TOP > 国内特許検索 > モザイク荷電膜の製造方法及びモザイク荷電膜

モザイク荷電膜の製造方法及びモザイク荷電膜 UPDATE

国内特許コード P180014871
整理番号 S2016-0774-N0
掲載日 2018年4月19日
出願番号 特願2016-144294
公開番号 特開2018-012084
出願日 平成28年7月22日(2016.7.22)
公開日 平成30年1月25日(2018.1.25)
発明者
  • 比嘉 充
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 モザイク荷電膜の製造方法及びモザイク荷電膜 UPDATE
発明の概要 【課題】電解質の透過流束や電解質選択透過性が大きく、機械的強度に優れたモザイク荷電膜の製造方法及びモザイク荷電膜を提供することにある。
【解決手段】(1)正荷電基又は負荷電基を有する高分子膜にイオンビームを照射する工程、及び(2)前記イオンビームを照射した箇所に、前記高分子膜の荷電基とは反対符号の正荷電基又は負荷電基を有するモノマーをグラフト重合する、あるいは前記イオンビームを照射した箇所に、正荷電基又は負荷電基を化学反応により導入可能な反応基を有するモノマーをグラフト重合し、その後、前記高分子膜の荷電基とは反対符号の正荷電基又は負荷電基を導入する工程、を含む工程によりモザイク荷電層を形成することを特徴とするモザイク荷電膜の製造方法。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


モザイク荷電膜は、カチオン交換領域とアニオン交換領域が交互にかつ並列に配列し、各領域が膜の両面まで貫通した膜である。この独特な荷電構造は、外部からの電流を必要とすることなく対象溶液中の低分子量イオンの透過を促進することができる。正荷電領域と負荷電領域がモザイク状に並べられると、それぞれの領域の電位の方向が互いに逆であるため、膜の両側の塩溶液部分が抵抗となる電気回路ができる。その回路に流れる電流のようにカチオンとアニオンがそれぞれ負荷電領域、正荷電領域を通って輸送されることで循環電流が生じ、塩の輸送が促進される。このことはモザイク荷電膜が、外部からの電流が必要な、一種類の固定電荷を有するイオン交換膜と異なり、イオン輸送を引き起こす機構を膜自体に内在させていることを意味する。



モザイク荷電膜として種々の手法により作製されたものが報告されている。特許文献1(特開昭59-203613)には、ブロック共重合体のミクロ相分離現象を利用して作製したモザイク荷電膜を用いる有機化合物の脱塩方法が記載されている。しかしながら、ブロック共重合体のミクロ相分離現象を利用してモザイク荷電膜を作製する方法は、ブロック共重合体の特定部位を変性させるなど非常に煩雑な操作かつ高度な技術が必要であり、しかも高コストになることから、モザイク荷電膜を容易に大面積化し、かつ安価に製造することは困難であるという問題がある。



特許文献2(特開2006-297338)には、膜形成ポリマー、該膜形成ポリマーを溶解し得る溶媒、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を混合し、ポリマー溶液に陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を分散させて均一なポリマー分散液を調製する工程、及び前記ポリマー分散液を基材上に塗布及び延伸し、乾燥して凝固させた後、得られた膜から溶媒を除去し、洗浄する工程を行うことを特徴とする、モザイク荷電膜の製造方法が記載されている。この方法により得られたモザイク荷電膜は、圧透析実験において圧力上昇とともに塩透過量も増加した。しかし、このモザイク荷電膜では膜マトリックスとイオン交換樹脂が化学的に結合されていないため、その界面において水や中性溶質の漏れが生じるため、高い塩選択透過性を達成することは困難である。



特許文献3(特開平8-155281)には、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーのいずれか一方のイオン性ポリマーが形成する架橋連続相中に、連続相形成ポリマーと少なくとも反対イオン性のポリマーが平均粒子径0.01~10μmの架橋粒子として分散してなるカチオン性ポリマードメインとアニオン性ポリマードメインからなるモザイク荷電膜を製造する方法において、前記膜の連続相を形成するいずれか一方のイオン性ポリマーの溶液に少なくとも連続相形成ポリマーと反対イオン性のポリマーの球状微粒子を分散させた分散液を用いて膜を形成し、該膜中の少なくとも連続相を架橋させ、次いで水又は水溶液浸漬処理することを特徴とするモザイク荷電膜の製造方法が記載されている。この方法で製造される膜は、ドメインサイズや膜厚の調整が容易であり、また最大の利点は比較的容易に大面積の膜の作製が可能である点である。しかし、この製造方法では、平均粒子径が小さい重合体微粒子を調製しなければならず、高度な技術及び長時間を要するといった問題がある。しかも得られるモザイク荷電膜は、含水性の高いミクロゲルで構成されているため、耐圧性が非常に低く、特に構造上、膜マトリックスと陽、陰ミクロゲル界面との接着性が完全ではないため、高い電解質透過性を有するモザイク荷電膜の作製が困難であり、また機械的強度も十分とは言えない。そのため、拡散透析用の膜としては使用可能であるものの、圧透析用の膜としては使用に耐えないか、もしくは耐久性に極めて劣るといった欠点を有する。



非特許文献1(J.Membr.Sci.,Vol.310,p.466(2008))には、積層法によって作製されたモザイク荷電膜が記載されている。当該積層法では、ポリビニルアルコールとポリアニオンから陽イオン交換膜を、ポリビニルアルコールとポリカチオンから陰イオン交換膜を作製し、これらをポリビニルアルコールを接着剤として交互に貼り合わせることにより積層荷電ブロックを作製し、得られたブロックを積層面と垂直にラボカッターで切断した後、架橋処理を行うことによって、約150μmの膜厚を有する積層モザイク荷電膜を作製している。このようにして得られた積層モザイク荷電膜のKClの塩流束JKClは3.0×10-9mol・cm-2・s-1、電解質選択透過性αは2300と非常に高い塩選択透過性を示すことが記載されている。引張強度は荷電層と平行な方向で5.7MPaであったが、垂直方向で2.7MPaであり、拡散透析用には使用可能であるが、圧透析用に使用するには、より強度を高める必要がある。



