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ダイヤモンド素子、磁気センサー、磁気計測装置

国内特許コード P170014252
整理番号 (AF41-01WO)
掲載日 2017年6月23日
出願番号 特願2015-557780
登録番号 特許第6604511号
出願日 平成27年1月19日(2015.1.19)
登録日 令和元年10月25日(2019.10.25)
国際出願番号 JP2015000193
国際公開番号 WO2015107907
国際出願日 平成27年1月19日(2015.1.19)
国際公開日 平成27年7月23日(2015.7.23)
優先権データ
  • 特願2014-008127 (2014.1.20) JP
発明者
  • 波多野 睦子
  • 岩崎 孝之
  • 水落 憲和
  • 牧野 俊晴
  • 加藤 宙光
  • 山崎 聡
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明の名称 ダイヤモンド素子、磁気センサー、磁気計測装置
発明の概要 常温且つ大気中における2次元的な磁気測定を高感度で行うことを可能とする技術の提供。
本発明に係るダイヤモンド結晶は、表面乃至表面近傍に、炭素原子を置換した窒素と該窒素に隣接する空孔の複合体(NV中心)を含むNV領域を有し、該NV領域はNV中心の濃度以上のドナー濃度を有している、乃至は、NV領域の結晶が{111}面若しくは{111}面と±10°以内のオフ角を有する面であり、NV中心の主軸が{111}面に直交する<111>軸である、ことを特徴とする。このようなダイヤモンド結晶によれば、NV中心のほぼ100%を負電荷の状態(NV)とすること、また、NV中心のスピン状態を一方向に揃えることが可能となり、ODMR信号のピークもシャープになる。さらに、本発明に係るセンサーアレイによれば、上記ダイヤモンド結晶中に生成したNV中心を、負電荷の状態(NV)に維持することが可能となる。
従来技術、競合技術の概要

ダイヤモンドは、結晶中のカラーセンターが、室温・大気中において、云わば“低温・真空中の原子(trapped atoms)”のように振る舞う特異的な結晶格子と言える。このような特異的な結晶格子であるダイヤモンド中に形成される窒素-空孔複合体(NV中心)はカラーセンターの1種であり、図1に示すように、炭素を置換した窒素(N)と、この窒素の隣接に位置する原子空孔(V)を伴い、スピンS=1をもつ。

このNV中心が電子を捕獲して負電荷の状態にあるNV中心は、固体で唯一、室温での光による単一スピンの操作・検出が可能で、コヒーレンス時間が長いという特長があり、高空間分解能かつ高感度な磁気センサーへの応用が期待されており(D Le Sageらによる非特許文献1やJ. R. Mazeらによる非特許文献2などを参照)、NV中心を利用したセンサーの常温における磁気検出限界は、ホール素子やインピーダンスセンサの検出限界をはるかに凌ぎ、理論計算上はSQUIDのそれにに匹敵するとの報告がある(V. M. Acostaらによる非特許文献3を参照)。

図2は、NV中心を利用した磁気検出の原理を説明するための図である。NV中心は、基底状態において、|0>、|1>、または|-1>の3つの電子スピン状態をとり得る(三重項状態)。図中に示したΔは|0>状態と|±1>状態のエネルギー差、γは磁気回転比、Bは磁場強度である。

基底状態にあるNV中心に緑色光を照射すると赤色の蛍光を発するが、基底状態が|1>または|-1>の電子スピンをもつ場合には、励起後の電子の一部が一重項状態を経て基底状態に戻るために蛍光過程は生じ難くなる。これら|1>と|-1>の電子スピン状態のエネルギー分離(2γB)は、磁場強度Bに比例するから、NV中心を利用したセンサーに2.8GHz前後の周波数のマイクロ波を照射し、このマイクロ波の周波数を掃引すると、赤色蛍光の輝度低下点として、磁場強度を検出することができる。

図3は、マイクロ波の周波数掃引時の赤色蛍光の輝度低下点が磁場強度に依存して変化する様子を概念的に説明するための図である。この図において、横軸はマイクロ波の周波数(GHz)、縦軸は赤色蛍光輝度(任意スケール)であり、磁場Bを0~12GHzの範囲で変化させた場合に、赤色蛍光の輝度低下点のマイクロ波周波数(f1、f2)のスプリット(Δf)が、磁場強度に比例して大きくなる様子が概念的に示されている。

