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(In Japanese)生体由来細胞を用いたがん細胞の検出方法

Patent code P170014537
File No. (S2014-1615-N0)
Posted date Aug 24, 2017
Application number P2016-550353
Date of filing Sep 24, 2015
International application number JP2015076900
International publication number WO2016047676
Date of international filing Sep 24, 2015
Date of international publication Mar 31, 2016
Priority data
  • P2014-193424 (Sep 24, 2014) JP
Inventor
  • (In Japanese)山田 勝也
  • (In Japanese)佐々木 綾子
  • (In Japanese)小野 幸輝
  • (In Japanese)刀稱 亀代志
Applicant
  • (In Japanese)国立大学法人弘前大学
Title (In Japanese)生体由来細胞を用いたがん細胞の検出方法
Abstract (In Japanese)本発明は、細胞診においても用いることができる、生体由来細胞を用いたがん細胞の新たな検出方法を提供することを目的とする。特には、細胞を生きた状態でイメージングできる新たながん細胞の検出方法、並びに該方法と既存の細胞診の染色方法を組み合わせたがん細胞の二重検出方法を提供することを目的とする。 ヒトから採取した試料中に含まれる生きた細胞を、蛍光標識L-グルコース誘導体とともにインキュベートして細胞内に取り込まれた該蛍光標識L-グルコース誘導体を検出すること、及び前記細胞を薄いガラス又はプラスチックプレート上に付着させた状態で、細胞内に存在する前記L-グルコース誘導体が発する蛍光を検出すること、からなる生体由来細胞を用いたがん細胞の検出方法が提供される。さらに、アルコール等で固定された細胞を用いた染色法を組み合わせたがんの二重検出方法が提供される。
Outline of related art and contending technology (In Japanese)

現在、がんは日本人の1/2が罹患する。しかし、多くの場合、早期に的確な診断を行い、過不足のない治療を行えば、予後やQOLの改善が期待される。がん細胞であるか否かの判定は、がんが疑われる部位から細胞(細胞診)もしくは組織(組織診)を取り出し、細胞検査士や病理専門医が形態学的に異常の有無を観察し、経験と主観に基づいて判断を行っている。しかし、前がん病変と呼ばれる初期の状態、あるいはクラスIIIと呼ばれる境界病変では、形態学からだけでは判定が難しいケースもあり、実際に検査士や病理医により判断が分かれたり、再検査に回して判断を保留する場合もある。これにより再検査時には進行している場合もあり、患者、病理医、検査士、臨床医、検査専門会社の全ての立場から、現在より客観的で明快な細胞評価方法の開発が切望されている状況にある。

境界病変の的確な診断は臨床現場の悲願であるとともに、患者の一生を左右するシリアスな問題である。また、細胞形態を一つ一つ観察する従来の細胞診は、多年の経験が必要とされるため、人材の養成が追い付かず、現場の負担が大きく、見過ごしも起きるなど、長年改善が求められてきた。

がんの有無を判定する検査においては、まず比較的侵襲の少ない「細胞診」(N/C比、極性、核の様態を含めた細胞異型、および細胞の積層等の構造異型の有無等の検査)を実施して、がん細胞が検出されるか否かを専ら形態学的に判定し、もしがん細胞もしくはその疑いのある細胞が見出された場合には、より詳細な判定が可能な組織診を行って治療方針の決定に役立てている。

また、「細胞診」は、検診等でがんの有無を簡便に調べる目的、がんの手術時や診断目的で腹水や胸水等の体腔液を採取して腹膜や胸膜等への播種の有無を調べる目的、あるいは尿路系腫瘍等で尿を調べてがんの有無を発見する目的等からも頻繁に用いられる。腹水や胸水等の検査や、腎盂がんの有無を調べる場合等、組織診が実施できないケースもあり、このような場合、細胞診断により治療方針を決定する必要がある。

我が国の細胞診は、一部の先端機関を除いて、患者から得られた検体をスライドガラスに塗抹し、アルコール固定後、染色、封入し、顕微鏡を用いて細胞形態を観察することで行われている。迅速簡便に実施できる一方、検査を専門に担当する細胞検査士は、スライドガラス一枚一枚に含まれる膨大な数に上る細胞を、まさに一つ一つ形態や核に異常がないか調べていく作業を連日繰り返している。いかに速く見逃しすることなく確実にがん細胞を発見できるか、多年にわたる経験と技術が必要な世界といえる。

