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毛細血管網様の微小流路を有する微小流路構造体の製造方法 NEW

国内特許コード P180014794
整理番号 S2016-0825-N0
掲載日 2018年1月24日
出願番号 特願2016-115661
公開番号 特開2017-217323
出願日 平成28年6月9日(2016.6.9)
公開日 平成29年12月14日(2017.12.14)
発明者
  • 武井 孝行
  • 吉田 昌弘
  • 大角 義浩
  • 柳 雄介
出願人
  • 国立大学法人 鹿児島大学
発明の名称 毛細血管網様の微小流路を有する微小流路構造体の製造方法 NEW
発明の概要 【課題】毛細血管網様の微小流路を有する微小流路構造体を短時間で形成させる手段を提供する。
【解決手段】微小流路構造体は、ゼラチンを含む芯成分と、アルギン酸のアルカリ金属塩を含む鞘成分とを、25℃以下の温度の二価陽イオンを含む繊維形成液中に共押出して、ゼラチンを含む芯部とアルギン酸の二価陽イオン塩を含む鞘部とを有するゼラチン芯鞘繊維を、繊維形成液から引取り紡糸する工程;ゼラチン芯鞘繊維とキレート剤又はアルギン酸加水分解酵素とを接触させて鞘部を溶解し、2~25μmの直径を有するゼラチン繊維を得る工程;ゼラチン繊維を、コラーゲン及びフィブリンからなる群より選択される1種以上のゲル化剤に浸漬する工程;ゼラチン繊維を浸漬したゲル化剤をゲル化して、ゼラチン繊維をゲルに包埋する工程;ゲルに包埋されたゼラチン繊維を、25℃を超える温度で溶解させて、微小流路をゲル中に形成させる工程により形成することが出来る。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


臓器移植は、難治性臓器疾患の唯一の根治療法である。しかしながら、移植用の臓器の提供者(ドナー)の不足により、臓器移植による治療を受けられる難治性臓器疾患患者は多くない。生体外において人工臓器を製造することができれば、臓器移植による治療を受けられる患者数を増加させ、結果として該患者の救命率を向上させることができる。



生体内において、血管は重要な役割を担っている。特に、毛細血管は、生体組織内の細胞に酸素及び栄養素を供給する極めて重要な役割を担っている。毛細血管は、通常は、血球が通過し得る直径、例えば、約10 μmの直径を有する。また、生体内において、毛細血管は、三次元網状又は綿飴状の形状を有する毛細血管網を構成する。微小形状を有する毛細血管網により、生体組織内の細胞は、十分な量の酸素及び栄養素を受け取ることができる。このような毛細血管網の働きにより、生体は、0.1~1.5 Lに及ぶ大型の臓器を維持することができる。それ故、生体外において人工臓器を製造する場合、毛細血管網様の形状を有する微小流路を形成させる手段が必要となる。



例えば、非特許文献1は、血管の内腔を覆っている血管内皮細胞をコラーゲン等の生体由来タンパク質からなるゲル中で培養し、その細胞に自発的に毛細血管様構造体を形成させる方法を記載する。



非特許文献2は、3Dプリント技術を応用して、コラーゲンゲル中にゼラチンゲルファイバーを配置し、それを昇温しファイバーのみを溶解させることで、同ゲル中に流路を作製する方法を記載する。



非特許文献3は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる直径10 μm程度のファイバーを調製し、そのファイバーの束をアガロースゲル内に包埋し、ファイバーのみを特異的に溶解することで、ゲル内に毛細血管網様流路ネットワークを作製したことを記載する。



特許文献1は、アルギン酸ナトリウム及びタンパク質が溶解された第一の水溶液を導入するための少なくとも一つの入口A1~Am(m≧1)と、ゲル化剤水溶液を導入するための少なくとも一つの入口G1~Gn(n≧1)と、入口A1~Am及び入口G1~Gnにそれぞれ接続される入口流路CA1~CAm及びCG1~CGnと、入口流路CA1~CAm及び入口流路CG1~CGnが同時或いは段階的に合流する合流流路Mと、合流流路Mの下流に存在する出口Oを有する流路構造Xに対し、前記第一の水溶液及び前記ゲル化剤水溶液をそれぞれ流路構造Xに連続的に導入し、流路構造Xの内部において、前記第一の水溶液を連続的にゲル化してハイドロゲルを形成し、その後、流路構造Xの外部或いは内部において、前記ハイドロゲルに含まれる前記タンパク質を化学的に架橋し、さらに前記ハイドロゲルに含まれるアルギン酸を除去する、繊維状タンパク質材料の作製方法を記載する。

