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放射性セシウム吸着剤、その製造方法、および放射性セシウムの除去方法

国内特許コード P170014716
整理番号 176
掲載日 2017年12月14日
出願番号 特願2016-099442
公開番号 特開2017-207352
出願日 平成28年5月18日(2016.5.18)
公開日 平成29年11月24日(2017.11.24)
発明者
  • 市川 恒樹
  • 山田 一夫
出願人
  • 国立研究開発法人国立環境研究所
発明の名称 放射性セシウム吸着剤、その製造方法、および放射性セシウムの除去方法
発明の概要 【課題】本発明は、耐アルカリ性が高く、かつ、放射性セシウムを選択的に吸着できる放射性セシウム吸着剤等を提供する。
【解決手段】本発明の放射性セシウム吸着剤は、下記(1)式に示すセシウム含有フェロシアン化ニッケルを含むものである。
Cs(4/m-x/m-2/m)[NiFe(CN)]・・・・・・(1)
(上記(1)式において、xは0.1~1.0の実数を表し、Mはセシウム以外の正電荷
を有するアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを表し、mは1または2の整数を表す。)
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


福島第一原子力発電所の事故により、放射性セシウム(セシウム137とセシウム134)が広範囲に飛散したため、福島県に留まらず首都圏の焼却場でも、放射性セシウムで汚染された土壌や、放射性セシウムが濃縮した焼却灰が大量に発生するようになった。
この放射性セシウムの漏洩や拡散を阻止するには、放射性セシウムを含む土壌や焼却灰(以下「放射性セシウム汚染物」ということもある。)を、安全対策が施された保管施設に収納する方法が有効である。しかし、現状では保管施設の建設用地の取得が難しいため、放射性セシウム汚染物の多くは発生場所の近辺に仮置きされたままである。したがって、現在、放射性セシウム汚染物を安全に保管・処理することが、解決すべき喫緊の社会的課題になっている。



もっとも、放射性セシウム汚染物でも、放射性セシウムを除去すれば、通常の非放射能汚染廃棄物と同等に扱えるから、廃棄処理が容易になる。
従来、放射性セシウム汚染物から放射性セシウムを除去する方法は、放射性セシウム汚染物に水溶液を加えて処理する湿式処理と、該汚染物に化学薬品を加えて加熱処理する乾式処理が知られている。しかし、焼却灰に多く含まれるカリウムは、同じアルカリ金属であるセシウムと化学的性質が似ているため、前記除去方法では、放射性セシウムだけを分離して回収することができず、その結果、回収した放射性セシウムは、セシウムの総量の数万~数十万倍ものカリウムを含むことになる。また、焼却灰は水酸化カルシウム等のアルカリ性化合物を多く含むため、強アルカリ性を示す。
したがって、放射性セシウムで汚染された焼却灰から放射性セシウムを除去する上で、放射性セシウム吸着剤に必要な性能は、セシウムに対して数万~数十万倍のカリウムが存在する状況でも、放射性セシウムを選択的に吸着でき、かつ、強アルカリ性でも、吸着した放射性セシウムが吸着剤から離脱しないことである。かかる性能を有する放射性セシウム吸着剤なら、焼却灰からの放射性セシウムの吸着のほか、放射性セシウムを吸着した吸着剤に、セメントと水を加えて固型化した後、該セメント固型化物を安全に廃棄処理する方法(セメント固型化法)が適用できる可能性がある。このセメント固型化法は、廃棄物を簡便に固型化処理できるが、セメント固型化物はpH14程度の強アルカリ性を呈する場合があるから、セメント固型化法に用いる放射性セシウム吸着剤は、pH14程度の高い耐アルカリ性が要求される。



ところで、本発明者らは、フェロシアン化物溶液とニッケル塩溶液を混合して得られる、非水溶性の固体であるフェロシアン化ニッケルは、前記の性能を有すること(特許文献1)、また、フェロシアン化金属塩の濃厚溶液と、ニッケル塩の濃厚溶液若しくは固体状のニッケル塩、または、固体状のフェロシアン化金属塩とニッケル塩の濃厚溶液を、撹拌することなく接触させて接触界面に生じるフェロシアン化ニッケルは、耐アルカリ性がさらに向上すること(特許文献2)を見出し、放射性セシウムの選択的吸着性と耐アルカリ性に優れた放射性セシウム吸着剤を提案した。
しかし、特許文献2で提案したフェロシアン化ニッケルの耐アルカリ性は、pH13程度はあるもののpH14まではないため、該フェロシアン化ニッケルを、pH14程度になる放射性セシウム汚染物やセメント固型化法に用いると、フェロシアン化ニッケルが分解して、放射性セシウムを吸着できないおそれがあった。そのため、該フェロシアン化ニッケルを、pHが13.3を超える放射性セシウム汚染物等に使用する際は、塩化カルシウムなどのpH降下剤を添加してpHを調整する必要があった。

