071thum.jpg
出願権利状態 公開
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close