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TCRの細胞傷害活性誘導能を評価するためのNK細胞株、およびその作製方法 UPDATE

国内特許コード P180014896
整理番号 H25-S16
掲載日 2018年4月26日
出願番号 特願2014-110963
公開番号 特開2015-223143
出願日 平成26年5月29日(2014.5.29)
公開日 平成27年12月14日(2015.12.14)
発明者
  • 小林 栄治
  • 浜名 洋
  • 小澤 龍彦
  • 岸 裕幸
  • 村口 篤
出願人
  • 国立大学法人富山大学
発明の名称 TCRの細胞傷害活性誘導能を評価するためのNK細胞株、およびその作製方法 UPDATE
発明の概要 【課題】TCR遺伝子の細胞傷害活性誘導能を評価する方法を提供する。
【解決手段】NK細胞株に由来し、CD3鎖をコードする複数の遺伝子をポリシストロニックに連結した発現カセットが導入されており、TCR遺伝子が導入されたときにCD3-TCR複合体を細胞膜上に形成可能である、TCRの細胞障害活性を評価するための、細胞株を用いる。由来するNK細胞株は、好ましくはKYHG-1、KANK-1、NK-92、NKLまたはNK-YSである。発現カセットは、好ましくはCD3γ遺伝子、CD3δ遺伝子、CD3ε遺伝子およびCD3ζ遺伝子が各々2Aペプチドをコードするポリヌクレオチドで連結されたものであり、細胞株にはさらに、IL-2遺伝子が発現可能に導入されていることが好ましい。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


TCR遺伝子治療は、がんのテーラーメイド医療として注目を集めている新しい養子免疫療法の一つであり、がん患者のT細胞に、がん細胞に発現する腫瘍抗原を認識できるTCR遺伝子を導入する。この際に、高い細胞障害活性誘導能を有するTCRを導入することが重要であり、そのため、TCR遺伝子の細胞傷害活性誘導能を評価するための種々の検証方法が提案されている。例えば、レトロウイルスを用いて目的TCR遺伝子をヒトTリンパ球に導入し、細胞表面に発現させ、そして51Choromium標識した標的細胞とこれらTリンパ球を共培養し、培養上清中に放出される51Choromiumの量より、TCR遺伝子の細胞傷害活性誘導能を検証することが提案されている(非特許文献1)。



α鎖とβ鎖から構成されるTCRは、細胞膜上ではさらにCD3分子と結合し、複合体を形成している。CD3は細胞内領域にITAM (immunoreceptor tyrosine-based activation motif) と呼ばれるアミノ酸配列を持ち、このモチーフが細胞内のシグナル伝達に関与する。TCRα/β遺伝子をT細胞に導入する場合、T細胞がもともと有していた内在のTCRα/β鎖と導入したTCRα/β鎖もペアを形成しうる。そのため、目的のα/β鎖のペアの割合が減るばかりでなく、ミスペアリングがもとで意図しない抗原特異的なTCRをもつT細胞が作製される可能性がある。この問題を解決すべく、目的TCR遺伝子に加え、内在のTCRをノックダウンするsiRNAを導入する方法が報告されている(非特許文献2)。



一方、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は、自然免疫の主要因子として働く細胞傷害性リンパ球の1種であり、特に腫瘍細胞やウイルス感染細胞の拒絶において重要である。NK細胞は、TCRおよびCD3、ならびに膜免疫グロブリンであるB細胞受容体を発現しておらず、通常、ヒトではCD16A(FcγRIIIA)とCD56、マウスではNK1.1/NK1.2という表面マーカーを発現している。NK細胞は定常状態でも活性化した細胞傷害性リンパ球に特徴的な形態(大きなサイズ、小胞体に富む細胞質、顆粒など)をしており、新たなタンパク質合成や再構成をほとんどせずに、そのままで細胞傷害性を示す。したがって迅速に応答できる。



NK細胞の細胞傷害活性機構にはNatural killing(NK)活性と抗体依存性細胞傷害活性(ADCC; Antibody dependent cellular cytotoxicity)が知られている。NK活性は正常細胞に発現するMajor histocompatibility complex (MHC) class Iに結合してNK細胞の活性化を抑える抑制分子を介して、がん化などによりMHC class I分子の発現が低下した標的細胞に細胞傷害を行う機構である。ADCC活性はNK細胞表面上に抗体のFc部分に結合してNK細胞を活性化するFc受容体(CD16A)を持ち、標的細胞に結合した抗体に結合すると、標的細胞の傷害を行う機構である。