また、折り重なる細胞群から、たとえわずかでもがん細胞が見つかればがんと判定され、見逃しは的確な診断の遅れにつながる為、一つの細胞も見落とすことなく探しだす集中力と根気、熟練が要求されるが、検査士により違いがあることは否定できない。

加えて、腹水や尿の中に浮遊する細胞は、観察対象とする細胞が本来存在する組織から剥離して存在している為、血流や栄養が絶たれ、細胞変性を起こしやすい。その為、形態が変化して核が濃染したり、N/C比(核/細胞質比)が増大するなど、がん細胞と鑑別の難しい細胞が認められる場合も稀でない。従って、良悪の鑑別困難ないわゆるクラスIIIとして判定され、治療方針の決定に支障を来たし、経過観察、再検査となることがある。また、クラスIII分類の幅が検査士および細胞診専門医の経験、主観により異なり、早期の治療ができずに患者に不利益を生じる可能性がある。しかし、現状の形態情報のみによる細胞診断では限界があると言わざるを得ない。

また、光学顕微鏡による観察では、多量の血液細胞の存在により、観察対象とする細胞が見えにくくなり、的確な診断に苦慮することがある。これを改善するための標本作製法として液状化細胞診(LBC)も考案されている。標本作製における人為的な要素の低減には役立つが、良悪の鑑別について従来法と有意な差がないとする報告もある。

がん細胞であるか否かの判定は、従来、細胞検査士ならびに細胞診専門医が、以下のような細胞の形態学的特徴等に注目して行ってきた。
1)細胞質(cytoplasm)に対する細胞核(nucleus)の比(N/C比)の増大。
2)細胞内の核の位置や核クロマチンの様態を含めた細胞形態の異常。
3)細胞の集合状態等の異常(構造異型)。

しかし、このような形態学的な異常に基づく診断は、細胞検査士ならびに細胞診専門医が主観に基づいて下すものであることから、良悪境界状態にある細胞や、細胞形態だけでは判断できないような場合がある。このように、主観に基づく診断では、観察者により意見が異なる場合や、判断を保留せざるを得ない場合もある。一例として、膀胱がんの再発検査においては、クラスIIIに分類される判定は10%以上に上り、看過できないものとなっている。

本来クラスIIIと判定された検体は、がんか、がんではないかのどちらかのはずであるのに、「がんである恐れのある細胞」と、「がんである恐れのない細胞」の線引きは難しい。そこで、クラスIIIを減らす為には、こうした主観的側面をもつ現在の細胞診断に代わり得る客観的な尺度、あるいは経験の多寡によらず判定できるような明確な指標が求められている。

更に、日々蓄積する待ったなしの膨大な細胞診業務の中にあって、熟練した細胞検査士が異常所見をひとつひとつ人間の目によって見つけ出している現状において見逃しによる偽陰性を回避するため、的確に異常所見を拾い上げるガイドとなるような指標が必要である。

がんの細胞診断において常法となっているパパニコロウ染色やギムザ染色等の一般染色による判定を補う必要がある場合、免疫細胞化学染色を実施する場合がある。しかしながら、一種類で良性と悪性を鑑別できるような抗体は存在せず、数種類を組み合わせる必要がある上、いずれも良悪鑑別の決定打となるまでには至っていない。

加えて、現在の細胞診標本作製においては、アルコール固定により、死んだ細胞の、専ら「形態学的に検出可能な異常」の判定に基づいた方法であり、形態学的な変化として必ずしも表れていない「細胞の機能的な異常」を見る方法になっていないという点が指摘できる。一見正常な細胞形態を示していても、機能的にも正常であるか否かは、通常の細胞診だけでは判定しえない。例えば、形態学的に正常細胞と見分けがつかない場合であっても、細胞が将来がん化リスクの高いウイルスに既に感染していたり、あるいは細胞機能には既に異常が現れているにも関わらず、形態学的細胞判定技術では鑑別ができない場合がある。このような場合、形態学的に異常が完全に明らかになるまで確定診断できず、検査を繰り返した結果として治療開始が後れ、患者が不利益を被る。

