TOP > 国内特許検索 > 非酵素的核酸鎖結合方法
RNA干渉(RNA interference:RNAi)は、標的とする遺伝子の発現を特異的に抑制するための手法として、分子生物学、薬学及び医学等の分野で重要となっている。RNAiは、siRNA(small interfering RNA)と称される、20~23ヌクレオチドの短い2本鎖RNAを細胞内に導入することによって誘導できる。しかし、siRNAは、小分子であるものの細胞膜透過性が十分でなく、また血清中での安定性も不十分であるために、siRNAによるRNAiの誘導効率には改善の余地があった。また、siRNAは、Toll-like receptorなどのパターン認識受容体を介して自然免疫を活性化してしまうという問題がある。
本発明者らは、特許文献1において、siRNAなどの機能性核酸分子を細胞に取り込み容易な形態にして細胞内に導入し、細胞内で機能性分子を構築する方法を開示している(非特許文献1も参照)。この方法は、1または2本の核酸鎖からなる機能性核酸分子の構築法であって、以下の工程1)および2)を含んでいる。1)化学反応により相互結合する官能基対を対応する末端に付した2以上の断片を細胞内に導入する導入工程、2)上記細胞内で上記官能基同士を反応させて断片同士を結合し、1または2本の核酸鎖からなる機能性核酸分子を生成する生成工程。
上記の方法は、機能性核酸分子を構成する核酸鎖の少なくとも一部を複数の断片として細胞に導入し、細胞内で機能性核酸分子を構築させるものである(以下「細胞内ビルトアップ法」とも称する)。この方法では、一方の断片の「対応する末端」に求電子基を、他方の断片の「対応する末端」に求核基を結合させ、これらの化学反応により断片同士を結合させている。具体的には、求電子基としてヨードアセチル基、ブロモアセチル基又はヨード基を、求核基としてホスホロチオエート基を用い、これらの化学反応によって2つの断片のリボースを連結させている。
本発明は、酵素反応に依らず化学反応によって核酸鎖と核酸鎖とを結合する方法、これを応用した核酸鎖の塩基配列の決定方法及び機能性核酸分子の細胞内導入方法に関する。より詳しくは、核酸鎖間の結合を、天然型構造又はこれに類似の構造で形成可能な非酵素的核酸鎖結合方法等に関する。
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