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(In Japanese)新規アルツハイマー病治療薬

Patent code P170014707
File No. (S2015-0060-N0)
Posted date Dec 7, 2017
Application number P2016-557841
Date of filing Nov 6, 2015
International application number JP2015081417
International publication number WO2016072522
Date of international filing Nov 6, 2015
Date of international publication May 12, 2016
Priority data
  • P2014-226236 (Nov 6, 2014) JP
  • P2015-196282 (Oct 1, 2015) JP
Inventor
  • (In Japanese)岩田 修永
  • (In Japanese)城谷 圭朗
  • (In Japanese)浅井 将
  • (In Japanese)田中 隆
Applicant
  • (In Japanese)国立大学法人長崎大学
Title (In Japanese)新規アルツハイマー病治療薬
Abstract (In Japanese)本発明は、新規な作用機序を有する、副作用が低減された、アルツハイマー病の予防及び/又は治療用薬剤の提供を課題とする。鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環式飽和炭化水素基、環式不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂溶性ビタミン残基及びステロール残基からなる群より選択される少なくとも1種の脂溶性基の導入により脂溶性が高められたポリフェノール誘導体は、ネプリライシンの活性を増強する作用を有し、アルツハイマー病の予防及び/又は治療用薬剤として有用である。
Outline of related art and contending technology (In Japanese)

ADは老年期認知症の主要因となる進行性の神経変性疾患であり、臨床症状が現れるまでには細胞外アミロイドβペプチドの蓄積→細胞内タウの凝集・蓄積→神経変性・神経細胞死という病理カスケードをたどる(アミロイド仮説)。それ故、ADはAβの蓄積から始まると考えられ、根本的治療のためにはAβの産生阻害、分解促進、凝集抑制、凝集沈着物の除去により脳内からAβを取り除く必要があり、このような抗Aβ薬の開発の為に世界規模で競って研究が進められている。

ADの治療薬については、アリセプトなどのいくつかの薬剤が存在するものの、いずれも病状を緩和する効果を有するのみであり、根本的な治療薬にはなっていない。一方、Aβの代謝研究では従来産生系に関わるβ及びγセクレターゼの解析が進められたため、ADの創薬研究においてもこれらの酵素を標的とする阻害剤の開発が先行し、複数の薬剤について臨床試験が行われた。しかしながら、副作用の問題などで次々と開発が中止されているのが現状である。それ以外の作用点である凝集沈着物の除去(Aβワクチン療法)や凝集抑制薬についても、臨床試験まで進んだものの、いずれの場合も副作用のため開発中止を余儀なくされている。

脳内Aβの分解システムについては、ネプリライシンと呼ばれるペプチダーゼが分解の責任酵素であることが報告されている(非特許文献1、2)。ネプリライシンは動物の種々の組織に存在する中性エンドペプチダーゼの一種であり、細胞外ドメインに触媒部位を有する膜結合型の酵素である。インビトロの実験では、エンケファリン、サブスタンスP、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、ガストリン放出ペプチド(GRP)、エンドセリン等がネプリライシンの基質になり得ることが知られている。

正常老化脳で観察されるAβ蓄積やADのアミロイド病態の進行と脳内のネプリライシンレベルの低下を関連づける結果が報告されている。正常マウスやADモデルマウスの大脳皮質や海馬で加齢と共に発現レベルが顕著に低下する。最近では、ヒトの場合にも同様な低下が起こることが明らかにされ、ネプリライシンレベルの低下と不溶性画分のAβ42レベルが逆相関することが報告されている。

AD脳におけるネプリライシンレベルの低下についてもまた、独立した複数の研究グループで一致した結果が報告されている。ADの前段階の海馬および側頭葉で、ネプリライシンの発現量およびタンパク量が50%近く低下していることが知られている。アミロイド病理に抵抗性を示す小脳ではネプリライシンの発現量は海馬や側頭葉に比較して高く、ネプリライシンの発現低下も認められない。一方で、アミロイド病理が進んだ剖検脳ではネプリライシンレベル低下はさらに強まって、対照群の70%まで激減することが示されている。

