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節足動物の飼育容器及び節足動物の発育同調方法 新技術説明会

国内特許コード P170014185
整理番号 170013JP01
掲載日 2017年6月9日
出願番号 特願2017-057691
公開番号 特開2018-157797
出願日 平成29年3月23日(2017.3.23)
公開日 平成30年10月11日(2018.10.11)
発明者
  • 鈴木 丈詞
出願人
  • 国立大学法人東京農工大学
発明の名称 節足動物の飼育容器及び節足動物の発育同調方法 新技術説明会
発明の概要 【課題】ハダニ類を含む節足動物において孵化や脱皮を同調させる飼育、発育方法の提供。
【解決手段】雌の節足動物を基材上に接種し、産卵させる工程と、基材上の卵を水に浸漬した状態を維持する工程と、基材上から水を取り除き、基材上にて孵化直前に同調した卵を孵化させる工程とを有する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


農作物の生産現場(以下、生産現場)における主要害虫グループの1つがハダニ類(節足動物門鋏角亜門クモガタ綱ダニ目ケダニ亜目ハダニ科)である(非特許文献1)。ハダニ類の中でもナミハダニは、1100種以上の植物(内150種の重要農作物)に寄生する広食性害虫である(非特許文献2)。ナミハダニが抵抗性を示す農薬の有効成分数は、現時点で95種類が報告され、この数は昆虫も含めた害虫種の中で最も多い(非特許文献3)。そのため、ナミハダニの防除には、従来とは異なる作用機作を持つ農薬の開発が求められている。近年、ナミハダニの全ゲノム塩基配列が解読され(非特許文献4)、この情報を利用した新規の農薬開発が期待されている。他方、ナミハダニを含めたハダニ類の主要天敵であるカブリダニ類は、生物農薬として生産現場への導入が増えつつあり、より防除効果の高い天敵種の探索が求められている(非特許文献5)。



また、ナミハダニのみならず、ハダニ科に属する他の節足動物(カンザワハダニ、リンゴハダニ及びミカンハダニ等)、ケダニ亜目に属する他の節足動物(ヒメハダニ科、フシダニ上科及びホコリダニ科等のダニ)、ダニ目に属する他の節足動物(コナダニ亜目等のダニ)についても、生産現場における有害な作用を持つものがある。これらについても、ナミハダニと同様に農薬の開発又は天敵種の探索が求められている。



農薬の開発又は天敵種の探索では、それらの効果を検証するための生物検定は必須である。生物検定では、生物個体群に対して供試薬剤等を作用させ、その効果を検証する。このとき、生物検定では、均一な生理状態の個体からなる生物個体群(例えば、同一の齢及び発育段階)を使用することが好ましい。さらに、孵化や脱皮を標的とする供試薬剤の場合、孵化や脱皮を同調させて、その効果を検証することが好ましい。しかし、齢や発育段階を均一に揃えた個体群の準備や、孵化や脱皮の同調は非常に困難である。例えば、ハダニ類の場合、その発育段階(卵→幼虫→第1若虫→第2若虫→成虫)は1回の孵化、その後3回の脱皮を介して約1週間で移行する。したがって、ハダニ類については、特に均一な個体群の準備及び孵化や脱皮の同調が困難である。



ここで、餌の植物の葉に付着したハダニ類の卵及び第2若虫後半(以下、第3静止期)の水への浸漬又は高湿度環境への暴露は、それぞれ孵化(非特許文献6)及び脱皮(非特許文献7)を抑制することが知られている。

産業上の利用分野


本発明は、ハダニ等の節足動物を飼育するための飼育容器及び当該節足動物の発育同調方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
雌の節足動物を基材上に接種し、産卵させる工程と、
基材上の卵を水に浸漬した状態を維持する工程と、
基材上から水を取り除き、基材上にて孵化直前に同調した卵を孵化させる工程と
を有する、節足動物の発育同調方法。

【請求項2】
上記基材は餌を備えない基材であることを特徴とする請求項1記載の節足動物の発育同調方法。

【請求項3】
基材上に保湿部材で囲った領域を形成し、当該領域に雌の節足動物を接種することを特徴とする請求項1記載の節足動物の発育同調方法。

【請求項4】
基材上の卵を水に浸漬する期間を3~4日間とすることを特徴とする請求項1記載の節足動物の発育同調方法。

【請求項5】
基材上の卵を水に浸漬する際の気温を25~26℃とすることを特徴とする請求項1記載の節足動物の発育同調方法。

【請求項6】
孵化直前に同調した卵を孵化させる際には、基材上から水を取り除いた後、基材周囲の相対湿度を低下させることを特徴とする請求項1記載の節足動物の発育同調方法。