産業上の利用分野


本発明は、カリウムイオンなどの多種類の金属イオンが多量に存在する強アルカリ性の水中でも、放射性セシウムイオンを選択的に吸着できる放射性セシウム吸着剤、該吸着剤の製造方法、および該吸着剤を用いた放射性セシウムの吸着方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記(1)式に示すセシウム含有フェロシアン化ニッケルを含む放射性セシウム吸着剤。
Cs(4/m-x/m-2/m)[NiFe(CN)]・・・・・・(1)
(上記(1)式において、xは0.1~1.0の実数を表し、Mはセシウム以外の正電荷を有するアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを表し、mは1または2の整数を表す。)

【請求項2】
下記(a)~(c)から選ばれるいずれか1つのフェロシアン化ニッケルの生成工程と、
該生成したフェロシアン化ニッケルとセシウム塩の水溶液を混合して、フェロシアン化ニッケルに、セシウムイオンをイオン交換により吸着させて、下記(1)式に示すセシウム含有フェロシアン化ニッケルを生成させる、セシウム含有フェロシアン化ニッケルの生成工程を、
少なくとも含む、放射性セシウム吸着剤の製造方法。
[フェロシアン化ニッケルの生成工程]
(a)0~100℃の液温における飽和水溶液濃度の10~100%の濃度のニッケル塩の水溶液と、0~100℃の液温における飽和水溶液濃度の10~100%の濃度のフェロシアン化金属塩の水溶液を、撹拌せずに接触させた後、静置してフェロシアン化ニッケルを生成させる工程
(b)0~100℃の液温における飽和水溶液濃度の10~100%の濃度のニッケル塩の水溶液と、固体状のフェロシアン化金属塩を、撹拌せずに接触させた後、静置してフェロシアン化ニッケルを生成させる工程
(c)固体状のニッケル塩と、0~100℃の液温における飽和水溶液濃度の10~100%の濃度のフェロシアン化金属塩の水溶液を、撹拌せずに接触させた後、静置してフェロシアン化ニッケルを生成させる工程
[セシウム含有フェロシアン化ニッケル]
Cs(4/m-x/m-2/m)[NiFe(CN)]・・・・・・(1)
(上記(1)式において、xは0.1~1.0の実数を表し、Mはセシウム以外の正電荷を有するアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを表し、mは1または2の整数を表す。)

【請求項3】
前記セシウム含有フェロシアン化ニッケルの生成工程において、セシウム/フェロシアン化金属塩の混合比(モル比)が0.1~1.0である、請求項2に記載の放射性セシウム吸着剤の製造方法。

【請求項4】
セシウム含有フェロシアン化ニッケル/(放射性セシウム含有水中の放射性セシウム)のモル比が10以上となるように、請求項1に記載の放射性セシウム吸着剤と、放射性セシウム含有水を混合して、該放射性セシウム含有水中のセシウムを吸着して除去する、放射性セシウムの除去方法。

【請求項5】
さらに、放射性セシウムを吸着した放射性セシウム吸着剤(ただし、セシウム/フェロシアン化ニッケルのモル比は0.75以上)、または該吸着剤を含む放射性セシウム含有水と、セメントを混合して固型化する、請求項4に記載の放射性セシウムの除去方法。

【請求項6】
セシウム含有フェロシアン化ニッケル/(放射性セシウム含有水中のセシウム)のモル比が10以上となるように、放射性セシウム含有水、セシウム/フェロシアン化ニッケルのモル比が0.75以上の請求項1に記載の放射性セシウム吸着剤、およびセメントを混合して固型化する、放射性セシウムの除去方法。

【請求項7】
前記放射性セシウム含有水が、放射性セシウムを含む焼却灰の含水物、放射性セシウムを含む焼却灰のスラリー、放射性セシウムを含む焼却灰の洗浄水、または放射性セシウムを含む焼却灰からの漏出水から選ばれる1種以上である、請求項4~6のいずれか1項に記載の放射性セシウムの除去方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2016099442thum.jpg
出願権利状態 公開


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