このような原理に基づき、1mT程度の微弱な磁場の2次元的な分布を計測した結果も報告され(S.Hongによる非特許文献4を参照)、原理的にはfTレベルの磁場測定も可能であるとの報告もある(非特許文献3を参照)。

産業上の利用分野

本発明は、高感度磁気測定を可能とするための技術に関し、より詳細には、常温且つ大気中での高感度な磁気測定を可能とするダイヤモンド結晶およびそれを用いた磁気センサー等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
表面乃至表面近傍に、炭素原子を置換した窒素(N)と該窒素に隣接する空孔(V)の複合体(NV中心)を含むNV領域を有し
記NV領域の結晶面が{111}面若しくは{111}面と±10°以内のオフ角を有する面であり、前記NV中心の主軸が前記{111}面に直交する<111>軸であるダイヤモンド結晶を用いたダイヤモンド素子であって、
前記NV領域を第1領域としたときに、該第1領域よりも高いドナー濃度を有する第2領域が前記第1領域に接して形成されており、
前記第1領域が平面内で2次元的に周期配列されており、前記第1領域のそれぞれの側面若しくは周囲に、該第1領域よりも高いドナー濃度を有する前記第2領域が形成されており、
前記第2領域はNV中心の濃度以上のドナー濃度を有しており、かつ、該ドナー濃度が10×1015cm-3~10×1019cm-3の範囲にあり、
前記第1領域はpn接合により形成される空乏領域であり、
前記第2領域はCVD法で形成されたn型のダイヤモンドからなる、
ことを特徴とするダイヤモンド素子。

【請求項2】
前記NV領域は、CVD法若しくは高温高圧法(HPHT法)により成長させた窒素ドープのダイヤモンド結晶膜に形成されている、請求項に記載のダイヤモンド素子。

【請求項3】
前記第2領域はドナーレベルが1×1018cm-3以上のn+型の導電型を有している、請求項1または2に記載のダイヤモンド素子。

【請求項4】
前記第1領域の一方主面側に、正電位を印加するための電極が絶縁膜を介して設けられている、請求項1~の何れか1項に記載のダイヤモンド素子。

【請求項5】
前記第1領域のそれぞれの一方主面側には、正電位を印加するための電極が絶縁膜を介して設けられている、請求項に記載のダイヤモンド素子。

【請求項6】
前記第1領域に接して、該第1領域よりも低いNV中心濃度を有する前記第2領域が形成されている、請求項1~の何れか1項に記載のダイヤモンド素子。

【請求項7】
前記第1領域を含むダイヤモンド結晶部の上下面側若しくは側面側に、互いに対向して設けられた少なくとも2つの電極を有する電界生成部を更に備えている、請求項1~の何れか1項に記載のダイヤモンド素子。

【請求項8】
前記第1領域の周期配列は、前記平面を上方から眺めたときに、2次元正方格子の各格子点に前記第1領域の中心が位置している正方周期配列である、請求項1~の何れか1項に記載のダイヤモンド素子。

【請求項9】
前記第1領域の周期配列は、前記平面を上方から眺めたときに、特定の第1領域の中心位置を中心点とする正六角形の6つの頂点のそれぞれに他の第1領域の中心が位置している六方充填配列である、請求項1~の何れか1項に記載のダイヤモンド素子。

【請求項10】
請求項1~の何れかに記載のダイヤモンド素子を用いた磁気センサーであって、前記第1領域のそれぞれの表面から射出する光信号であって、前記NV中心の電子スピン共鳴に起因して生じる光信号を検知する光センサーを備えている、磁気センサー。

【請求項11】
請求項10に記載の磁気センサーを備えた磁気計測装置であって、前記ダイヤモンド素子に対向して設けられた試料ステージと、前記ダイヤモンド素子に青緑色光を照射する光学系と、前記ダイヤモンド素子に周波数可変のマイクロ波を照射するマイクロ波生成部と、前記光センサーで検知した前記NV中心の電子スピン共鳴に起因して生じた光信号を処理する信号処理部と、を備えた磁気計測装置。

【請求項12】
前記第1領域を含むダイヤモンド結晶部の上下面側若しくは側面側に、互いに対向して設けられた少なくとも2つの電極を有する電界生成部を更に備えている、請求項11に記載の磁気計測装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2015557780thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 素材・デバイス・システム融合による革新的ナノエレクトロニクスの創成 領域
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