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酸素同位体の分離方法及び分離装置 UPDATE コモンズ

国内特許コード P170014756
整理番号 N16114
掲載日 2017年12月25日
出願番号 特願2017-166528
公開番号 特開2019-042644
出願日 平成29年8月31日(2017.8.31)
公開日 平成31年3月22日(2019.3.22)
発明者
  • 金子 克美
  • クマー サンジーブ
出願人
  • 国立大学法人信州大学
発明の名称 酸素同位体の分離方法及び分離装置 UPDATE コモンズ
発明の概要 【課題】酸素同位体を効率的に分離する分離方法及び分離装置の提供。
【解決手段】a)182162とを含む酸素同位体ガスを吸着剤に吸着させる工程と、b)吸着剤に吸着された酸素同位体ガスを吸着剤から脱離させ、脱離ガスを回収する工程と、c)吸着剤から脱離された脱離ガス中の182162の濃度を計測する工程とを備え、a工程において吸着剤を、182162の分離係数S(182162)>1となる温度に制御し、c工程において、脱離ガス中の182の濃度が所定の濃度未満のときにはa工程とb工程とを繰り返し、脱離ガス中の182の濃度が所定の濃度以上となったときに、酸素同位体ガスを濃縮する工程を停止する、酸素同位体の分離方法。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要

酸素の同位体である16O、17O、18Oの自然界における存在比は、それぞれ99.759%、0.037%、0.204%である。これらの酸素同位体のうち18Oは、バイオメディカルの研究、腫瘍細胞の診断等への需要が近年きわめて増大している。しかしながら、従来の酸素同位体の分離方法は、処理工程が長く大きなエネルギーが必要であり、コストがかかることから、酸素同位体の医療分野等への有効利用を阻害するという問題があった。

酸素同位体を分離する方法として、最も一般的に利用されている方法は、水を蒸留する方法である。蒸留法ではH216とH218の蒸気圧の差を利用して18Oリッチの水H218を得る。しかしながら、この方法によって濃縮するにはきわめて長大なカラムを必要とする。非特許文献1には、320Kにおける酸素同位体の濃縮ファクタ(α)は 1.007であることが記載されている。
酸素同位体を濃縮する別の方法として、低温蒸留と水の蒸留を組み合わせる方法がある(特許文献1、2)。この方法では、巨大な蒸留塔(~500m)を用い、濃縮に長時間(1~6か月)かけることで、18Oの濃度を0.2%から95%まで高めている。
また、他の工業的な方法として、一酸化窒素の低温蒸留を利用する方法がある(非特許文献2、3)。この方法は、等方的な一酸化窒素を利用することで酸素同位体の効率的な蒸留を可能にするものである。
また、重い酸素同位体を含む酸素を出発材料として低温蒸留する方法が報告されている(特許文献3)。

別の方法として、クロマトグラフィーを利用する方法がある(特許文献4)。また、熱拡散の原理を利用して、エネルギーが等しく分子量が異なる酸素同位体を分離する方法が報告されている(非特許文献4、5)。また、半透膜を利用して分離する方法も報告されている(特許文献5、6、7、非特許文献6、7)。これらでは天然水での18Oの濃縮は蒸留処理に先立って半透膜を用いて行っている。特許文献8には、圧力を印加して酸素同位体を分離するAGMD (Air Gap Membrane Distillation)システムで、半透膜を多段階で使用する方法が記載されている。
1980年代においては、フッ化アルゴン(ArF)レーザを含むレーザを利用して分離する方法が行われていた(特許文献9)。そこでは、17Oまたは18Oを核種として含む酸素ガスを光で解離する方法が利用されている。高エネルギーのレーザ光を利用する方法として光ファイバーを使用する方法が提案されている(特許文献10、11)。この方法は、酸素同位体を含むオゾンガスを、光解離方法を利用して酸素もしくは過酸化物に分解して酸素同位体を濃縮するものであり、処理工程が簡易であり、処理時間が短いものの、商業的方法として未だ実現されていない。

産業上の利用分野

本発明は、酸素16Oと酸素18Oとの混合ガスから、16Oと18Oとを分離する酸素同位体の分離方法及びこの分離方法を利用した分離装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
活性炭素繊維を吸着剤として、酸素同位体を分離する酸素同位体の分離方法であって、
a)182162とを含む酸素同位体ガスを前記吸着剤に吸着させる工程と、
b)前記吸着剤に吸着された酸素同位体ガスを前記吸着剤から脱離させ、脱離ガスを回収する工程と、
c)前記b)工程により前記吸着剤から脱離された脱離ガス中の182162の濃度を計測する工程とを備え、
前記a)工程においては、前記吸着剤を、182162の分離係数S(182162)>1となる温度に制御し、
前記c)工程においては、前記脱離ガス中の182の濃度が所定の濃度未満のときには前記a)工程とb)工程とをこの順に繰り返し、前記脱離ガス中の182の濃度が所定の濃度以上となったときに、酸素同位体ガスを濃縮する工程を停止することを特徴とする酸素同位体の分離方法。

【請求項2】
前記a)工程に続いて、前記吸着剤に吸着されていない未吸着ガスを排出する工程を備えることを特徴とする請求項1記載の酸素同位体の分離方法。

【請求項3】
前記a)工程においては、前記吸着剤の温度を、77K~130Kに保持することを特徴とする請求項1または2記載の酸素同位体の分離方法。

【請求項4】
前記活性炭素繊維として、平均細孔径が0.65nm~1.1nmの活性炭素繊維を使用することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載の酸素同位体の分離方法。

【請求項5】
前記a)工程においては、酸素同位体ガスを前記吸着剤に接触させる時間を10分間程度に設定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項記載の酸素同位体の分離方法。

【請求項6】
吸着剤として活性炭素繊維が収容されたチェンバーと、
前記チェンバーに酸素同位体を含むガスを供給する機構と、
該チェンバーに前記酸素同位体を含むガスを導入した後、前記吸着剤に吸着されなかったガスを排出する排出機構と、
前記吸着剤に吸着されたガスを前記吸着剤から脱離させる脱離機構と、
前記脱離ガス中における182162の濃度を計測する計測機構と、
前記チェンバーに収容された吸着剤の温度を制御する温度制御機構と、
前記計測機構による計測結果に基づき、前記温度制御機構により前記吸着剤の温度を制御するとともに、前記脱離ガス中の182の濃度が所定の濃度未満のときには、前記脱離ガスを吸着剤として活性炭素繊維が収容されたチェンバーに導入し、前記脱離ガス中の182の濃度が所定の濃度以上となったときには酸素同位体ガスの分離処理操作を停止する制御機構とを備えることを特徴とする酸素同位体の分離装置。

【請求項7】
前記温度制御機構は、前記吸着剤を、182162の分離係数S(182162)>1となる温度に制御する手段を備えることを特徴とする請求項6記載の酸素同位体の分離装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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