産業上の利用分野


本発明は、三次元網状の微小流路を有する微小流路構造体、特に毛細血管網様の微小流路を有する微小流路構造体の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ゼラチンを含む芯成分と、アルギン酸のアルカリ金属塩を含む鞘成分とを、25℃以下の温度の二価陽イオンを含む繊維形成液中に共押出して、ゼラチンを含む芯部とアルギン酸の二価陽イオン塩を含む鞘部とを有するゼラチン芯鞘繊維を、繊維形成液から引取り紡糸する、ゼラチン芯鞘繊維紡糸工程;
ゼラチン芯鞘繊維とキレート剤又はアルギン酸加水分解酵素であるアルギン酸除去剤とを接触させて、アルギン酸の二価陽イオン塩を含む鞘部を溶解させて2~25 μmの直径を有するゼラチン繊維を得る、ゼラチン繊維形成工程;
ゼラチン繊維を、コラーゲン及びフィブリンからなる群より選択される1種以上のゲル化剤に浸漬する、浸漬工程;
ゼラチン繊維を浸漬したゲル化剤をゲル化して、ゼラチン繊維をゲルに包埋する、ゲル化工程;
ゲルに包埋されたゼラチン繊維を、25℃を超える温度で溶解させて、微小流路をゲル中に形成させる、微小流路形成工程;
を含み、
ゼラチン芯鞘繊維紡糸工程が、下記の式:
【数1】


[式中、
Dは、ゼラチン芯鞘繊維の芯部の直径(cm)であり、
Qは、芯成分及び鞘成分の総押出流量(ml/分)であり、
Rは、芯成分及び鞘成分の総押出流量に対する芯成分の押出流量の比であり、
vは、ゼラチン芯鞘繊維の引取速度(cm/分)であり、
πは、円周率である。]
で表される関係を満たす条件で実施される、前記ゲルとゲル中に2~25 μmの範囲の直径の三次元網状の微小流路とを有する、微小流路構造体の製造方法。

【請求項2】
ゼラチン芯鞘繊維紡糸工程において、
ゼラチン芯鞘繊維の芯部の直径Dが、2~25 μmの範囲であり、
芯成分及び鞘成分の総押出流量Qが、0.5~6 ml/分の範囲であり、
芯成分及び鞘成分の総押出流量に対する芯成分の押出流量の比Rが、0.0000293~0.00283の範囲であり、且つ
ゼラチン芯鞘繊維の引取速度vが、300~900 cm/分の範囲である、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
ゼラチン繊維形成工程で得られたゼラチン繊維を、エタノール、2-プロパノール若しくはメタノール、又はそれらの混合物である低融点有機溶媒中で脱水し、次いで脱水したゼラチン繊維を、低融点有機溶媒、又はtert-ブチルアルコール若しくはジメチルスホキシド、又はそれらの混合物である中融点有機溶媒中で凍結乾燥して、三次元網状のゼラチン繊維を得る、凍結乾燥工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
共押出が、同心円状に配設された2個の吐出口を有するダイの中心部吐出口から芯成分を、外周部吐出口から鞘成分を、それぞれ吐出することによって実施され、中心部吐出口の直径が、200~600 μmの範囲であり、外周部吐出口の直径が、200~1000 μmの範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
ゼラチン芯鞘繊維紡糸工程で使用される芯成分が、1~50 w/v% ゼラチン水溶液である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
ゼラチン芯鞘繊維紡糸工程で使用される鞘成分が、0.1~10 w/v% アルギン酸ナトリウム水溶液である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。

【請求項7】
ゼラチン芯鞘繊維紡糸工程で使用される二価陽イオンを含む繊維形成液が、10~6000 mM 塩化カルシウム水溶液である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。

【請求項8】
アルギン酸除去剤が、10~1000 mM クエン酸水溶液である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。

【請求項9】
コラーゲン及びフィブリンからなる群より選択される1種以上のゲル化剤を含むゲルと、該ゲル中に2~25 μmの範囲の直径の三次元網状の微小流路とを有する、微小流路構造体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2016115661thum.jpg
出願権利状態 公開
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