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マウス精子の冷蔵保存液及び保存方法

国内特許コード P170014182
整理番号 S2017-0141-N0
掲載日 2017年6月9日
出願番号 特願2016-230757
公開番号 特開2018-087163
出願日 平成28年11月29日(2016.11.29)
公開日 平成30年6月7日(2018.6.7)
発明者
  • 中潟 直己
  • 竹尾 透
  • 吉本 英高
出願人
  • 国立大学法人 熊本大学
発明の名称 マウス精子の冷蔵保存液及び保存方法
発明の概要 【課題】本発明の目的は、マウス精子の冷蔵保存に関し、従来技術より長期間の冷蔵保存が可能な保存液および方法を提供することである。
【解決手段】マウス精子上体尾部中に保持されたマウス精子を冷蔵保存するための保存液であって、ジメチルスルフォオキサイド、またはジメチルスルフォオキサイドおよびケルセチンを含有する保存液、および該保存液をもちいたマウス精子の冷蔵保存方法が提供される。本発明により冷蔵保存されたマウス精子は、高い受精率及び運動能を保持できる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


遺伝子改変マウスを用いた研究を支援する機関として、マウスバンクが世界中に設立されており、遺伝子改変マウスは、遺伝子機能の解析およびヒト疾患のモデル動物として、医学研究に広く利用されている。ほとんどのマウスバンクは、遺伝子改変マウスを収集、保管および供給する機能を担っており、研究者は必要に応じてそれらマウスを容易に入手することが可能である。



現在、遺伝子改変マウスの輸送方法として、生体、凍結精子あるいは凍結胚による輸送が利用されている。生体による輸送は、微生物学的汚染の拡大、輸送中の逃亡や死亡のリスク、遺伝子組み換え生物の使用に関する法規制および実験動物の福祉の観点から多くの課題がある。一方、凍結精子または凍結胚による輸送では、輸送中にドライシッパーなど専用の輸送容器が必要であり、凍結精子や凍結胚を作製するために専門の技術を習得しなければならない等の欠点があることから、これらの方法に代替する新規輸送技術の開発が求められている。



そこで、上記方法に替わる簡便な輸送技術として、マウス精巣上体尾部の冷蔵保存法の開発が進められてきた。この方法は、成熟した精子を貯蔵する雄性生殖器官である精巣上体尾部を冷蔵保存液に浸漬し、低温条件下で精子を輸送する技術である。輸送された精巣上体尾部から精子を回収し、体外受精および胚移植を行うことで、特定の病原体を持たないマウス個体を作製することが可能である。



これまで、マウス精巣上体尾部の冷蔵保存において、流動パラフィンやミネラルオイルを冷蔵保存液として用いた場合、冷蔵保存精巣上体尾部から採取した精子の受精能保持時間はせいぜい1日であった。そこで、本発明者らは、透明帯をレーザーで穿孔した卵子を用いて体外受精を行うことにより、受精率を向上さることに成功した。しかしながら、レーザー穿孔卵の作製には、高価な装置や専門の技術が必要となること、また、レーザー穿孔により胚の発生能が低下するため、冷蔵保存液そのものの改良が望まれた。



本発明者らは様々な保存液を検討した結果、ヒト臓器の冷蔵保存液であるLifor(登録商標)保存液(Lifeblood Medical, Inc.) が、流動パラフィン、M2培地およびCPS-1に比べて、高い低温保護効果を示すことを見いだし報告した(非特許文献1)。Liforは、栄養素、成長因子、および非タンパク性の酸素および栄養素のキャリアを含む人工の保存液である。



また本発明者らは、メチル-β-シクロデキストリン(MBCD)と還元グルタチオン(GSH)を体外受精に用いることにより、マウス凍結精子に対して受精率を改善したこと、および、その技術は冷蔵精子に対しても受精率改善に有効であることを報告した(非特許文献2、非特許文献3、特許文献1、特許文献2)。これらの技術改良により、マウス精子の冷蔵保存期間は、3日間まで延長することができた。



現在、日本国内における精巣上体尾部の冷蔵輸送は、3日間の輸送時間があれば可能である。しかしながら、国際輸送では、輸送時のトラブルや通関の遅延等の理由で、輸送時間が延長することがあり、高い受精能を維持した精子を輸送するには、更なる冷蔵保存期間の延長が必要である。