本発明者らは、自然界に存在せず、グルコーストランスポーターGLUTに結合しない、L-グルコースを緑色の蛍光基NBDで標識した新規蛍光L-グルコース誘導体である2-[N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ]-2-デオキシ-L-グルコース(2-NBDLG)を開発し、すい臓がん細胞等のインビトロ培養細胞や担がんマウスに投与すると、がん細胞内への2-NBDLGの特異的な取り込みによりがん細胞が可視化され、多様な細胞状態を示すがん細胞から成るがん細胞塊のイメージングが可能であることを示した(特許文献1)。

また、本発明者らは、赤色の蛍光基を有し、細胞膜不透過性の蛍光L-グルコース誘導体である、2位にスルホローダミン101をスルホンアミド結合した2-アミノ-2-デオキシ-L-グルコース(2-TRLG)を開発し、これを2-NBDLGと共に培養細胞に適用するインビトロ実験では、細胞膜に損傷を受けた細胞や食作用等による非特異的な細胞内への取り込みを示す細胞は、2-NBDLGと2-TRLGの両者を共に細胞内に取り込むことによって2-NBDLGのみを取り込む細胞と識別できることを示してきた(特許文献1)。

Field of industrial application (In Japanese)

本発明は、生体由来細胞を用いた、がん細胞の検出方法、特には蛍光標識L-グルコース誘導体を用いたがん細胞の検出方法に関する。本発明はまた、該がん細胞の検出方法に用いることができる細胞固定・観察用のスライドガラスのセットに関する。

Scope of claims (In Japanese)
【請求項1】
 
ヒトから採取した試料を用いたがん細胞の二重検出方法であって、
(a)以下の工程を含む試料中に含まれる生きた細胞を用いた蛍光イメージングからなるがんの検出方法:
細胞を蛍光標識L-グルコース誘導体とともにインキュベートして細胞内に取り込まれた該蛍光標識L-グルコース誘導体を検出すること、ここで、該L-グルコース誘導体は、蛍光分子団として7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール基又はその誘導体を分子内に有するL-グルコース誘導体である、及び、
前記細胞を薄いガラス又はプラスチックプレート上に付着させた状態で、細胞内に存在する前記L-グルコース誘導体が発する蛍光を検出すること、ここで、該プレートは、その表面上に、該細胞を生存状態で維持するための緩衝液を保持するための領域を有し、そして、前記L-グルコース誘導体が発する蛍光が細胞内に検出された場合はその細胞ががん細胞であると判定する、
を含むがん細胞を検出する方法、
及び
(b)以下の工程からなるアルコール固定された細胞を用いた染色法からなるがんの検出方法、
前記プレートをエタノール固定液に浸して細胞を固定した後、パパニコロウ染色、ギムザ染色、PAS染色、グロコット染色、及び免疫細胞化学染色からなる群から選ばれるいずれか一つの染色方法によって染色して、がん細胞を検出する方法、
を含むがん細胞の二重検出方法。

【請求項2】
 
前記蛍光イメージングからなるがんの検出方法aが以下の工程:
(a-1)ヒトから採取した試料中に含まれる生きた細胞を、記蛍光標識L-グルコース誘導体を含む緩衝液中にてインキュベートし、該L-グルコース誘導体を取り込ませる工程、
(a-2)緩衝液を前記蛍光標識L-グルコース誘導体を含まない緩衝液に交換して該L-グルコース誘導体の取り込みを停止する工程、
(a-3)前記細胞を薄いガラス又はプラスチックプレート上の細胞付着領域に付着させて固定し、次いで、前記細胞付着領域を含みかつ囲むように構成されプレート上に設けられた緩衝液を保持するための緩衝液保持領域に緩衝液を入れ、細胞を生存状態に維持する工程、ここで、前記緩衝液保持領域は、細胞が固定されたプレート面と、緩衝液保持領域を取り囲むように設計された緩衝液保持構造体から構成される、
(a-4)前記固定した細胞内に存在する前記L-グルコース誘導体が発する蛍光を検出する工程、及び
(a-5)前記蛍光の検出に基づいてがん細胞を検出する工程、
からなる請求項1に記載の方法。