分解系に着目したAD治療薬はADの根本的治療薬として期待されているが、現在のところ、ネプリライシン遺伝子を利用したADの遺伝子治療の試みがモデルマウスを用いて行われている段階に過ぎない。

ポリフェノールは、抗酸化作用、コレステロール低下作用、抗菌作用などを有するとされ、健康維持に好影響を与えることが一般によく知られている。又、お茶由来成分のポリフェノールであるカテキンがADに効くという報告もある(非特許文献3~5)。ポリフェノールの1種であり、下記構造

【化1】
(省略)

を有する(-)-エピガロカテキン-3-O-ガレート(EGCg)は神経系細胞で中性エンドペプチダーゼの酵素活性を増大させることが報告されているが(非特許文献6~9)、これらの実験では中性エンドペプチダーゼの一般的な人工基質を用いているので、実際にどの酵素に作用したものか不明である。EGCgにアルキル鎖を付加し脂溶性(疎水性)を高め、生体内利用率(腸管での吸収効率や脳内移行性)を高めた誘導体が報告されている(特許文献1、非特許文献10)。イチョウ葉等に含まれるポリフェノールであるアメントフラボンにはAβ凝集抑制や細胞死保護効果が報告されている(非特許文献11、12)。多くの植物に含まれるポリフェノールであるアピゲニンにもAβ凝集抑制効果が報告されている(非特許文献13、14)。イチゴ等に含まれるケンプフェロールにもAβ産生抑制、Aβ凝集抑制、細胞死保護効果が知られている。
しかしながら、いずれのポリフェノールについてもネプリライシンとの関係を示す論文はなく、また、該ポリフェノールを誘導体化することによってより優れた抗AD効果が得られることは記載も示唆もされていない。

アミロイド前駆体蛋白質(APP)を代謝する酵素としてα、β及びγセクレターゼが知られている。β及びγセクレターゼによってAβが産生され、一方で、αセクレターゼはAβの内部でAPPを切断する。APPがαセクレターゼで代謝されるとAβが産生されないことから、αセクレターゼ活性の増強に着目したAD治療薬もまた期待されている。

Field of industrial application (In Japanese)

本発明は、従来の治療薬とは作用機序を異にする新規なアルツハイマー病(AD)治療薬に関する。詳細には、本発明は、アミロイドβペプチド(Aβ)の分解システムを担うペプチダーゼであるネプリライシンの活性を増強する作用及び/又はアミロイドβペプチド産生阻害に貢献するαセクレターゼの活性を増強する作用に基づいたADの予防及び/又は治療用薬剤に関する。

Scope of claims (In Japanese)
【請求項1】
 
ポリフェノール誘導体を有効成分として含有する、アルツハイマー病の予防及び/又は治療用薬剤。

【請求項2】
 
ポリフェノール誘導体が、脂溶性ポリフェノール誘導体である、請求項1記載の薬剤。

【請求項3】
 
脂溶性ポリフェノール誘導体が、脂溶性カテキン誘導体である、請求項2記載の薬剤。

【請求項4】
 
脂溶性カテキン誘導体が、式(I)で表される(-)-エピガロカテキン-3-O-ガレート誘導体又は(-)-エピカテキン-3-O-ガレート誘導体に脂溶性基が導入された化合物である、請求項3記載の薬剤。
【化1】
 
(省略)
(式中、n1はA環に結合する水酸基の数を示し、0~4の整数であり;n2はG環に結合する水酸基の数を示し、0~5の整数であり;n3はB環に結合する水酸基の数を示し、0~5の整数であり;n4はC環に結合する水酸基の数を示し、0又は1であり;n1+n2+n3+n4は2以上である。)

【請求項5】
 
脂溶性カテキン誘導体が、式(II)で表される(-)-エピガロカテキン誘導体又は(-)-エピカテキン誘導体に脂溶性基が導入された化合物である、請求項3記載の薬剤。
【化2】
 