産業上の利用分野


本発明は、マウスの精子を冷蔵保存するための保存液および保存方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
マウス精子を冷蔵保存するための保存液であって、ジメチルスルフォオキサイドを1%以上の濃度にて含有する保存液。

【請求項2】
ジメチルスルフォオキサイドの濃度が5%以上である請求項1に記載の保存液。

【請求項3】
マウス精子を冷蔵保存するための保存液であって、ケルセチンおよびジメチルスルフォオキサイドを含有する保存液。

【請求項4】
前記マウス精子がマウス精巣上体尾部中に保持されたマウス精子である請求項3に記載の保存液。

【請求項5】
ケルセチン濃度が10μg/ml~200μg/mlであり、ジメチルスルフォオキサイドの濃度が1%~20%である、請求項4に記載の保存液。

【請求項6】
ケルセチン濃度が50μg/ml以上であり、ジメチルスルフォオキサイドの濃度が5%以上である、請求項5に記載の保存液。

【請求項7】
前記マウス精子がマウス精子懸濁液である請求項3に記載の保存液。

【請求項8】
ケルセチン濃度が10μg/ml~100μg/mlであり、ジメチルスルフォオキサイドの濃度が1%~10%である、請求項7に記載の保存液。

【請求項9】
ケルセチン濃度が10μg/ml~50μg/mlであり、ジメチルスルフォオキサイドの濃度が1%~5%である、請求項8に記載の保存液。

【請求項10】
前記保存液が、ジメチルスルフォオキサイドまたはケルセチンを含有するLifor(登録商標)保存液またはM2保存液である請求項1~9のいずれか一つに記載の保存液。

【請求項11】
請求項1~10のいずれか一つに記載の保存液を用いてマウス精子を保存する方法。

【請求項12】
マウス精子を冷蔵保存するための保存液のキットであって、ケルセチン、ジメチルスルフォオキサイド、および保存液からなるキット。

【請求項13】
ケルセチンをジメチルスルフォオキサイドに溶解した後、保存液と混合した場合、ケルセチンの最終濃度が10μg/ml~200μg/ml、ジメチルスルフォオキサイドの最終濃度が1%~20%となるように組み合わされている、請求項12に記載のキット。

【請求項14】
前記保存液が、Lifor(登録商標)保存液またはM2保存液である請求項12または13に記載のキット。

【請求項15】
ジメチルスルフォオキサイドを1%以上の濃度にて含有する保存液中に雄マウスから摘出したマウス精巣上体尾部を浸漬し、4℃~10℃の温度にて冷蔵保存する工程を含む、マウス精子の冷蔵保存方法。

【請求項16】
ジメチルスルフォオキサイドの濃度が5%以上である請求項15に記載の冷蔵保存方法。

【請求項17】
ケルセチンおよびジメチルスルフォオキサイドを含有する保存液中に雄マウスから摘出したマウス精巣上体尾部を浸漬し、4℃~10℃の温度にて冷蔵保存する工程を含む、マウス精子の冷蔵保存方法。

【請求項18】
ケルセチン濃度が10μg/ml~200μg/mlであり、ジメチルスルフォオキサイドの濃度が1%~20%の濃度である、請求項17に記載の冷蔵保存方法。

【請求項19】
ケルセチン濃度が50μg/ml~100μg/mlであり、ジメチルスルフォオキサイドの濃度が5%~10%の濃度である、請求項18に記載の冷蔵保存方法。

【請求項20】
ケルセチンおよびジメチルスルフォオキサイドを含有する保存液中に雄マウスから得られたマウス精子を懸濁し、該精子懸濁液を、4℃~10℃の温度にて冷蔵保存する工程を含む、マウス精子の冷蔵保存方法。

【請求項21】
前記保存液が、ケルセチン濃度が10μg/ml~50μg/mlであり、ジメチルスルフォオキサイドの濃度が1%~5%である請求項20に記載の冷蔵保存方法。

【請求項22】
前記保存液が、ジメチルスルフォオキサイドまたはケルセチンを含有するLifor(登録商標)保存液またはM2保存液である請求項15~21のいずれか一つに記載の冷蔵保存方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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