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酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体、その製造方法および紫外線遮蔽材としての利用 NEW 新技術説明会

国内特許コード P180014930
掲載日 2018年5月1日
出願番号 特願2011-020261
公開番号 特開2012-158500
登録番号 特許第5750662号
出願日 平成23年2月1日(2011.2.1)
公開日 平成24年8月23日(2012.8.23)
登録日 平成27年5月29日(2015.5.29)
発明者
  • 細井 栄
  • 松本 泰治
  • 伊東 裕恭
  • 岡村 達也
  • 山田 隆之
出願人
  • 栃木県
  • 吉澤石灰工業株式会社
発明の名称 酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体、その製造方法および紫外線遮蔽材としての利用 NEW 新技術説明会
従来技術、競合技術の概要 酸化セリウムの特性の向上、とくに触媒特性の向上を目的とした、ナノ粒子化技術が開発されている。従来の酸化セリウムの製造方法は、セリウム塩の水溶液に塩素および水酸化ナトリウムを加えて水酸化セリウムの沈殿を生成させ、それを焼成、粉砕することによって行われてきたが、その方法では、粒子の形態および粒径を制御することができなかった。ナノ粒子化技術として提案された方法のひとつは、有機溶媒の存在下で酸化セリウム前駆体を製造し、水熱反応により約30~300nmの粒径を有する酸化セリウムナノ粒子を製造する方法(特許文献1)である。この技術で得られる酸化セリウムは粒径の分布が広いから、均一な粒径の酸化セリウムを得ることはできない。いまひとつの技術は、有機溶媒中での合成反応により、平均粒径が100nm以下の酸化セリウムナノ粒子を製造する方法(特許文献2)であるが、この技術も、酸化セリウムの粒度分布が広く、均一な粒径の製品を提供することはできない。

酸化セリウムに限らず、金属酸化物から1~200nmの範囲内の粒度を有する微粒子を製造する方法として、機械的な微粉砕処理を工程に含む技術が開発された(特許文献3)。しかし機械的な処理は、原理的に考えても均一な粒径の金属酸化物粉末を与えない。これと異なる技術として、金属酸化物固溶体の製造を、反応混合物を加圧下に連続的に反応させることにより行なうことが考案された(特許文献4)。高圧装置を必要とするうえ、高圧処理のため作業性が悪いという不利がある。

均一な粒径をもった酸化セリウムのナノ結晶を製造することが可能な技術として、無水性の、および有水性の、ゾル・ゲル反応を行なう方法が提案された(特許文献5)。ただしこの方法は、有機溶媒を使用し、操作が煩雑である。やはり狭い粒度分布をもった金属酸化物ナノ粒子を合成する方法として、金属塩または金属錯体を含む溶液に、紫外線領域波長レーザーを照射する方法も提案された(特許文献6)。これも、合成に特殊な装置を必要とする。

一方、ゼオライトは、そのキャビティ(細孔)内に種々の金属元素をイオン交換により均一に分散させることが容易であることから、ゼオライトを母結晶ないし原料に用いたイオン交換体が、蛍光体の製造をはじめとして、さまざまな分野で試作されている。ゼオライトをセリウムイオンで交換したものは、とくに触媒として有用であって、たとえば、β型ゼオライトをセリウムイオンでイオン交換したものを、排気ガス浄化用触媒として使用するという提案がある(特許文献7)。ただし、これは酸化セリウムを合成する技術ではない。排気ガス浄化用触媒に関しては、ゼオライトをセリウムイオンでイオン交換するとともに、酸化セリウムに担持される化合物を含有する触媒を製造する技術がある(特許文献8)が、ゼオライトの構造内に酸化セリウムのナノ粒子を合成するものではない。

近年、オゾン層の破壊の問題を契機として、人体に対する紫外線の有害さが懸念されている。樹脂や塗料も、日光に暴露されると紫外線の影響を受け、経時的に劣化し、変色したり亀裂が生じたりするという問題がある。そこで、こうした害を防ぐ対策の一つとして、種々の有機系や無機系の紫外線遮蔽材が開発されつつある。酸化セリウムの微粒子は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄のような金属酸化物の微粒子とともに、紫外線遮蔽効果の大きい物質として知られ、無機系紫外線遮蔽材として有力な物質である。