(省略)
(式中、m1はA’環に結合する水酸基の数を示し、0~4の整数であり;m2はB’環に結合する水酸基の数を示し、0~5の整数であり;m3はC’環に結合する水酸基の数を示し、0~2の整数であり;m1+m2+m3は2以上である。)

【請求項6】
 
脂溶性基が、それぞれ置換基を有していてもよい、鎖状炭化水素基、環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂溶性ビタミン残基及びステロール残基からなる群より選択される、請求項4又は5に記載の薬剤。

【請求項7】
 
脂溶性基が置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基である、請求項4又は5に記載の薬剤。

【請求項8】
 
脂溶性基がA環又はA’環にC-C結合で直接導入されている、請求項4~7のいずれか1項に記載の薬剤。

【請求項9】
 
脂溶性基の導入にS-エステル結合又はO-エステル結合を使用しない、請求項4~7のいずれか1項に記載の薬剤。

【請求項10】
 
C環又はC’環の4位にカルボニル基が存在する、請求項4~9のいずれか1項に記載の薬剤。

【請求項11】
 
脂溶性ポリフェノール誘導体の分配係数(logP)が、対照として(-)-エピカテキン-3-O-ガレートを用いた場合、その1.8倍以上であることを特徴とする、請求項2記載の薬剤。

【請求項12】
 
ポリフェノール誘導体が、下記化合物群より選択される少なくとも1種である、請求項1記載の薬剤。
【化3】
 
(省略)
【化4】
 
(省略)

【請求項13】
 
ポリフェノール誘導体が、下記化合物群より選択される少なくとも1種である、請求項1記載の薬剤。
【化5】
 
(省略)

【請求項14】
 
ポリフェノール誘導体が、(i)カテキン又はプロアントシアニジンと、(ii)下記式
【化6】
 
(省略)
(式中、
R1は、炭化水素基を示し;
R2は、水素又は炭化水素基を示し;
R3は、水素又は炭化水素基を示し;
R4は、水酸基を示し、あるいは
R3及びR4は、一緒になってケト基を示す)
で表される化合物を反応させることによって製造されたカテキン誘導体またはプロアントシアニジン誘導体である、請求項1記載の薬剤。

【請求項15】
 
ポリフェノール誘導体が、(i)カテキン又はプロアントシアニジンと、(ii)2-ヘキセナール、2-ノネナール、シンナムアルデヒド、フェルラアルデヒド、p-クマルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ゲラニアール、ゲラニオール、ファルネサール、ファルネソール、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデセナール、フィトール、3-ノネン-2-オンまたはペリルアルデヒドとを、酸を加えて反応させることによって製造されたカテキン誘導体またはプロアントシアニジン誘導体である、請求項1記載の薬剤。

【請求項16】
 
ネプリライシン活性を増強することを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の薬剤。

【請求項17】
 
ネプリライシン活性の増強が、ネプリライシンの細胞表面への顕在化を促進することによるものである、請求項16記載の剤。

【請求項18】
 
αセクレターゼ活性を増強することを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載の薬剤。

【請求項19】
 
βセクレターゼ活性を阻害することを特徴とする、請求項1~18のいずれか1項に記載の薬剤。

【請求項20】
 
ネプリライシン活性を増強する効果、αセクレターゼ活性を増強する効果及びβセクレターゼ活性を阻害する効果からなる群より選択される少なくとも1種の効果を有することを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の薬剤。