【請求項3】
 
前記工程aが以下の工程:
(a-1)ヒトから採取した試料中に含まれる生きた細胞を、薄いガラス又はプラスチックプレート上の細胞付着領域に付着させて固定する工程、
(a-2)前記細胞付着領域を含みかつ囲むように構成されプレート上に設けられた緩衝液を保持するための緩衝液保持領域に緩衝液を入れ、細胞を生存状態に維持する工程、ここで、前記緩衝液保持領域は、細胞が固定されたプレート面と、緩衝液保持領域を取り囲むように設計された緩衝液保持構造体から構成される、
(a-3)緩衝液を前記蛍光標識L-グルコース誘導体を含む緩衝液に交換し、次いで、プレートに固定された細胞をインキュベートし、該L-グルコース誘導体を取り込ませる工程、
(a-4)緩衝液を前記蛍光標識L-グルコース誘導体を含まない緩衝液に交換して該L-グルコース誘導体の取り込みを停止し、前記固定した細胞内に存在する前記L-グルコース誘導体が発する蛍光を検出する工程、及び
(a-5)前記蛍光の検出に基づいてがん細胞を検出する工程、
からなる請求項1に記載の方法。

【請求項4】
 
前記蛍光標識L-グルコース誘導体が、2-[N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ]-2-デオキシ-L-グルコース(2-NBDLG)と、2位にスルホローダミン101をスルホンアミド結合した2-アミノ-2-デオキシ-L-グルコース(2-TRLG)との混合物である、請求項1~3のいずれか一つに記載のがん細胞の二重検出方法。

【請求項5】
 
前記工程(a-5)におけるがん細胞の検出において、蛍光イメージングされた細胞の蛍光色調を指標に該細胞の細胞膜損傷状態を判断することをさらに含む、請求項3又は4に記載の検出方法。

【請求項6】
 
前記方法(b)がパパニコロウ染色である請求項1~5のいずれか一つに記載の検出方法。

【請求項7】
 
前記プレートの厚さが0.3mm以下である上記請求項1~6のいずれか一つに記載の検出方法。

【請求項8】
 
前記衝液保持構造体は、前記緩衝液保持領域に相当する開口部を有するプレート形状又はリング形状の構造体であって、前記緩衝液を保持するのに十分な厚さを有する、請求項2~7のいずれか一つに記載の検出方法。

【請求項9】
 
前記緩衝液保持構造体がシリコーンから作られた厚さ0.5~10mmの構造体である、請求項8に記載の検出方法。

【請求項10】
 
前記ヒトから採取した試料が、患者の浮遊細胞液由来の細胞、擦過剥離細胞由来の細胞、又は穿刺吸引細胞由来の細胞である、請求項1~9のいずれか一つに記載の検出方法。

【請求項11】
 
前記細胞が、患者の喀痰、尿、腹水、胸水、心嚢液、脳脊髄液、胆汁、膵液、関節液又は血液から選ばれる浮遊細胞液から由来する細胞である、請求項10に記載の検出方法。

【請求項12】
 
前記細胞が、卵巣がん患者又は子宮体がん患者の腹水由来の細胞である、請求項11に記載の検出方法。

【請求項13】
 
前記プレートが、細胞を付着させる面と反対の面に細胞の位置情報を示すためのマーキングを有する、請求項1~12のいずれか一つに記載の検出方法。

【請求項14】
 
レーザー共焦点顕微鏡を用いて生きた細胞を観察するための、細胞観察用ガラス又はプラスチックプレートと緩衝液を保持するための緩衝液保持構造体を含む細胞観察用ガラス又はプラスチックプレート構造体であって、
細胞を生存状態で固定するためのガラス又はプラスチックプレート、ここで、該プレートは、表面上に細胞を生存状態で維持するための緩衝液を保持するための緩衝液保持領域を有し、厚みが0.3mm以下であり、かつ細胞を固定する面とは反対の面に細胞の位置情報を示すためのマーキングを有する、と、
該緩衝液保持領域にて緩衝液を保持するための緩衝液保持構造体、ここで、該緩衝液保持構造体は、緩衝液保持領域を取り囲むように設計されたプレート形状又はリング形状のシリコーンから作られた厚さ0.5~10mmの緩衝液保持構造体である、
を含む細胞観察用ガラス又はプラスチックプレート構造体。
IPC(International Patent Classification)
F-term
Drawing

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JP2016550353thum.jpg
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