ところが一方で、酸化セリウムをはじめとする金属酸化物の微粒子は、光触媒作用あるいは熱触媒作用を有しており、単に化粧品や塗料の材料、プラスチックなどに配合した場合、その中の有機物質成分を劣化させ、変質させる可能性があるという問題がある。また、紫外線の遮蔽効率を向上させるには、粒子をできるだけ小さくすることが望ましいが、一般的にこれら金属酸化物の微粒子はきわめて凝集しやすく、それを添加すべき物質中に均一に分散させることは困難であり、そのために、本来もっている紫外線遮蔽効果が十分に発揮できないという悩みもあった。

そこで、こうした問題を解決する手段として、金属酸化物の微粒子を、触媒活性のない無機化合物で被覆することや、形態を制御することが試みられてきた。その一例は、紫外線遮蔽機能を有する金属または金属酸化物を、シリカによって内包した複合化粒子の提案である(特許文献9)。この複合化粒子は、一次粒子が鱗片板状の形状であることを特徴としているが、水熱合成によって製造したものであり、金属または金属酸化物の分散状態は明らかでない。

シリカで被覆した金属酸化物粒子に関しては、ゾル-ゲル反応を応用して変性シリカ被覆粒子を製造する方法がある(特許文献10)。ところが、被覆粉体を粉砕する過程を必要とするため、形態および粒径を制御するという観点からは、有力でない。水熱合成により酸化セリウム微粒子、セリウム含有複合酸化物微粒子を、不定形または結晶性の無機化合物で被覆した紫外線遮蔽材が考えられた(特許文献11)が、水熱合成は粒子の形態および粒径を制御するには適しない。

金属酸化物微粒子をシリカで被覆することは引き続き試みられており、シリカからなる粒径が20~100nmの粒子の内部に、1個または複数個の酸化セリウムまたは酸化チタンを含有させた構造を有する微粒子が提案された(特許文献12)。この技術は、粒子の形態や粒径の制御には及んでない。膜厚が0.1~100nmであるシリカで金属酸化物粉末を被覆したものを、シリカ被膜形成用組成物に金属酸化物粉を接触させて表面にシリカを選択的に沈着させる、という手法で製造することも行われた(特許文献13)。しかしながらこの技術でも、製品のシリカ被膜金属酸化物の形態や粒径を、はっきり制御することはできない。

セリウム化合物、とりわけセリアすなわち酸化セリウムのさまざまな分野における広範な用途については、最近の総説(非特許文献1)にまとめられている。
【特許文献1】特開2005-519845
【特許文献2】特開2002-201023
【特許文献3】特表2002-515393
【特許文献4】特表2007-504091
【特許文献5】特表2009-511403
【特許文献6】特開2008-044817
【特許文献7】特開2006-281127
【特許文献8】特開2004-313971
【特許文献9】特開平11-11927号
【特許文献10】特開2000-319128
【特許文献11】特開2001-139926
【特許文献12】特開2003-253249
【特許文献13】特開2004-115541
【非特許文献1】小沢正邦「マテリアル インテグレーション」23巻1号(2010)40-45頁
産業上の利用分野 本発明は、ゼオライト結晶構造内に酸化セリウムのナノ粒子が分散した状態で存在する、酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体と、その製造方法とに関する。この複合体としては、とりわけ、ゼオライトとして板状の結晶形態をもつものを使用して得られる、酸化セリウムナノ粒子-板状ゼオライト複合体が重要である。

本発明はまた、酸化セリウムにセリウム以外の金属の酸化物を固溶体として共存させた金属酸化物固溶酸化セリウムが、ゼオライト結晶構造内にナノ粒子の形で分散した状態で存在する、ナノ粒子-ゼオライト複合体と、その製造方法にも関する。

