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軟X線発光分光法は、X線または電子線を試料に照射して、発生する軟X線を分光分析する方法であり、試料に含まれる物質の電子状態を知ることができる。しかしながら、試料における軟X線発光は等方的に生じる発光現象、つまり、光学的には発散光源となる。このため、分析に用いられる軟X線分光装置では、試料が発する全軟X線のうち、限れた方向に進む一部のみが検出されることになる。
軟X線分光装置には、分光を行うための回折格子と、分光後の軟X線を検出するための検出器とが備えられる(たとえば特許文献1参照)。従来の軟X線分光装置の構成を図9に示す。軟X線分光装置は、回折格子91と検出器92とを備え、試料Sに対してX線または電子線が照射される。図9において、(a)は回折格子91に垂直な平面に沿って見た平面図、(b)は側面図である。可視光に比べて遥かに短波長である軟X線(波長1nm程度)のための回折格子91は、図9(b)に示したように、入射角が極めて大きい(90°に近い)斜入射配置にする必要がある。
なお、図示しないが、分解能を高めるために、試料から回折格子91に至る軟X線の光路に、軟X線の線束の幅を回折方向(回折格子に垂直な方向)において制限するスリットを配置したり、励起のために照射するX線または電子線を微小なスポットに収束させる光学系を、試料の前に配置したりしている。後者は、スリットレス分光装置と呼ばれており、スリットを備える構成と同等の分解能でありながら、試料からの軟X線の利用効率が高く、したがって検出感度が高い。
本発明は、軟X線分光装置に関し、特に、軟X線分光装置における入射軟X線の利用効率を向上させる分光装置に関する。
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