NK細胞は、in vitroで継続的に培養可能な株がいくつか樹立されている。NK細胞株またはNKT細胞株であるKHYG-1、NK-92、YTおよびSNT-8について、NK活性を比較した報告がある(非特許文献3)。NK細胞のADCC活性は、その細胞表面にあるCD16を介し、抗体が結合した標的細胞を傷害することによる。しかしながら、樹立されたNK細胞株は多くの場合、CD16を欠失している。そこで、NK-92にCD16遺伝子を導入して細胞表面に発現させた報告がある(非特許文献4)。また、KHYG-1にCD16を導入し、ADCCを利用したアッセイにおいてエフェクタ細胞として用いることが提案されている(特許文献1)。



他方、これまで樹立されたNK細胞株はいずれも培養培地中にIL-2を添加する必要がある。そこでNK-92に外来のIL-2遺伝子を導入することで、細胞内にIL-2を発現させ、培養中にIL-2の添加が不要なNK-92由来株が樹立されている。このIL-2導入NK-92株は、IL-2が導入されていない場合と比較して、in vivoにおいてもより高いNK活性を発揮することが報告されている(非特許文献5)。

産業上の利用分野


本発明は、TCRの抗原特異的細胞傷害活性誘導能を評価するためのNK細胞株、およびその作製方法に関する。本発明は、ライフサイエンスおよび医療等の分野で有用である。

特許請求の範囲 【請求項1】
NK細胞株に由来し、CD3鎖をコードする複数の遺伝子をポリシストロニックに連結した発現カセットが導入されており、TCR遺伝子が導入されたときにCD3-TCR複合体を細胞膜上に形成可能である、TCRの細胞障害活性を評価するための、細胞株。

【請求項2】
NK細胞株が、KYHG-1、KANK-1、NK-92、NKLまたはNK-YSである、請求項1に記載の細胞株。

【請求項3】
NK細胞株が、KYHG-1である、請求項2に記載の細胞株。

【請求項4】
発現カセットが、CD3γ遺伝子、CD3δ遺伝子、CD3ε遺伝子およびCD3ζ遺伝子を各々2Aペプチドをコードするポリヌクレオチドで連結したものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞株。

【請求項5】
さらにIL-2遺伝子が発現可能な状態で導入されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞株。

【請求項6】
IL-2遺伝子が、IRES配列の下流に連結されて導入されている、請求項5に記載の細胞株。

【請求項7】
IL-2を添加しない培地で、または動物体内で維持されている、請求項5または6に記載の細胞株。

【請求項8】
(1)NK細胞株に由来し、CD3鎖をコードする複数の遺伝子をポリシストロニックに連結した発現カセットが導入された細胞を準備し;
(2)準備した細胞に候補TCRをコードする遺伝子を導入してCD3-候補TCR複合体が細胞膜上に形成された細胞を得て;
(3)得られた細胞とあらかじめ準備した標的細胞とを接触させ;そして
(4)標的細胞が障害されたか否かおよび/または標的細胞が障害された程度を基準として、候補TCRの細胞障害活性誘導能としてを評価する
工程を含む、候補TCRの細胞障害活性誘導能の評価方法。

【請求項9】
請求項8に定義された工程(1)~(4)を含み、細胞障害活性誘導能に基づき候補TCRの採否を決定する、TCRのスクリーニング方法。

【請求項10】
2Aペプチドをコードするポリヌクレオチドで各々連結されたCD3γ遺伝子、CD3δ遺伝子、CD3ε遺伝子およびCD3ζ遺伝子、ならびにIRES配列およびIRESの下流に連結されたIL-2遺伝子を含む、ベクター。

【請求項11】
NK細胞株である細胞を請求項10に記載されたベクターで形質転換し;そして
形質転換された細胞を、IL-2非依存性であることを指標に選抜する
工程を含む、TCRの細胞障害活性誘導能の評価のための細胞株の作製方法。

【請求項12】
IL-2非依存性であることを指標に選抜する工程が、培地中のIL-2の濃度を段階的に低下することによる、請求項11に記載の作成方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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