TOP > 国内特許検索 > 消石灰系塗材組成物
消石灰系左官材料、すなわち漆喰は消石灰に糊として、つのまた、ふのり、銀杏草などの天然海藻や、すさ等の繊維を加えて水で練ったものであり、古来より壁、屋根、塀等に鏝などを用いて施工する建築材料である。
天然海藻は糊材として使用され、つのまた、ふのり、銀杏草などの特定の海藻を熱水で溶解させたのち消石灰に添加し、加水して混練すると消石灰ペーストを増粘させ、作業性を改善し、塗布後、空気中の炭酸ガスを固定化し、炭酸カルシウムを生成する際に硬化して、下地に対する付着性、表面硬度、耐クラック性、耐水性などの性能を向上させる。
また最近では工事現場における人件費の節約、作業の効率化および品質の安定化に配慮して、予め基材、糊材、繊維などを混合した既調合型が好まれている。この際、糊材としては上記天然海藻を蒸して乾燥し、粉末化して得られる粉つのまた、メチルセルロースやセルロース誘導体などの水溶性粉末樹脂が使用されている。これら糊材はアルカリ領域でもゲル化することなく少量の添加で下地に対する付着性、保水性、作業性、表面硬度の増強などに有効である。
一方、現在の住環境は、省力化・省コストの追求により合板や壁紙、樹脂系塗料が多く使われている。その結果、ホルムアルデヒドをはじめとする揮発性有機溶剤が室内に揮散してシックハウス症候群を引き起こす要因となっている。このような状況下、自然素材の建材、無機物質系のものが見直されている。特に漆喰等は厚塗りや立体模様仕上げによって独特の重厚感と高級感が得られ、多様な意匠の表現が可能であることに加えて空気浄化性、調湿性、防カビ性等の環境浄化機能を有することから「環境共生住宅」の建材と位置づけされている。
本発明は下地に対する付着性、作業性、耐水性を改善し、シックハウス症候群に配慮した水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムの混合物系(以下、消石灰系と言う)塗材組成物に関する。