【請求項21】
 
ポリフェノール誘導体を有効成分として含有する、ネプリライシン活性及び/又はαセクレターゼ活性の増強剤。

【請求項22】
 
βセクレターゼ活性を阻害する効果を有する、請求項21記載の剤。

【請求項23】
 
ポリフェノール誘導体を有効成分として含有する、βセクレターゼ活性の阻害剤。

【請求項24】
 
αセクレターゼ活性を増強する効果及び/又はβセクレターゼ活性を阻害する効果を有する、請求項23記載の剤。

【請求項25】
 
ポリフェノール誘導体が、脂溶性ポリフェノール誘導体である、請求項21~24のいずれか1項に記載の剤。

【請求項26】
 
脂溶性ポリフェノール誘導体が、脂溶性カテキン誘導体である、請求項25記載の剤。

【請求項27】
 
脂溶性カテキン誘導体が、式(I)で表される(-)-エピガロカテキン-3-O-ガレート誘導体又は(-)-エピカテキン-3-O-ガレート誘導体に脂溶性基が導入された化合物である、請求項26記載の剤。
【化7】
 
(省略)
(式中、n1はA環に結合する水酸基の数を示し、0~4の整数であり;n2はG環に結合する水酸基の数を示し、0~5の整数であり;n3はB環に結合する水酸基の数を示し、0~5の整数であり;n4はC環に結合する水酸基の数を示し、0又は1であり;n1+n2+n3+n4は2以上である。)

【請求項28】
 
脂溶性カテキン誘導体が、式(II)で表される(-)-エピガロカテキン誘導体又は(-)-エピカテキン誘導体に脂溶性基が導入された化合物である、請求項26記載の剤。
【化8】
 
(省略)
(式中、m1はA’環に結合する水酸基の数を示し、0~4の整数であり;m2はB’環に結合する水酸基の数を示し、0~5の整数であり;m3はC’環に結合する水酸基の数を示し、0~2の整数であり;m1+m2+m3は2以上である。)

【請求項29】
 
脂溶性基が、それぞれ置換基を有していてもよい、鎖状炭化水素基、環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂溶性ビタミン残基及びステロール残基からなる群より選択される、請求項27又は28に記載の剤。

【請求項30】
 
脂溶性基が置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基である、請求項27又は28に記載の剤。

【請求項31】
 
脂溶性基がA環又はA’環にC-C結合で直接導入されている、請求項27~30のいずれか1項に記載の剤。

【請求項32】
 
脂溶性基の導入にS-エステル結合又はO-エステル結合を使用しない、請求項27~30のいずれか1項に記載の剤。

【請求項33】
 
C環又はC’環の4位にカルボニル基が存在する、請求項27~32のいずれか1項に記載の剤。

【請求項34】
 
脂溶性ポリフェノール誘導体の分配係数(logP)が、対照として(-)-エピカテキン-3-O-ガレートを用いた場合、その1.8倍以上であることを特徴とする、請求項25記載の剤。

【請求項35】
 
ポリフェノール誘導体が、下記化合物群より選択される少なくとも1種である、請求項21~24のいずれか1項に記載の剤。
【化9】
 
(省略)
【化10】
 
(省略)

【請求項36】
 
ポリフェノール誘導体が、下記化合物群より選択される少なくとも1種である、請求項21~24のいずれか1項に記載の剤。
【化11】
 
(省略)

【請求項37】
 
ポリフェノール誘導体が、(i)カテキン又はプロアントシアニジンと、(ii)下記式
【化12】
 
(省略)
(式中、
R1は、炭化水素基を示し;
R2は、水素又は炭化水素基を示し;
R3は、水素又は炭化水素基を示し;
R4は、水酸基を示し、あるいは
R3及びR4は、一緒になってケト基を示す)
で表される化合物を反応させることによって製造されたカテキン誘導体またはプロアントシアニジン誘導体である、請求項21~24のいずれか1項に記載の剤。

【請求項38】
 
ポリフェノール誘導体が、(i)カテキン又はプロアントシアニジンと、(ii)2-ヘキセナール、2-ノネナール、シンナムアルデヒド、フェルラアルデヒド、p-クマルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ゲラニアール、ゲラニオール、ファルネサール、ファルネソール、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデセナール、フィトール、3-ノネン-2-オンまたはペリルアルデヒドとを、酸を加えて反応させることによって製造されたカテキン誘導体またはプロアントシアニジン誘導体である、請求項21~24のいずれか1項に記載の剤。
IPC(International Patent Classification)
F-term
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