本発明はさらに、上記の酸化セリウムナノ粒子-板状ゼオライト複合体または金属酸化物固溶酸化セリウムナノ粒子-板状ゼオライト複合体から分離取得した、ナノメータレベルの微細で均一な粒径分布を有する、酸化セリウムナノ粒子または金属酸化物固溶酸化セリウムナノ粒子それ自体と、その製造方法とに関する。
特許請求の範囲 【請求項1】
2O・Al23・2SiO2・xH2Oの組成を有し六角板状の結晶形態をもつ「リンデQ」型ゼオライト中に、粒径1~20nmの酸化セリウム(CeO)ナノ粒子が分散した形で存在する酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体

【請求項2】
その中に酸化セリウムナノ粒子が分散した形で存在するゼオライトが、その本来の結晶形態を維持している請求項1の酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体。

【請求項3】
その中に酸化セリウムナノ粒子が分散した形で存在するゼオライトが、加熱により本来の結晶形態を失っている請求項1の酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体。

【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載した、粒径1~20nmの酸化セリウムナノ粒子がゼオライト中に分散した形で存在する酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体を製造する方法であって、Ceの可溶性塩の水溶液にゼオライトを浸漬し、100℃以下の温度でゼオライト中のKとCe3+イオンとのイオン交換を行なって、少なくとも10%の交換率でCeイオンをゼオライト中に存在させたのち、酸化性の雰囲気下に、800℃以上1000℃未満の温度で焼成することからなる製造方法。

【請求項5】
粒径1~20nmの酸化セリウムCeOナノ粒子を製造する方法であって、請求項1~3のいずれかに記載の酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体に対して酸またはアルカリを作用させてゼオライトを溶解し、溶解せずに残った酸化セリウムナノ粒子を濾過により分離取得することからなる製造方法。

【請求項6】
2O・Al23・2SiO2・xH2Oの組成を有し六角板状の結晶形態をもつ「リンデQ」型ゼオライ中に、粒径1~20nmの酸化セリウムCeOのナノ粒子が、Ca,Pr,Nd,SmまたはGd(以下「Ce以外の金属」)の酸化物を固溶体として取り込んだ粒子としてゼオライト中に分散した形で存在する金属酸化物固溶酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体。

【請求項7】
その中に酸化セリウムナノ粒子が分散した形で存在するゼオライトが、その本来の結晶形態を維持している請求項6の金属酸化物固溶酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体。

【請求項8】
その中に酸化セリウムナノ粒子が分散した形で存在するゼオライトが、加熱により本来の結晶形態を失っている請求項6の金属酸化物固溶酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体。

【請求項9】
請求項6~8のいずれかに記載した、粒径1~20nmの酸化セリウムCeOナノ粒子が、Ce以外の金属の酸化物を固溶体として取り込んだ粒子としてゼオライト中に分散した形で存在する金属酸化物固溶酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体を製造する方法であって、Ceの可溶性塩と、Ce以外の金属の少なくとも1種の可溶性塩から選んだ塩とを混合して含有する水溶液にゼオライトを浸漬し、100℃以下の温度でゼオライト中のKとCe3+イオンおよびCe以外の金属のイオンとのイオン交換を行なって、少なくとも10%の交換率でCeイオンおよびCe以外の金属のイオンをゼオライト中に存在させたのち、酸化性の雰囲気下に、800℃以上1000℃未満の温度で焼成することからなる製造方法。

【請求項10】
粒径1~20nmの金属酸化物固溶酸化セリウムCeOナノ粒子を製造する方法であって、請求項6~8のいずれかに記載の酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体に対して酸またはアルカリを作用させてゼオライトを溶解し、溶解せずに残った金属酸化物固溶酸化セリウムナノ粒子を濾過により分離取得することからなる製造方法。

【請求項11】
請求項2もしくは3に記載した酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体、または請求項7もしくは8に記載した金属酸化物固溶酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体を化粧品の基材に添加した日焼け止め化粧品。

【請求項12】
請求項2もしくは3に記載した酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体、または請求項7もしくは8に記載した金属酸化物固溶酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体をビヒクルに分散させて形成した、紫外線による劣化を防止した塗料。

【請求項13】
請求項2もしくは3に記載した酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体、または請求項7もしくは8に記載した金属酸化物固溶酸化セリウムナノ粒子-ゼオライト複合体をプラスチック材料に混練して成形した、紫外線による劣化を防止したプラスチック成形品。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011020261thum.jpg
出願権利状態 登録


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