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エルゴチオネインの産生方法

国内特許コード P180014814
整理番号 S2016-0843-N0
掲載日 2018年2月27日
出願番号 特願2016-122379
公開番号 特開2017-225368
出願日 平成28年6月21日(2016.6.21)
公開日 平成29年12月28日(2017.12.28)
発明者
  • 谷 明生
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 エルゴチオネインの産生方法
発明の概要 【課題】安全性が高く、容易にエルゴチオネイン(Ergothioneine:EGT)を産生し、製造する方法の提供。
【解決手段】エルゴチオナーゼをコードする遺伝子の発現が抑制されることにより、エルゴチオナーゼ活性が欠損又は低減しているMethylobacterium属細菌、あるいは、Aureobasidium属の微生物を、炭素源を含む培地を用いて培養する工程を含む、エルゴチオネインの製造方法。またエルゴチオネイン産生細胞を、アミノ酸源として酵母エキスを含有し、かつ、炭素源を含有する培地を用いて培養する工程を含む、エルゴチオネインの製造方法。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


エルゴチオネインはアミノ酸の一種であり、高い抗酸化活性を有するが、その生物学的な役割は不明な点が多い。ヒドロキシラジカルを早く消去できることから、細胞内の活性酸素除去に関わっていると考えられている。エルゴチオネインはヒスチジンから生合成され、イオウ原子はシステインから供給される。しかしながら、エルゴチオネインは哺乳類の体内では合成されないため、外部から摂取する必要がある。



エルゴチオネインの製造方法として、例えば化学合成法、エルゴチオネインを産生する子のう菌や担子菌を培養後、エルゴチオネインを抽出精製する方法、発酵法、エルゴチオネインを含有する動物血液等から抽出する方法等がある。しかしながら、エルゴチオネインを生産する生物についての情報はそう多くなく、限られたカビ、キノコ、バクテリアでその生産の報告があるのみであり(非特許文献1~3)、大量に蓄積する生物についての情報はさらに限られている。例えば、分裂酵母のSchizosaccharomyces pombeについて、グルコースを枯渇した条件下でのメタボローム解析を行ったところ、代謝産物としてエルゴチオネインが生成されることが報告されている(非特許文献4,5)。



他のエルゴチオネイン産生方法として、タモギタケ(Pleurotus cornucopiae var. citrinopileatus)から抽出したエルゴチオネインは最適条件で生産量が450 mg/Lに達することが報告されている(特許文献1)。特許文献1に記載の方法は高い生産性を示しているが、培養時間が長いこと、菌体からの抽出に有機溶媒を用いていること、培地中にメチオニンを添加しており、コストなどについて問題が残されていると考えられる。また、特許文献2に示す化学合成方法で得られたエルゴチオネインは、合成試薬が高価であり、精製にもコストがかかるなどの問題点が残されている。カビ、キノコ、バクテリアでその生産に関し、生産量として特許文献1に示す方法を超える報告はない。



近年、Mycobacterium属細菌においてエルゴチオネインの生合成経路が明らかにされ、その遺伝子が幅広い微生物に保存されていることが報告されている(非特許文献6)。クラスターを形成しているegtABCDE遺伝子はエルゴチオネイン合成遺伝子としてMycobacterium属細菌に認められ、egtBとegtDのホモログ遺伝子もMethylobacterium属細菌を含んだ多くの真核生物や細菌において認められている。egtABCDE遺伝子はヒスチジンをエルゴチオネインに変換するタンパク質をコード化する遺伝子である。またエルゴチオネインの代謝に関わる酵素として、エルゴチオナーゼ(ergothionase)が知られている。エルゴチオナーゼはエルゴチオネインをチオウロカン酸(thiolurocanic acid)とトリメチルアミンに分解する酵素である。1962年に大腸菌やBacillus subtilisStaphylococcus aureusSalmonella typhimuriumに活性が見いだされ、大腸菌から部分精製されていた(非特許文献3)。その後エルゴチオナーゼをコードする遺伝子が、Burkholderia sp. HME13から初めてクローニングされた(非特許文献7)。

産業上の利用分野


本発明は、エルゴチオネインを産生し得る微生物、微生物を用いたエルゴチオネインの産生方法及び製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
エルゴチオナーゼをコードする遺伝子の発現が抑制されることにより、エルゴチオナーゼ活性が欠損又は低減している、Methylobacterium属細菌。

【請求項2】
エルゴチオナーゼをコードする遺伝子が、以下の(a)及び(b)から選択されるいずれかのDNAからなる、請求項1に記載のMethylobacterium属細菌:
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるエルゴチオナーゼをコードするDNA;
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列に対し30%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、エルゴチオナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。

【請求項3】
さらに、エルゴチオネイン合成遺伝子が導入されている、請求項1又は2に記載のMethylobacterium属細菌。

【請求項4】
エルゴチオネイン合成遺伝子がegtBD遺伝子である、請求項3に記載のMethylobacterium属細菌。

【請求項5】
Methylobacterium属細菌が、受託番号NITE P-02274として寄託されたものである、請求項1~4のいずれかに記載のMethylobacterium属細菌。

【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のMethylobacterium属細菌を、炭素源を含有する培地を用いて培養する工程を含む、エルゴチオネインの製造方法。

【請求項7】
アミノ酸源として酵母エキスを含有し、かつ、炭素源を含有する培地を用いて、エルゴチオネイン産生細胞を培養する工程を含む、エルゴチオネインの製造方法。

【請求項8】
酵母エキスが、0.01~5%で培地中に含有される、請求項7に記載のエルゴチオネインの製造方法。

【請求項9】
さらに、カザミノ酸、トリプトン、麦芽エキス、及びペプトンからなる群から選択される少なくとも1以上を含有する培地を用いる、請求項7又は8に記載のエルゴチオネインの製造方法。

【請求項10】
カザミノ酸が0.1~5%で培地中に含有され、及び/又は、トリプトンが0.1~5%で培地中に含有される、請求項9に記載のエルゴチオネインの製造方法。

【請求項11】
炭素源が、メタノール及び/又はグリセリンを含む、請求項7~10のいずれかに記載のエルゴチオネインの製造方法。

【請求項12】
エルゴチオネイン産生細胞が、Methylobacterium属細菌、カビ、及び/又は担子菌酵母から選択される少なくとも1種の細胞を含む、請求項7~11のいずれかに記載のエルゴチオネインの製造方法。

【請求項13】
Aureobasidium属の微生物を、炭素源を含む培地を用いて培養する工程を含む、エルゴチオネインの製造方法。

【請求項14】
Aureobasidium属の微生物が、受託番号NITE P-02275として寄託されたものである、請求項13に記載のエルゴチオネインの製造方法。

【請求項15】
受託番号NITE P-02275として寄託されたものである、Aureobasidium属の微生物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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