【請求項7】
孵化直前に同調した卵を孵化させる際には、基材上の卵のある領域を保水部材で囲うことを特徴とする請求項1記載の節足動物の発育同調方法。

【請求項8】
上記節足動物はハダニ科に属することを特徴とする請求項1記載の節足動物の発育同調方法。

【請求項9】
成虫の前段階の静止期にある節足動物を基材上に接種し、25℃未満の低温且つ高湿度条件下に暴露する工程と、
その後、脱皮直前に同調した節足動物を、上記工程の温度条件より高温且つ低湿度条件下に暴露し、脱皮を促進する工程と
を有する、節足動物の発育同調方法。

【請求項10】
上記基材は餌を備えない基材であることを特徴とする請求項9記載の節足動物の発育同調方法。

【請求項11】
基材上に保湿部材で囲った領域を形成し、当該領域に成虫の前段階の静止期にある節足動物を接種することを特徴とする請求項9記載の節足動物の発育同調方法。

【請求項12】
基材上の節足動物を低温且つ高湿度条件に暴露する期間を1~2日間とすることを特徴とする請求項9記載の節足動物の発育同調方法。

【請求項13】
25℃未満の低温が18℃であり、高湿度条件が相対湿度100%であることを特徴とする請求項9記載の節足動物の発育同調方法。

【請求項14】
脱皮直前に同調した節足動物を脱皮させる際には、当該基材周囲の相対湿度を低下させ、気温を25℃以上にすることを特徴とする請求項9記載の節足動物の発育同調方法。

【請求項15】
上記節足動物はハダニ科に属することを特徴とする請求項9記載の節足動物の発育同調方法。

【請求項16】
節足動物の卵又は成虫の前段階の静止期にある節足動物を接種する基材を備え、水又は保水部材を収容できる容器と、
上記容器に対して着脱自在に取り付けることができる蓋部材とを備え、
上記基材に接種された上記卵を孵化直前に同調でき、上記基材に接種された成虫の前段階の静止期にある上記節足動物を脱皮直前に同調できる、節足動物用同調容器。

【請求項17】
上記蓋部材は、上記容器に取り付けられた状態において上記容器内を気密とすることを特徴とする請求項16記載の節足動物用同調容器。

【請求項18】
上記節足動物はハダニ科に属することを特徴とする請求項16記載の節足動物用同調容器。

【請求項19】
請求項16~18いずれか一項記載の節足動物用同調容器と、
節足動物の卵又は成虫の前段階の静止期にある節足動物と
を含む節足動物用同調キット。

【請求項20】
節足動物の卵を接種する餌と水又は保水部材とを収容できる第2の容器と、
上記第2の容器に対して着脱自在に取り付けることができる蓋部材とを備える節足動物用育成容器を更に備えることを特徴とする請求項19記載の節足動物用同調キット。

【請求項21】
上記蓋部材は、換気部を有してなり、上記第2の容器に取り付けられた状態で上記換気部を介して上記第2の容器部内を換気することを特徴とする請求項20記載の節足動物用同調キット。

【請求項22】
上記節足動物の餌を更に備えることを特徴とする請求項20記載の節足動物用同調キット。

【請求項23】
雌の節足動物を基材上に接種し、産卵させる工程と、
基材上の卵を水に浸漬した状態を維持する工程と、
基材上から水を取り除き、基材上にて孵化直前に同調した卵を供試物質の存在下に孵化させる工程と、
上記孵化させる工程において上記供試物質による孵化への影響を判定する工程とを含む、節足動物に対する発育制御関連物質のスクリーニング方法。

【請求項24】
雌の節足動物を基材上に接種し、産卵させる工程と、
基材上の卵を水に浸漬した状態を維持する工程と、
基材上から水を取り除き、基材上にて孵化直前に同調した卵を孵化させる工程と、
供試物質の存在下に孵化した幼虫を育成する工程と、
上記育成する工程において上記供試物質による幼虫への影響を判定する工程とを含む、節足動物に対する発育制御関連物質のスクリーニング方法。

【請求項25】
成虫の前段階の静止期にある節足動物を基材上に接種し、25℃未満の低温且つ高湿度条件下に暴露する工程と、
その後、脱皮直前に同調した節足動物を、上記工程の温度条件より高温且つ低湿度条件下に暴露し、供試物質の存在下に脱皮を促進する工程と、
上記脱皮を促進する工程において上記供試物質による脱皮への影響を判定する工程とを含む、節足動物に対する発育制御関連物質のスクリーニング方法。

【請求項26】
成虫の前段階の静止期にある節足動物を基材上に接種し、25℃未満の低温且つ高湿度条件下に暴露する工程と、
その後、脱皮直前に同調した節足動物を、上記工程の温度条件より高温且つ低湿度条件下に暴露し、脱皮を促進する工程と、
供試物質の存在下に脱皮してなる成虫を育成する工程と、
上記育成する工程において上記供試物質による成虫への影響を判定する工程とを含む、節足動物に対する発育制御関連物質のスクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 公開
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