非特許文献2(繊維学会予稿集 Vol.56,No.1,p.33(2001))には、ポリビニルアルコールを膜マトリックスとするポリマーブレンド法によって作製されたモザイク荷電膜が記載されている。当該ポリマーブレンド法では、ポリビニルアルコールとイタコン酸基を含有するビニル化合物を2mol%共重合組成として含有する変性PVAポリアニオンの水溶液に、イタコン酸基のカルボキシル基からの水素イオンの解離を抑制するために塩酸を加えて酸性にした溶液と、ポリビニルアルコールとポリアリルアミン塩酸塩水溶液とを混合することでポリマーブレンド水溶液を調製した。この溶液をガラス板などにキャストして膜を得た後、化学的架橋を行うことによってモザイク荷電膜を得ている。このようにして得られたモザイク荷電膜のKClの塩流束JKClは1.7×10-8mol・cm-2・s-1であり、電解質選択透過性αは48であり、比較的高い値を示すことが記載されているけれども、より高い電解質選択透過性αが望まれている。また、酸性溶液では塩選択透過性が低下するという問題も有している。

産業上の利用分野


本発明は、モザイク荷電膜の製造方法及びモザイク荷電膜に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
(1)正荷電基又は負荷電基を有する高分子膜にイオンビームを照射する工程、及び
(2)前記イオンビームを照射した箇所に、前記高分子膜の荷電基とは反対符号の正荷電基又は負荷電基を有するモノマーをグラフト重合する、あるいは前記イオンビームを照射した箇所に、正荷電基又は負荷電基を化学反応により導入可能な反応基を有するモノマーをグラフト重合し、その後、前記高分子膜の荷電基とは反対符号の正荷電基又は負荷電基を導入する工程、
を含む工程によりモザイク荷電層を形成することを特徴とするモザイク荷電膜の製造方法。

【請求項2】
(1)高分子膜にイオンビームを照射する工程、
(2)前記イオンビームを照射した箇所に、正荷電基又は負荷電基を有するモノマーをグラフト重合する、あるいは前記イオンビームを照射した箇所に、正荷電基又は負荷電基を化学反応により導入可能な反応基を有するモノマーをグラフト重合し、その後、正荷電基又は負荷電基を導入する工程、
(3)前記(2)工程の後、さらに前記高分子膜にイオンビームを照射する工程、及び
(4)前記(3)工程でイオンビームを照射した箇所に、前記(2)工程でグラフト重合された前記モノマーが有する荷電基又は導入された前記荷電基とは反対符号の正荷電基又は負荷電基を有するモノマーをグラフト重合する、あるいは前記(3)工程でイオンビームを照射した箇所に、正荷電基又は負荷電基を化学反応により導入可能な反応基を有するモノマーをグラフト重合し、その後、前記(2)工程でグラフト重合された前記モノマーが有する荷電基又は導入された前記荷電基とは反対符号の正荷電基又は負荷電基を導入する工程、
を含む工程によりモザイク荷電層を形成することを特徴とするモザイク荷電膜の製造方法。

【請求項3】
高分子膜が、多孔質支持層上に形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載のモザイク荷電膜の製造方法。

【請求項4】
正荷電基又は負荷電基を有する高分子膜中に、グラフト重合物が複数箇所配置されているモザイク荷電層を有するモザイク荷電膜であって、
前記グラフト重合物が、前記高分子膜の厚み方向にイオンビームが照射された照射領域における、前記高分子膜と反対符号の荷電基を有するモノマーと前記高分子膜とのグラフト重合物である、あるいは前記グラフト重合物が、前記高分子膜の厚み方向にイオンビームが照射された照射領域における、正荷電基又は負荷電基を化学反応により導入可能な反応基を有するモノマーと前記高分子膜とのグラフト重合物であり、かつ前記高分子膜と反対符号の荷電基が導入されているグラフト重合物であることを特徴とするモザイク荷電膜。

【請求項5】
高分子膜中に、グラフト重合物が複数箇所配置されているモザイク荷電層を有するモザイク荷電膜であって、
前記グラフト重合物が、前記高分子膜の厚み方向にイオンビームが照射された照射領域における、正荷電基を有するモノマーと前記高分子膜とのグラフト重合物、及び前記高分子膜の厚み方向にイオンビームが照射された照射領域における、正荷電基を化学反応により導入可能な反応基を有するモノマーと前記高分子膜とのグラフト重合物であり、かつ正荷電基が導入されているグラフト重合物から選ばれる少なくとも1種と、前記高分子膜の厚み方向にイオンビームが照射された照射領域における、負荷電基を有するモノマーと前記高分子膜とのグラフト重合物、及び前記高分子膜の厚み方向にイオンビームが照射された照射領域における、負荷電基を化学反応により導入可能な反応基を有するモノマーと前記高分子膜とのグラフト重合物であり、かつ負荷電基が導入されているグラフト重合物から選ばれる少なくとも1種とを含むことを特徴とするモザイク荷電膜。

【請求項6】
モザイク荷電層の膜厚が、0.1~80μmであることを特徴とする請求項4又は5記載のモザイク荷電膜。

【請求項7】
モザイク荷電層が、多孔質支持層上に配置されていることを特徴とする請求項4~6の何れかに記載のモザイク荷電膜。

国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2016144294thum.jpg
出願権利状態 公開


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close