TOP > 国内特許検索 > 放射線被ばくの判定方法
一般的に、医療従事者や放射線関連の労働者が、どの程度の被ばくをしているかを測定するためには、線量計が用いられており、様々な線量計が開発されている。
一方、一般市民が放射線被ばくに曝されるような放射線事故/災害発生時には、線量計による被ばく線量測定ができないため、生体試料や生理学的試料を材料として被ばく線量を推定し(バイオドシメトリ)、治療優先順位を決める(トリアージする)必要がある。そして、これまでに各種のバイオアッセイによって被ばく線量を推定する手法の開発が試みられている。
γH2AXアッセイは、リンパ球のDNA2本鎖切断部位に集積するγH2AXタンパクを指標に線量を推定する手法である(例えば、非特許文献1)。被ばく後24時間以内であれば、正確に被ばく線量が推定可能である。しかしながら、被ばく後24時間経つとほとんどのDNA2本鎖切断が修復されてしまうことと、被ばく後2日以降は放射線の影響を受けやすいリンパ球数が急減するため、被ばく後24時間以降では本法による線量推計の信頼性は乏しい。そのため、本法による被ばく線量の定量は被ばく後24時間が限界であり、放射線被ばくの有無の判断についても被ばく後3日程度が限界である。また、この手法では、目視でDNA2本鎖の切断を判断する必要があり推定時間を要する。
染色体異常分析は、リンパ球の安定型の染色体異常数から被ばく線量を推定する手法である(例えば、非特許文献2)。この方法は被ばく後長期間に亘って高い推定精度を保つが、リンパ球培養を伴うため、検出には時間と熟練した技術が必要である。そのため、大規模な放射線事故/災害発生時の多数の対象者がいる場合に本測定法を実際に適応することは困難といえる。
また、放射線により歯に形成された安定ラジカルをL-Band ESRまたはX-Band ESRにより測定する手法も知られている。しかしながら、被験者がこれまでに医療目的で頭部付近に浴びた放射線による影響が大きいことと、X-Band ESRを用いる際には、被験者は歯を抜歯する必要があり、被験者の精神的・身体的負担になる。
本発明は、放射線被ばくの判定方法に関する。
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