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非相同末端連結欠損細胞及びその利用 新技術説明会

国内特許コード P170014722
整理番号 (16-1)
掲載日 2017年12月14日
出願番号 特願2017-091736
公開番号 特開2017-201978
出願日 平成29年5月2日(2017.5.2)
公開日 平成29年11月16日(2017.11.16)
優先権データ
  • 特願2016-094404 (2016.5.10) JP
発明者
  • 足立 典隆
出願人
  • 公立大学法人横浜市立大学
発明の名称 非相同末端連結欠損細胞及びその利用 新技術説明会
発明の概要 【課題】ポリメラーゼθの特異的阻害剤のスクリーニングや、ヒト等の動物細胞における遺伝子ターゲティングの効率向上に有用な手段を提供すること。
【解決手段】本願発明者は、鋭意研究の結果、非相同末端連結(NHEJ)の欠損に加えてポリメラーゼθ遺伝子を欠損させることにより、ヒトなどの哺乳動物細胞においても極めて高い効率で遺伝子ターゲティングを達成できることを見出した。さらに、NHEJが阻害された動物細胞、とりわけNHEJが欠損し且つポリメラーゼθ遺伝子をヘテロで欠損した動物細胞が、ポリメラーゼθのノックダウンによるランダム挿入頻度の低下を観察しやすく、またNHEJ欠損細胞にさらにポリメラーゼθ欠損を組み合わせることでDNA二本鎖切断誘発処理に対する感受性が増大することから、これらの特性を利用してポリメラーゼθ阻害剤をスクリーニングできることを見出した。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要


ポリメラーゼθ(POLθ、POLQとも呼ばれる)は、細胞に存在するDNAポリメラーゼのうちのひとつであり、損傷乗り越えDNA合成活性を持つ。乳がん(特にトリプルネガティブ乳がん)、非小細胞肺がん、胃がん、大腸がん、口腔扁平上皮がん、卵巣がん等の多くのがんでポリメラーゼθの発現レベルが上昇しており、悪性度、予後と高い相関がみられることが近年報告されている(非特許文献1~5)。また、ポリメラーゼθの発現抑制はがん細胞特異的に放射線増感作用を発揮するとの報告もある(非特許文献6)。これらの知見より、ポリメラーゼθの阻害が各種のがんの治療等に有効であると期待されている。



マウスではポリメラーゼθ遺伝子のノックアウトマウスが樹立されている(特許文献1)。特許文献1には、ポリメラーゼθ遺伝子の抑制と免疫疾患との関係が開示されているが、ポリメラーゼθ特異的阻害剤のスクリーニングに有用なツールは開示されていない。



一方、ベクターDNAのゲノム中へのランダムな挿入を効率的に抑制し、遺伝子ターゲティング効率を上昇させる技術として、アカパンカビ(ニューロスポラ属)等の糸状菌細胞において所定の遺伝子の機能を喪失させることにより非相同末端連結(non-homologous end joining; NHEJ)を抑制する手法が開示されている(特許文献2)。しかしながら、ヒトなどの哺乳動物細胞においては、相同組換えによらないランダム挿入の頻度が糸状菌細胞と比べてはるかに高く、またNHEJとは異なるさらなる非相同的組換え経路が存在することがわかっており、特許文献2と同様の手法を動物細胞に適用しても遺伝子ターゲティングの効率を上げることはできない。また、近年の研究から、ポリメラーゼθがNHEJとは異なる非相同的組換え経路に関わっている可能性が示唆されているが(非特許文献5)、遺伝子ターゲティングとの関連についての報告はなされていない。

産業上の利用分野


本発明は、非相同末端連結の機能が阻害された細胞、特には、非相同末端連結及びポリメラーゼθの機能が阻害された細胞、及びポリメラーゼθ阻害剤のスクリーニング等における該細胞の利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
変異又は遺伝的改変により非相同末端連結の機能が阻害されている、動物培養細胞。

【請求項2】
DNAリガーゼIV、Ku70、Ku80、DNA-PKcs、Artemis、XLF、XRCC4、PAXX、DNAポリメラーゼλ、DNAポリメラーゼμ、53BP1、PNKP、PALF、TDP1、TDP2、Aprataxin、及びWRNから選択される非相同末端連結関連遺伝子の機能が阻害されている、請求項1記載の動物培養細胞。

【請求項3】
前記非相同末端連結関連遺伝子の全てのアレルが破壊されたゲノムを有する、請求項2記載の動物培養細胞。

【請求項4】
哺乳動物培養細胞である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の動物培養細胞。

【請求項5】
ヒト培養細胞である、請求項4記載の動物培養細胞。

【請求項6】
変異又は遺伝的改変によりポリメラーゼθの機能がさらに阻害されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の動物培養細胞。

【請求項7】
ポリメラーゼθ遺伝子の少なくとも一部のアレルが破壊されたゲノムを有する、請求項6記載の動物培養細胞。

【請求項8】
相同組換え実験用、ゲノム改変実験用、又は遺伝子ターゲティング実験用の細胞である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の動物培養細胞。

【請求項9】
化合物の共存下及び非共存下において、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の動物培養細胞にマーカー遺伝子を含むDNA構築物を導入し、該細胞のゲノムへのDNA構築物のランダムな挿入を生じさせる工程、
マーカー遺伝子の発現を指標として、化合物共存下でのDNA構築物の挿入頻度、及び化合物非共存下でのDNA構築物の挿入頻度を調べる工程、
化合物共存下の挿入頻度が化合物非共存下の挿入頻度よりも低下した化合物を、ポリメラーゼθ阻害剤候補化合物として選択する工程
を含む、ポリメラーゼθ阻害剤のスクリーニング方法。

【請求項10】
前記マーカー遺伝子が薬剤耐性遺伝子である、請求項9記載の方法。

【請求項11】
前記マーカー遺伝子がルシフェラーゼ遺伝子である、請求項9記載の方法。

【請求項12】
DNA二本鎖切断処理を施した請求項1ないし5のいずれか1項に記載の動物培養細胞を化合物の共存下及び非共存下で培養し、細胞の生存率を調べる工程、
化合物共存下の細胞生存率が化合物非共存下の細胞生存率よりも低下した化合物を、ポリメラーゼθ阻害剤候補化合物として選択する工程
を含む、ポリメラーゼθ阻害剤のスクリーニング方法。

【請求項13】
DNA二本鎖切断誘発処理が、電離放射線照射、又はDNA二本鎖切断誘発剤による処理である、請求項12記載の方法。

【請求項14】
DNA二本鎖切断誘発剤が、トポイソメラーゼ2阻害剤、及び放射線類似作用物質から選択される薬剤である、請求項13記載の方法。

【請求項15】
DNA二本鎖切断誘発剤が、エトポシド、ブレオマイシン、及びネオカルチノスタチンから選択される薬剤である、請求項14記載の方法。

【請求項16】
前記動物培養細胞は、ポリメラーゼθ遺伝子の一部のアレルが破壊されたゲノムを有する、請求項9ないし15のいずれか1項に記載の方法。

【請求項17】
非相同末端連結の機能及びポリメラーゼθの機能が阻害された条件下において、ターゲティングベクターを動物培養細胞に導入し、該細胞内で相同組換えを生じさせることを含む、ゲノムが改変された動物培養細胞の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2017091736thum.jpg
出願権利状態 公開
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